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第61回 RAWデータとJPEGの関係今日から始めるデジカメ撮影術(1/4 ページ)

» 2006年11月24日 11時29分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

 普通の人は、デジカメで撮った画像を「JPEG」で保存してると思う。意識しなくても、普通はJPEGだ。JPEGならたくさん撮れるし、パソコン上で鑑賞するのも簡単。でもデジタル一眼レフの普及とともに「RAWデータ」が注目されるようになってきた。今回はそんなRAWデータの話。

RAWデータで撮る

 RAWデータって言葉をよく聞くけれども、これはまあ「生データ」みたいな意味。デジカメが「JPEG画像」を記録するとき何をしているか、というと、大雑把にいえば光がCCDやCMOSセンサーに当たって出てきた信号(この時点ではアナログデータ)をデジタルデータに変換し、そのデジタルデータを元に実際の画像を生成して、JPEG圧縮して保存するわけである。

 ここのアナログ信号をデジタルデータに変換したときのデジタルデータを「RAWデータ」と呼んでいるわけだ。RAWは何かの略ではなく、そのまま「未加工の」「未処理の」「料理してない」という形容詞。

 実際、このRAWデータは画像データというより、画像になる以前の「生のデータ」。で、ここから画像を作り出す処理を「現像」と呼ぶ。フィルム時代の「現像」とはかなり趣が異なるが、現像という言葉が分かりやすくあっという間に定着してしまった。

 普段、「現像」作業はカメラ内で行い、その結果を「JPEG画像」として書き出すが、それをパソコンでやろう、というのがRAWデータの趣旨だ。そして、RAWデータを実際の画像データにすることを「RAW現像」などという。

 RAW現像の良さは、そのカメラの性能を一番引き出す「高画質」を得られること。特にフォトレタッチをして仕上げたい人にはこれが重要になる。JPEGはカメラ内で「料理された」データなので、それにさらに手を加えるよりは、「生の素材」から料理した方がより美味しいものが作れるというわけだ。

 その分、中味は各社バラバラで拡張子も違う。「.raw」という拡張子のファイルがあるわけじゃなく、キヤノンなら「.CRW」や「.CR2」だし、ニコンなら「.NEF」だし、ソニーのα100なら「.ARW」だ。互いに互換性はまったくない。だからどのソフトでも扱えるというわけじゃない。

 メーカー純正ソフトか、サードパーティ製のRAW現像対応ソフト(アドビのPhotoshop系ソフトや、市川ソフトラボラトリのSILKY PIX、アップルのApertureなど)を使う必要がある。

RAWデータでホワイトバランスと露出補正

 最近のカメラは「RAW+JPEG」といって、1回シャッターを押すとRAWデータとそれを現像したJPEGデータの2枚を記録してくれる(同じファイル名で拡張子が異なる2枚のファイルができる)のでなかなかありがたい。

 ではRAWとJPEGで比べてみよう。

 こんな写真がある。なんてことない、小さな街の公民館とその横の公園。日陰になっててすごくコントラストが強い。

左上の壁に直接日光が当たっててそこだけ白くトんでる

 ちょっと実験。この左上の明るい箇所、JPEGでは完全に真っ白にトんでいて、単なる白い壁である。全体を暗く調整してみても、白がグレーになるだけだ。

暗く調整してみたが、白がグレーになるだけ

 では、RAWデータで観てみよう。RAW現像ソフトで露出補正をマイナスにかけてやると、ちゃんとコンクリート壁の打ちっ放しの凹凸が見えてくるではないか。

RAWデータを、露出補正をマイナスにかけたもの

 つまり、RAWデータには意外に多くの情報が詰まっているのだ。

 絞りやシャッタースピードといった露出は「撮影した瞬間」に決まっててあとから補正できる項目ではないのだが、RAWデータには幅広いデータが入っているため、多少の補正はあとからでも効くのである。

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