ここからは実機の画質をチェックしていこう。初期状態の表示を見ると、同じくIPSパネルを搭載した上位機「ColorEdge CG243W」に比べて、原色が強めで派手な発色だ。CG243Wはガンマカーブを全階調で測定して調整し、Adobe RGBに近い色域で全体的な表示が均一になるよう厳密にチューニングされているため、発色が落ち着いているのだろう(SX2462Wは一定値でガンマ調整されている)。
初期状態でSX2461Wと見比べると、白が少し赤みがかっているSX2461Wに対し、SX2462Wは赤みが取れ、若干緑が強い。無論、視野角による色度変位は少なく、縦位置でも画面の上下端で色が違って見えるようなことはない。
前述の表示安定化技術が生かされ、画面の輝度ムラや色度ムラはほとんど気にならない。低価格帯の液晶ディスプレイでは、24型くらいに画面サイズが大きくなると、画面の左右や特定の領域で多少のムラが発生することは少なくないが、さすがに表示の均一性は高い。CG243Wに比べると、画面4辺、特に画面下端が少し輝度落ちしているが、こうした傾向は競合機種にも見られる。通常はアプリケーションのウィンドウやタスクバーが表示される部分なので、実作業では問題にならないだろう。
多階調ガンマ補正機能のおかげで、階調表現力もなかなかのものだ。黒にごく近い暗部はつぶれるものの、カラー/モノクロのテストパターンは問題なく表示できた。厳密にCG243Wと見比べると、SX2462Wはわずかにバンディングが散見されるが、この価格帯のディスプレイとしては優秀な画質といっていい。
階調表現の実力は、エックスライトのカラーマネジメントツール「i1Pro」によるソフトウェアキャリブレーションの結果からも明らかだ。Adobe RGBの色域を再現するのに向いたUser 1モードで、輝度を120カンデラ/平方メートルにセットしてキャリブレーションしたところ、目標値に非常に近い好結果が得られた(輝度の設定値は36%)。RGB出力のグラフも乱れがなく、全階調でグレーバランスが整っていることが分かる。もっとも、SX2461WをCustomモード(SX2462WのUser 1〜3モードに相当)でキャリブレーションしても結果は良好だった。
大きな違いが見られたのは、sRGB色域の再現性だ。sRGBはCRTディスプレイの時代に標準化された規格なので、定義されている輝度は80カンデラ/平方メートルと低い。
そこで、輝度を80カンデラ/平方メートルにセットしてsRGBモードでキャリブレーションを行ったところ、SX2462Wは80カンデラ/平方メートル(輝度の設定値は13%)までしっかり下げられたが、SX2461WはsRGBモードで最大まで輝度を下げても108カンデラ/平方メートルが限界だった(Customモードでは80カンデラ/平方メートル以下まで下がる)。RGB出力グラフのズレもSX2461Wのほうが目立つ。
液晶ディスプレイでは、sRGBモードであっても100〜120カンデラ/平方メートル程度の輝度で使っているケースは多いだろうが、CRT時代からの表示傾向に近づけたいユーザーにとって、SX2462Wでの改善はありがたいはずだ。
応答速度に関してもSX2461Wより少しよくなった印象を受ける。映像コンテンツ内の左右に流れるテロップなどで、SX2461Wは輪郭に少し偽色が発生することがあったが、SX2462Wで同じ映像を見ても偽色が出なかった。そのため、動く映像に残像が少しあっても、映像の違和感は少ない。動画の高度な編集やモニター用途には向かないが、動画入りのコンテンツ制作などにも十分活用できそうだ。本来の使い方とは離れるが、Blu-ray Discの映画タイトルなどを視聴してみても、PCディスプレイとしては十分精細で臨場感ある動画が味わえた。
そのほかにもキャリブレーションした状態で画質を細かくチェックしたが、上記の調整結果が示す通り、SX2461Wからの進化は確実だ。SX2461WはVAパネルを採用していたが、SX2462Wではまったく別のIPSパネルに切り替えたことも、画質面に多少の影響を与えていると思われる。
昨今の液晶ディスプレイは、表面処理の乱反射や粒状感が問題視されることもあるが、この点についてもSX2462Wは改善が見られる。白や明るいグレーなど明度が高い表示では、表面にうっすらと光の細かな反射が見られ、顔を画面に近づけると気づきやすくなるが、使っていくうちに慣れていくこともあり、画面と一定の距離を保って作業をしているぶんにはまったく問題なく、目の疲れも感じなかった。
SX2461Wは一昔前の同社製VAパネル搭載機に比べて、画面上の光の乱反射は緩和されているが、SX2462Wはそれよりさらに表面処理のクセが気にならない。もっとも、こうした表示傾向による眼精疲労の感じ方は人それぞれだ(筆者はかなり鈍感なほう)。PC作業で目が疲れやすく、少しでも自分の目に合ったディスプレイを選びたいというユーザーは、店頭で実機を見比べて判断するしかないだろう。
次のページでは、今回のレビューを総括する。
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