2010年のコンパクトデジカメ界は「裏面照射型CMOSセンサーが面白い!」である。たぶん、そうだ。
2010年の春になって各社がいっせいに採用し始めた裏面照射型CMOSセンサー。開発元のソニーでは1200〜1400万画素のCCDを「DSC-W380/W350/W3320」など普及タイプの製品に、1000万画素の裏面照射型CMOSセンサーを「DSC-HX5V」(レビュー)「DSC-TX7」(レビュー)など高機能ハイエンド系製品に搭載すると位置づけている。画素数の少ない方が上位モデルという、一見、逆転の関係であるが、1400万画素より1000万画素の方が偉いこともあるのである。
裏面照射型CMOSセンサーの特徴はふたつある。
ひとつは「裏面照射型」であること。細かい説明は省くが、従来型より受光面積を広くとれるため「高感度時の画質がいい」。実際のどのくらいいいかはカメラ側の画像処理が絡むので一概にはいえないが、おおむね1段分。
もうひとつは「CMOSセンサー」の特徴である速さ。CCDに比べ構造的な違いから高速な読み出しが可能なのだ。特にソニーのExmorと名付けられたシリーズは速さをウリにしていおり、フルハイビジョン動画やハイスピード動画、超高速連写(秒30コマ以上)といった大量・高速なデータ転送が必要になる撮影も可能だ。
このふたつに着目して各社の裏面照射型CMOSセンサーデジカメをチェックしてみた。各社とも特徴的なセンサーの使い方をしているので注目だ。まずは基本編。今回用意した5機種――ソニー サイバーショット「DSC-HX5V」、カシオ計算機 HIGH-SPEED EXILIM「EX-FH100」、リコー「CX3」、ニコン「COOLPIX P100」、富士フイルム「FinePix HS10」――の概要と高感度のチェックをしてみる。
ソニーのDSC-HX5V(レビュー)は2010年春の大ヒットモデル。在庫を切らした店も出たほどだ。ジャンルとしては「高倍率コンパクト」あるいは「旅カメラ」。それまでのシリーズ製品から一歩踏み出した大幅な機能強化がポイントだ。
35ミリ換算25〜250ミリ相当の10倍ズームレンズをコンパクトなボディに搭載し、更には本格的なフルハイビジョン動画撮影機能とGPSも搭載。さらにSD/SDHCメモリーカードにも対応したことで、幅広いユーザーにアピールしてきた。
ボディデザインは平凡だが、使い勝手はよく考えられており、特徴的な機能にはモードダイヤルからすぐアクセスできるよう設定されている。GPSは別途PCにつないで「GPSアシストデータ」を転送しておくと、初回の測位が格段に速くなる(ただし、Windows専用。残念)。周りの開けた場所なら10数秒で測位完了するほどだ。おかげでGPSがかなり実用的となった。フルHD動画はAVCHDとMP4のどちらかを選べる。
機能面の特徴は「高速連写した写真をデジタル処理で合成する」技に力を入れていること。これらについては後編で詳しく紹介する。
カシオの「高倍率コンパクト」あるいは「旅カメラ」といえば、1回の充電で約1000枚撮影可能(CIPA規格による)という驚異的なバッテリーライフのEXILIM Hi-ZOOM「EX-H15」だが、その裏面照射型CMOSセンサー版がEX-FH100。EXILIMにはCCDを搭載したEXILIM/EXILIM Hi-ZOOMとCMOSセンサーを搭載したHIGH-SPEED EXILIMの2系統があるが、それぞれに「高倍率コンパクト」が用意された感じだ。
EX-H15でウリだったバッテリのもちは約520枚(CIPA規格)と半分近くに落ちているが、他社のカメラに比べると格段にもつ。中身はEX-H15のボディに裏面照射型CMOSセンサーを搭載し、ユーザーインタフェースと機能をHIGH-SPEEDシリーズに準じたものとしたという感じだ。機能的にはHIGH-SPEED EXILIM「EX-FC150」に準じており、お遊び系のダイナミックフォトやおまかせ系のプレミアムオートは未搭載。そのかわりに、ハイスピード系機能が充実している。
連写は最高で秒40コマ(ただし電子シャッター。メカシャッター利用の秒10コマの連写も用意されている)だ。レンズは35ミリ換算24〜240ミリ相当の10倍ズームで、DSC-HX5Vに比べるとボディはちょっと大きめ。
特徴は「速さ」。とにかく超高速連写にハイスピード動画と、CMOSセンサーの速さを生かした機能がウリだ。他社はここまでの速さ追求はしていない。
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