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さまざまなニーズに応える1台――超軽量フルHDビデオカメラ“Everio”「GZ-X900」レビュー(2/3 ページ)

» 2009年07月21日 08時30分 公開
[都築航一,ITmedia]
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さまざまな場面で使いたくなる付加機能

 本体背面には、同社製品としては珍しいモードダイヤルが用意されている。電源のON/OFFや撮影/再生の切り替えには、液晶モニター内側にあるボタンを押す仕様で、モードダイヤルではあくまで撮影モードの変更に用いるのみだが、動画および静止画の切り替えやシーンモードといった定番のモード変更に加え、画質は低下するものの、3種類のハイスピード動画撮影モードを持っているのが面白い。H1(120fps)、H2(300fps)、H3(600fps)と、3つの設定が用意され、特に最も強くスローモーション効果が効くH3は、実世界ではたった2.4秒間の出来事を24秒間もかけて再生することになり、肉眼では見えなかった世界が見えてくる。

 なお、ハイスピード撮影を行なった映像は、周囲に黒枠をつけたうえで、通常の撮影モードと同様に1920×1080ピクセルのAVCHD形式で記録する。撮影のたびにデータを書き込む時間が余分にかかるため、テンポよく撮影できない点に不満を覚えるかもしれないが、ビデオカメラの楽しみを広げてくれるユニークな機能であることは間違いない。ちなみに、動画だけでなく静止画撮影時も高速記録が可能で、最高画質時であっても、15コマ/秒相当の速度での連写(連続撮影可能枚数は6コマ)が行なえる。

 こうした「尖った」機能だけでなく、ひととおりのマニュアル撮影をこなせるのも、作画にこだわりたいユーザーにはうれしい。マニュアルフォーカスやマニュアルホワイトバランスはもちろん、シャッター速度を固定できる(シャッター速度優先オート)ほか、絞り優先オートにも設定できる。

 これらを含むすべての操作は、液晶モニター左側の「レーザータッチオペレーション」と、同じく液晶モニター下に並ぶ5つのタッチ式ボタンで行なう。タッチすると白色LEDが光るギミックも搭載される。同社製品に触れたことのない人には慣れの必要なインタフェースではあるが、直感的に操作できる。

photophoto 背面のモードダイヤル(写真=左)、液晶モニター左側は、「レーザータッチオペレーション」(写真=右)

 もちろん、YouTubeへ簡単にアップロードできる機能や、液晶モニターの開閉とスタンバイモードへの移行が連動する仕組みなど、同社製品ならではの使いやすさは本製品でも健在。また、液晶モニターは2.8型/20.7万画素というスペックの割に精細感が高く、色ノリもしっかりしているので、どんどん撮りたい気持ちにさせてくれる。

実売価格もこなれ買い得感も十分

photo 付属バッテリー「BN-VF908」での実撮影時間は40分。別売のベルトホルダータイプ「VU-V840KIT」「VU-V863KIT」を利用すれば約3時間40分/5時間45分に延長できる

 GZ-X900は、10万円を切るという現在の実売価格から見ても、多くのビデオカメラを展開する同社製品のトップエンドというべきモデルだが、実際には従来の製品展開の枠にとらわれない、独自の存在感を持ったデジタルビデオカメラと感じた。

 ビジネスシーンで使うには、もう少しオーソドックスなデザインのほうが溶け込みやすい気もするものの、持ち運びのしやすいサイズや重量であることは確かだし、プライベートでの利用であれば、付加機能が満載で楽しく遊べる。もちろん、解像感が高く美しい描写も見逃せない魅力だ。

 あえて気になった点を挙げるとすれば、軽量化とのトレードオフで、付属バッテリーの持ちがあまりよくない(ただし、腰に装着する外付けの大容量タイプが別売で用意される)ことと、内蔵記録メディアをいっさい持たないため、SDHCカードを忘れてしまうと撮影できなくなる(最近ではコンビニエンスストアでもSDメモリーカードを販売してるが、同社ではClass6対応のSDHCカードを推奨しており、さすがこれはコンビニだと入手が難しい)ことくらいだろう。本製品は、その特徴的なデザインに魅力を感じる人も、高画質に魅力を感じる人も、豊富な付加機能に魅力を感じる人も満足できる、さまざまなニーズに応えられる1台だといえる。

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