ITmedia NEWS >

銚子電鉄訪問記 その1――撮りテツ初心者が気負わず写真を撮る方法ふぉとテツ 第1回(2/2 ページ)

» 2010年04月16日 19時29分 公開
[佐倉瑞歩,ITmedia]
前のページへ 1|2       
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

では実践と行きますか

 すみません。前置きが長くなりました。それでは実際にわたしが撮った写真をご紹介しながら、撮影方法について考えていきたいと思います。

 訪れた先で鉄道を撮るときには、わたしはある程度の「ストーリー」「テーマ」を考えることにしています。先ほども述べたように、今回の銚子電鉄なら、やっぱり「レトロ」がテーマになりますよね。古い車両がたくさん走っているし、中には思い出のある車両もあるに違いありません。そこを頭に入れながら、撮影してみましょう。

 撮影に行ったのは土曜日。週末の買い物を日曜日にずらし、子どもの世話を妻に頼み込んで、ようやくのことでゲットした貴重な休日です。ここは朝早くから出発して、十分に銚子電鉄を堪能することとしましょう。

photo 気になってたけど、あれ、この車両は……? やっぱ元銀座線?(カメラ:EOS 7D、レンズ:EF24-105mm F4L IS USM F4.5、1/500秒、ISO500)

「撮影したい!」と思える場所を探そう

 まずは電車に乗り、乗務員から「弧廻手形」という、630円の1日乗車券を買いましょう。この連載ではこれからいろいろな路線に乗る予定ですが、ふと「あ。ここで撮ってみたい!」と思ったときに降りられる1日乗車券は便利ですし、後々考えるとリーズナブルです。撮りテツの旅には欠かせないアイテムですね。

 まずわたしは、終点の外川駅まで、銚子電鉄を一通り乗ってみることにしました。“テツ”を自認しながら、銚子電鉄に乗るのは初めてだったんです。

 土曜日、しかも天気がいい日でしたので、乗っているのはほとんどが家族連れでした。がっ、“同好の士”もちらほら見かけます。そうした方が降りていく駅というのはあるんですね。撮影ポイントが分からない場合は、その人に乗っかっちゃいましょう。

 ただし、いきなり降りることはしません。チェックをしておいて、後で行ってみればいいんです。乗った車両は「営団地下鉄 銀座線」で使われていたようで、ポイント上を走るときに点灯する補助灯もそのまま残っています。外側のペイントは変わっていますが、この車両もゆっくり撮りたいですしね。

 さて、外川駅に着きました。ここはNHKの「にっぽん木造駅舎の旅」でも紹介された、味のある古い木造駅舎です。ではまず、この駅舎を撮ってみましょう。当日は快晴ということもあって、かなり日差しが強かったです。普通にシャッターを切ってみましたが、どうもトビ気味になってしまいます。

photo 強い日差しのため、手前の道路などが白トビしかけています(カメラ:EOS 7D、レンズ:EF24-105mm F4L IS USM F4.5、1/500秒、ISO100)

 カメラの設定をいじってもいいのですが、ここは「プログラムAE、何も考えず撮り」をそのまま実践です。しばらくするといい具合に雲が出てきました。そこで1枚撮ってみましょう。

photo .ずいぶんと落ち着いた雰囲気になりました。これならばいいかな?(カメラ:EOS 7D、レンズ:EF24-15mm F4L IS USM F7.1、1/125秒、ISO100)

 これはあくまでも一例ですが、設定をいろいろ変えるより「天気を味方につけたほうが早い」こともあるとわたしは思っています。何時間も待ったわけではないので“ラッキー”の部分はありますが、周りの状況を考えながら、撮影していきましょう。

 外川駅に、元京王線の車両と思われる電車が止まっていました。これは撮るしかありません。上のような、駅をアップにした写真はよく見かけますよね。ここはアングルを工夫して撮ってみてはいかがでしょう。車両がぐっと寄っている後ろに駅がある、というのはどうでしょうか。

photo 緑色に塗られたこの車両、京王線っぽい……。調べてみたら、伊予鉄道から来た元京王線の車両のようでした(カメラ:EOS 7D、レンズ:EF24-15mm F4L IS USM F6.3、1/160秒、ISO100)

銚子電鉄の中心部に行ってみよう

 では、銚子電鉄の中心部、仲ノ町駅に戻ってみることにしましょう。ここは銚子電鉄の本社、車庫に加えて、ヤマサ醤油の工場があるので、バリエーションに富んだ撮影ができそうです。

 降りてみるとちょうど車両が止まっていました。では、背景と列車のバランスを考えながら撮ってみましょう。「失敗したか?」と思ったら、何枚もシャッターを切ってみることです。そうするうちに、ベストショットが撮れると思います。

photo 左は「鉄子の旅」を描いた漫画家、菊池直恵さんがデザインした車両。オレンジ色が栄えていますね。こうして旅の思い出に、止まっている車両を撮っているだけでも楽しいものです。後ろに写っているのがヤマサ醤油の工場。自分で密かに「テツ萌えと工場萌えの合体」と呼んでいます(カメラ:EOS 7D、レンズ:EF24-15mm F4L IS USM F7.1、1/200秒、ISO100)

 車庫には、新たに導入される車両がペイント途中で置かれていました。外川駅で撮った元京王線2010系ですね。これも記録として撮っておきましょう。

 記録写真として撮るときには、車両全体だけでなく、列車の製造年が書かれているプレートや、台車でもいいし、「自分が残しておきたい」と思うところを撮ることが大事です。

photo 塗装途中な感じがまたなんともいいですね。ただし後で見ると、この、頭から撮った写真だけ……。横からも撮ればよかったかも(カメラ:EOS 7D、レンズ:EF24-15mm F4L IS USM F4、1/500秒、ISO100)

 ここまででかなりお腹いっぱいな感じですが……。やり残したことはありませんか?

 いやいやまだありますよね。動いている電車を撮っていないじゃないですか! 次回は駅から出て、“雑誌などで見るような写真”を撮ってみることを目指してみたいと思います。一度撮ってみたいと、思ったことあるでしょ?

著者プロフィール

photo

作倉瑞歩(さくらみずほ)。40半ばに到達してしまったおやじテツ。ペンネームはその名前の通り、「さくら」と「みずほ」が廃止になったときにATOKの変換候補とともに考え出したもの。「あさかぜ」の食堂車で飯を食ったことがある、が自慢。無類の機関車、客車、寝台車好きで、「ネ」を見るとクラッと来る。中学生のころに東京駅で撮影した「富士」の8ミリフィルムはどこに行ったんだろう……。


前のページへ 1|2       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.