キヤノンEOSシリーズには、プロ向けの「EOS-1Ds Mark III」を頂点にして、中級者向けにはフルサイズ機「EOS 5D Mark II」やAPS-Cサイズ機「EOS 50D」などがあり、初級者向けには「EOS Kiss X3」などがそろう。他社に比べて充実した製品数と思えるが、今回さらにラインアップの隙間を埋めるべく、APS-Cサイズの最上位モデル「EOS 7D」が投入された。
ボディは、ずっしりとした重みを感じる防じん防滴構造のマグネシウム合金外装。同じくハイアマチュア層を主ターゲットにしたEOS 5D Mark IIに比べた場合、ボディの幅と高さ、奥行きはわずかに小さいが、重量は10グラム重い約820グラムとなる。ただし、それぞれの標準ズームキットで比較した場合は、センサーサイズの違いからレンズに差が生じ、トータルのシステムではEOS 7Dのほうが軽い。しかも、EOS 5D Mark IIにない内蔵ストロボもEOS 7Dにはある。
デザイン的には、曲線を多用した丸っこさが特長だ。深いくぼみを設けたラバーグリップはしっくりと手になじみ、標準ズームやバッテリー込みで1.5キログラム以上ある重量をバランスよく支えられる。
実際に撮影した印象は、きびきびとした操作レスポンスに何より感心した。起動時間やレリーズタイムラグ、AFスピードの速さに加え、レリーズ後のミラーなどの復帰動作がとても短い。それでいて、ミラーショックなどの振動は小さく抑えられている。同社の中級機では最速となる秒間8コマの連写スピードはもちろんだが、連写を使わない場合でも、1回1回のシャッターが小気味よく、気持ちがいい。
AFは、19点測距に対応し、19点のすべてが縦/横の測距が可能なクロスセンサー仕様となる。AFフレームは、背面の電子ダイヤルまたはマルチコントローラーを使ってダイレクトに選択可能だ。EOS 50Dなどの従来機とは異なり、選択した以外の測距点を非表示にできるので、測距点のスーパーインポーズ表示が邪魔になることはない。
また、19点を5エリアに分けて測距を行う「ゾーンAF」や、選択した1点+隣接点でピントを合わせる「領域拡大AF」、測距点の大きさを小さくする「スポット1点AF」にも新対応した。光量が乏しいシーンや動きのあるシーンでもスムーズに合焦するなど、スポーツ撮影にも役立つAF性能といっていい。
ファインダーは、視野率100%のペンタプリズムを採用する。ファインダー倍率は等倍(1倍)で、APS-Cサイズの一眼レフ機の中ではトップクラスの広さを持つ。明るさやピントの見やすさも十分だ。ファインダースクリーンの交換には対応しないが、ファインダー表示に「インテリジェントビューファインダー」と呼ぶ透過型液晶デバイスを新採用したことで、ファインダー上にグリッドや電子水準器を表示することが可能になった。
液晶モニターについても視認性は良好だ。サイズは3.0型で、画素数は約92万画素。自動または手動で液晶輝度の調整ができ、明るい屋外でも画面をしっかりと確認できる。
ライブビュー撮影を行う場合は、ファインダーの右横に新設した「スタート・ストップボタン」を押す。ライブビュー時のAFは、コントラスト検出による「ライブモード」と「顔検出ライブモード」、位相差検出による「クイックモード」の3方式から選択でき、背面のAF-ONボタン、またはシャッターボタンの半押しで測距がスタートする。ライブビュー時のオプションとしては、最大10倍の拡大表示やグリッド表示、ミラーアップしたまま撮影できる「静音撮影モード」などに対応する。
また、ライブビューのスタート・ストップボタンは、動画の撮影開始/停止の働きを兼ねている。ボタンの回りのレバーを動画側に回すと、動画用のライブビュー画面が表示され、最大で1920×1080ピクセル/30fpsのフルHDムービーを記録できる。ファイル形式はMPEG-4 AVCの.MOVで、音声は内蔵モノラルマイクまたは外部ステレオマイクによるリニアPCM録音となる。動画撮影時のフルタイムAFには非対応だが、作品制作を主眼にした動画機能なので問題はないだろう。
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