――DSC-HX5Vは、2008年発売のDSC-H10の後継モデルですか?
伊藤氏: 直接的な後継機とはいえませんが、コンパクトな高倍率ズーム機という意味では、DSC-H10(ソニー、光学10倍レンズ&大型液晶搭載のサイバーショット「DSC-H10」)やDSC-H20(国内未発売)の流れをくんだ製品です。DSC-HX5Vは、主にファミリー層をターゲットにして「旅カメラ」というコンセプトを掲げ、国内外への旅行のほか、ちょっとしたお出かけなど日常的にも手軽に使っていただけるカメラを目指しました。
――AVCHDに準拠したフルHD対応機としても、GPS搭載機としても、画期的な小型軽量ボディですね。
伊藤氏: 高倍率ズーム搭載でコンパクトなモデルは他社からも発売されていますが、それに加えてフルハイビジョンのAVCHD動画を実現しているのは、まだほとんど例のないことだと思います。フルHDは企画当初から特にこだわった部分です。
蒲原氏: このボディサイズにAVCHD規格のフルHD動画を載せることは、かなり“攻め”の設計だったといえます。フルHD動画には電力が必要な回路が多くありますが、ボディをコンパクトにすればするほど、熱や電気処理の問題が大きくなります。その熱問題をクリアすることに苦心しました。
さらに、設計的に特に難易度が高かったのはGPSとコンパスの搭載です。GPSは微弱な電波を受信して測位を行いますが、レンズの沈胴機構や他の回路から生じる磁気やノイズを拾わないようにすることが大きなハードルでした。最終的には、アンテナを小型化したことと、IC自体もコンパクトのものが出てきたことが、GPS搭載ながら小型軽量ボディを実現できた要因といえます。コスト度外視で採用した、という面もあるかもしれません。
――GPSとコンパス機能は、どんな使い方を想定していますか?
蒲原氏: 画像にGPS情報が付加され、その画像を付属ソフトと連携させることで、Google MapやGoogle Earth上で、撮影した地点を表示することができます。しかも、単にGPSだけでなく、電子コンパス機能を搭載したことで、撮影したカメラの方向までわかります。
例えば遊びに行ったときに、写真を見て、なんとなくあのへんというのではなく、ピンポイントでここに行ったという記録を正確に残すことができます。風景や記念写真に限らず、花のクローズアップにも、ちょっとしたスナップショットにも、すべてGPS情報が記録され、頭の中には残らないような記憶まで刻むことができます。また、他人に写真を渡したときでも、撮った場所を相手に伝えることができます。そうした使い方が広がり、ひいては新しい写真文化の創造につながるとうれしいですね。
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