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第50回 夕焼けと雲の関係今日から始めるデジカメ撮影術(1/3 ページ)

» 2006年06月22日 10時30分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

夕焼けは雲の具合が大事

 きれいな夕焼けは狙って撮れるもんじゃない。何しろ相手は天候。曇ってて太陽が出てなければダメ。逆に快晴でもきれいな夕焼けは出ない。適度に雲があってはじめて空に複雑な表情が現れ、太陽に下から照らされた雲が真っ赤に燃えるのだ。

 しかも、そのとき夕焼けがきれいに見えるポイントに自分がいなきゃいけない。

 注意すべきポイントは3つだ。

 ひとつめはピント。無限遠に合わせればいいから簡単、って感じなのだが、特に晴れている空はのっぺりとしていてピントが合いづらいので意外にピンボケになりやすいのだ。カメラに風景モードや無限遠モードがあればそれを使いたいし、ない場合はカメラの角度を変えてピントがうまく合う方向を見つけてそこでフォーカスロックしたい。ただ、ちょっとボケてるくらいの方が幻想的でいいってこともある。

 次は色。最近のデジカメは優秀なので夕焼けをきれいに赤く撮ってくれるが、ちょっと前のデジカメだと、夕焼けの赤さをカメラが補正しちゃって赤みが弱まっちゃうことがある。一番ノーマルなのはホワイトバランスを「太陽光」に合わせること。「曇天」や「日陰」にするともっと赤みが強く出る。簡単なところでは「風景モード」にしちゃうという手もある。

 1枚目はホワイトバランスを「太陽光」で撮影した夕方な空。青がきれいに出ている。2枚目は「曇天」モードで撮影したもの。赤みが強くなってより夕方っぽい色になっている。

 それでも思ったように赤みが出ないこともあるだろう。それはたいてい「露出」が原因だ。

 というわけで、3番目は「露出」。夕方って明るさの差が極端に大きい。地面は逆光になるのですごく暗いし、空も太陽の近くは明るいけど離れると結構暗い。特に地面を多めに入れると空が明るく写りすぎて、夕方ならではの風情がなくなりやすい。

 対策は簡単。マイナスの露出補正をかけるのである。それはもうシチュエーションによって、どのくらいマイナスにするといいかが決まってくる。夕焼けがきれいな時間は短いけれども、それでも何枚も撮り直すだけの余裕は十分にある。撮ってみて、液晶モニターでプレビューを見て、マイナスの補正をどのくらいかけるかを決めていくといい。

 夕焼けの醍醐味といえば太陽が沈んだ直後の真っ赤な空だ。下から雲が真っ赤に照らされ、その隙間から青い空がのぞくという瞬間。

 これは是非きれいに押さえたい。

 このようにほとんどを空が占める構図にすると露出補正の心配もほとんどなくなる。広角側で、ホワイトバランスを太陽光に固定して撮影した見事な夕焼けだ。

 さらにおいしいのは飛行機雲。これは二子玉川から多摩川の向こうに見えた夕焼けだ。

 縦位置で広角側で撮るとより空を広く見せることができる。

 このように夕焼け空の美しさは「雲」にかかってるといっても過言ではない。複雑な厚みの雲が幾層にもかかるとこんな空になる。

 上の方はまだ青くて、雲の厚いところは黒くて、下から夕日で照られている箇所は赤い。特に厚くて低い雲が出てくるこれからの季節は時として幻想的な空を見せてくれるだろう。

 つまりは雲。というわけで、夕日を浴びた雲だけを撮ってみた。

 これでも十分夕焼け写真なのである。

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