マニュアル調整ダイヤルの位置としてすっかり定番になったレンズ鏡筒下部には、やはりフォーカスとカメラの明るさをマニュアル操作するためのレバーとダイヤルが置かれ、こちらにもすぐ慣れることができた。
しかも、これらのダイヤルやボタンは、カメラ全体をオートモードからマニュアルモードへと切り替えなければ有効にならないので、誤った操作でピンボケ映像を大量に撮ってしまうといったミスを起こさない。もちろん、オートモードでカメラ任せにしても多くのシーンで問題なく撮れるし、人物の顔にフォーカスと明るさを合わせる顔検出機能も、同社では今春モデルから標準装備になっている。
このクラスでは久々に見るシーソー式ズームレバーのおかげで、微妙なズーム操作にも応えてくれるのはもちろん、マニュアル調整のしやすさ全体でも、今回同時に比較したソニー「HDR-CX500V」、キヤノン「HF S11」、パナソニック「HDC-TM350」の中では頭ひとつ抜けているという印象だ。
ちなみに同社のWebサイトを訪れてみると、こんなにマニュアル操作が楽しいビデオカメラを、撮影を楽しむ上級ユーザーではなく、むしろ初めてビデオカメラを手にするパパママ層へ訴求しているのが面白い。
実際、シーソー式のズームレバーは上級者に限らず、だれにでも扱いやすいことは間違いないし、オートモードで撮影に慣れて楽しくなってきたら、カメラを買い替えなくても、使いこなしだけをマニュアル操作へとグレードアップできる楽しみもありますよ、ということだろう。
付加的な機能としては、GZ-X900と同様、最大で1/10倍速という超スローモーション映像が撮影できるハイスピード撮影も魅力的で、肉眼では見られない世界を楽しめる。もうひとつ特筆すべきポイントとして、製品に最初から中容量タイプのバッテリーを同梱していることにも触れておきたい。オプションではさらに大容量のタイプや外付けの製品も用意されているが、付属バッテリーだけで2時間以上の連続撮影を実現しているのは本製品だけだ。
手ブレ補正の効き具合や暗部画質など、ライバルに水をあけられている部分も確かに存在するし、ここでは細かな部分で注文をつけてしまったが、細かな注文をつけたくなるほど、素性としての画質と使い勝手は高く評価できる。作画を楽しみたい上級ユーザーだけでなく、初めてのビデオカメラとして買っても、長く楽しめる1台だろう。本製品を受けてのシリーズ展開も楽しみだ。
作例は、静止画はアスペクト比4:3の約896万画素(3456×2592ピクセル)、動画については最高画質のMXPモード(1920×1080ピクセル/約24Mbps)で撮影したものをEDIUS Pro 5で切り出している。撮影時の設定カスタマイズは行っておらず、フルオート撮影だ。
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