インタビュー
» 2010年04月02日 10時53分 UPDATE

編集長に聞く:デジカメのデジタル家電化はどこまで進むか (1/3)

デジカメにおける顔検出やシーン認識などは一般化し、最近ではGPSや無線LANなどデジタル家電的な機能やサービスに対応する製品も増えた。そうした流れはどこまで行くのか?

[斎藤健二,ITmedia]

GPS内蔵や無線LAN対応の可能性は?

ITmedia: 前編(2010年、デジカメのデジタル的進歩とは何か)ではデジタルカメラのデジタル的進化について聞きました。アナログカメラではあり得なかった、デジカメならではの付加機能というものがあります。最近ではそうした付加機能もカメラ的な機能ではなく、GSP搭載によるジオタグ付加や無線LAN内蔵/対応など、デジタル家電的な機能を搭載した製品が増えているように思えます(GPSにフルHD、進化するデジタルカメラたち)

渡邊(ITmedia デジカメプラス編集長): ニワトリと卵の話になってしまうのですが、需要のないところにデジカメというマスプロダクトは作れません。とはいっても需要は作っていかなくてはならない。それのせめぎ合いです。

photo 裏面照射CMOS「Exmor R」に10倍ズームレンズ、フルHD動画にGPSとてんこ盛りの“サイバーショット”「DSC-HX5V」

 無線LANでいえば、スタジオ用トランスミッタは定番製品ですし、コンパクトデジタルカメラでも内蔵した製品は以前よりあります。GSP内蔵製品も既に存在しています。ですが、無線LANをカメラに内蔵すれば消費電力の増大を招きますし、磁石の塊ともいえるズームレンズとGPSを1の筐体に納めるためには防磁設計とアンテナ感度の両立という課題に取り組まなくてはなりません。

 こうした付加機能は最終製品の価格に反映されてしまいますが、ソニー「DSC-HVX5V」はGPS搭載にあたって「かなりのコスト的な無理」をしたそうです。無理をしてでも機能として搭載すれば、新たな利用者を獲得できると踏んでのことでしょう。

 ただこうしたデジタル家電的な機能は、カメラだけでは完結しないことが多々あります。ネットワークがない場所での無線LAN搭載機は何ら意味を持ちませんし、GPSを搭載して撮影画像へジオタグを埋め込めても、それを表示するアプリケーションやネットワークサービスがなければ、機能を搭載しただけのオモチャに過ぎません。そうした意味では、まだまだ、搭載したというレベルの製品が多いように見えます。

ITmedia: カメラで完結しない部分、今後の流れはどんな方向にいくんでしょう。

渡邊: 悲観する必要はないな、というのが個人的な感触です。デジカメの何が楽しいですか?という問いに対して、市場が立ち上がりはじめた当初は撮ったその場で写真が見えますという「即時性」が、その後にプリントやネットをつかった閲覧サービスなど「共有」がアピールされ、利用者の支持を得ました。

photo 無線LAN内蔵のSDメモリーカード「Eye-Fi」。各社が公式対応を始めている

 そして2009年には、デジタルフォトフレームの販売数が100万台を超えました。デジタルフォトフレームは基本的に単純な機能しか持たない「写真立て」ですが、「デジタル時代の写真立て」としての利便性で市場に受け入れられました。「デジタルならでは」として提案する機能や楽しさ、サービスが消費者の心をつかめば、市場が成立するともいえるでしょう。

 近々にモノになりそうなのは、無線LANではないかと思います。無線LANというインフラの普及率がそれなりに高いことが理由のひとつ、無線LAN内蔵メモリーSDカード「Eye-Fi」(レビュー参照)の影響も大きいですね。ニコン、カシオ、サンヨー、キヤノンなどで標準対応する機種も増えています。これらの利用者が増えていけば、時間はかかっても市場ができあがると予想しています。

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