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新しいカメラで始める新生活新生活応援バイヤーズガイド(1/2 ページ)

» 2009年04月07日 11時53分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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 最近の携帯電話のカメラは本当によく写る。「Cyber-shot」や「EXILIM」といったカメラブランドを冠した(そしてその名に恥じない写りを楽しめる)機種が複数存在するほか、KDDI「SH001」のように特にカメラ機能を強調しない機種でも、800万画素CCDを搭載しISO2500相当での高感度撮影が可能など、その進化には驚くほかない。ここまでの最新機種ではなくとも、ここ1〜2年の間に販売された携帯電話ならば、かなりのシチュエーションである程度の写真が撮れるといっていい。

 ただ、よく写るといっても、誤解を恐れずに言ってしまえば、「よく写る」にとどまっており、思い通りの写真が撮れるかというと、そのレベルにまでは到達してはいない。専用機である「カメラ」と比較すれば、まだ付加機能としての域を出ないというのが正直なところだろう。

 本格的な撮影をしたいということならば、レンズ交換可能なデジタル一眼を使うべきだろうが、今春発売の各社コンパクトデジタルカメラはなかなか興味深い機種が多い。コンパクトデジカメとしての使い勝手の良さやサイズを含めた軽快さはそのままに、ハイビジョン動画撮影や高倍率ズーム、防水・防じんといったタフネス性能など、デジタル一眼にはない特徴を備えた製品が多く登場している。新生活を新しいカメラとともにスタートするには絶好のチャンスだ。

気軽にきれいな写真を撮りたい

 最近のコンパクトデジカメは、画素数も1000万画素オーバーが珍しくなく、手ブレ補正機能もほぼ標準化している。この2点だけでも大半の携帯電話のカメラを機能面で上回るが、スタンダードモデルを含めた多くの製品が顔検出やシーン識別の機能を備えており、カメラまかせのフルオートでも、「よりよく写る」ことを期待できる。

 コンパクトデジカメの定番シリーズといえる、キヤノン「IXY」やソニー「サイバーショット」、富士フイルム「FinePix」、パナソニック「LUMIX」、オリンパス「μ」などでは、ほとんどのモデルがこれらの機能を備えている。

 顔認識/シーン認識機能については富士フイルムやパナソニック、ソニーらが先行していた感もあったが、今春はキヤノンの人気製品「IXY」シリーズもほぼ全機種で同機能を搭載してきた。IXYシリーズが搭載する「こだわりオート」は、撮影シーンをカメラが18のシーンに分析し、最適な撮影設定を自動的に施してくれる。マクロモードへの移行も自動的に行われるので、「スナップの後に料理の写真」というよくあるシチュエーションで、マクロ切りかえを忘れてしまってピンぼけ……といった失敗を防いでくれる。

IXY DIGITAL 210 IS IXY DIGITAL 110 IS IXY DIGITAL 830 IS

 「DMC-FX40」をはじめとしたパナソニックLUMIXシリーズの新製品では、“大切な人”へ優先してピントや露出をあわせてくれる「個人認証」を搭載した。撮影された回数の多い人を自動的に登録していくほか、任意の登録も可能。登録できるのは最大6人までだが、内部的には12人分のデータを蓄積し続けているので、1人を削除しても撮影を続けていると、自動的に新たなひとを自動認証する。

 人の写真をより美しくという意味では、カシオ計算機の“EXILIM”「Z-400」や「EX-S12」も興味深い。これらは「メイクアップモード」を備えており、適用することで、目やまつ毛、口元などコントラストが強いエッジ部分のシャープネスは保ちながら、肌表面のシワやニキビなどが目立たないよう、ソフトな仕上がりにしてくれる。“女性限定”の機能になってしまう気もするが、カメラが“メイクする”という方法は面白い。

 操作の快適性といった意味では、パナソニック「LUMIX DMC-FX550」など、タッチパネル搭載機種に注目したい。フレーミングした被写体に指で触れるだけでその被写体にピント合わせを行ってくれるので、意図した写真が撮りやすい。また、タッチパネルを搭載することで背面液晶のサイズを大きくしながら本体サイズの小型化を図られており、撮影した写真をより大画面で楽しめるというメリットも期待できる。

LUMIX DMC-FX40 EXILIM EX-S12 LUMIX DMC-FX550

ハイビジョン動画対応機種も選択肢が豊富に

 今春に目立つのが、ハイビジョン撮影機能を搭載したモデルだ。さすがに動画撮影のために作られたデジタルビデオカメラに比べれば、撮影できる動画の解像度やオートフォーカス速度など見劣りする点は多々あるが、「写真を撮りながら、動きのあるシーンに出会えば気軽にハイビジョン動画撮影」というフットワークの軽さは魅力だ。

 こうしたハイビジョン動画撮影に対応した機種としては、ソニー「サイバーショット DSC-T900/T90」、パナソニック「LUMIX DMC-TZ7/FT1」、キヤノン「PowerShot SX200 IS」、カシオ計算機「HIGH SPEED EXILIM EX-FC100/FS10」などが挙げられる。

 そのなかでも、コンパクトデジカメのメリットである“軽快さ”を損なわずにハイビジョン撮影に対応した注目機種が「サイバーショット DSC-T900/T90」。超薄型の「サイバーショットT」シリーズのフォルムはそのままに、ハイビジョン撮影機能を搭載しており、「動画を撮る」という言葉からイメージされる重厚さはない。薄さという意味では、“HIGH SPEED EXILIM”「EX-FS10」も最薄部16.3ミリとひけを取らない。

LUMIX DMC-TZ7 PowerShot SX1 IS HIGH SPEED EXILIM EX-FS10

 デジタルビデオカメラに迫る本格的な動画撮影を楽しめるのが、キヤノン「PowerShot SX1 IS」だ。デジタル一眼レフを連想させるしっかりとしたボディで軽快さには乏しいが、光学20倍ズームレンズでフルHD(1920×1080ピクセル)の動画撮影が行える(サイバーショット DSC-T900/T90の動画撮影時最大解像度は1280×768ピクセル)。

 ハイビジョン撮影対応機を検討する際に気を付けたいのが、動画の形式だ。静止画の形式についてはほぼJPEGで統一されているが、「デジカメで動画」という新ジャンルとなるためか、動画の形式は各社間での統一は図られていない。

 DMC-TZ7はビデオカメラ用規格であるAVCHDのサブセットである「AVCHD Lite」を採用しておりファイルの拡張子は「.MTS」(ハイビジョン撮影時)、サイバーショット DSC-T900/T90はMotion JPEGを採用しており、拡張子は「.MP4」、キヤノン「PowerShot SX200 IS」ならばMPEG-4 AVC/H.264を使用した「.MOV」となっている。付属ソフトを用いることでなんらかの形式に変換できることがほとんどだが、JPEGほどの互換性がないことは覚えておいた方がいいだろう。

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