では、「桜と鉄道」をテーマに、撮影をしていくことにしましょう。このお題は、日本人であれば皆さんが考えることなので、いい写真を撮っていらっしゃる方はたくさんいます。このキーワードでググってみると、山のようにヒットするかと思います。
望遠を使って、曲線を走る列車を桜とともに遠くから撮る。いいですよねー。でもそのためには、30分に1本来るか来ないかの列車を待って、狙わなければいけません。1つのポイントで撮影するだけで、その場所に行く時間を含めて2〜3時間は過ぎるでしょうね……。今回もいろいろな駅で、車の中から(あるいはバンを改造して車の上から)狙っている方々を多く見かけました。
しかし! 残念ながら家族連れにはそんな時間はないのでした。撮影できるのは駅、もしくは駅周辺に限られます。こういう制限の中でどれだけのものが撮れるか、考えてみましょう。
今回はオリンパスの「OLYMPUS PEN Lite E-PL1」(以下、PEN Lite)と発売されたばかりの広角レンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 9-18mm F4.0-5.6」を編集部に頼んでオリンパスからお借りして、EOS 7Dとともに持って行きました。
ここで「あれ?」と思われた方もいるかもしれません。「鉄道は、バズーカみたいな望遠レンズで撮ってる人、多いじゃん」と。しかしわたしは“普通の人”が鉄道を撮る場合、広角が便利だと思っています。
ご存じの通り、広角のメリットはなんと言っても、文字通り「広く撮れること」ですよね。「ワイド端(一番広いポイント)にした場合ゆがむんだよね」なんて言う人もいますが、「ゆがまないところを考えて、きれいに撮ればいいじゃん」と、思います。
ただし、もちろんここも“数”です。変にゆがんでいる写真は美しくないですが、水平を保つことを心がければ、左右に振ってゆがんでも美しく見えるポイントを探し、うまく収まるように撮ってみればいいんです。ゆがみを気にするより、大事なのは「見たままの光景要素をできるだけ写真に納めること」じゃないでしょうか。
前回(ふぉとテツ 第2回:銚子電鉄訪問記 その2――動く電車と構図の悩ましい関係)お話ししたよう、わたしのメインカメラはキヤノンの「EOS 7D」です。これには標準ズーム「EF24-105mm F4L IS USM」を付けていたんですが、「EF-S10-22mm F3.5-4.5 USM」という広角ズームレンズを買ったあとは、こればっかり使ってます。
先ほども書いたように、望遠レンズや標準ズームは遠くのポイントから列車を狙うのには適していますが、駅からしか撮ることができない場合は、あまり使い道がありません。とある鉄道雑誌には「列車の編成がすべて画角の中に入っていないものは鉄道写真と認めん!」と書いてありましたが、広角であれば、駅で撮ってもすべて入りますよん。
ところで、この前北海道の旧広尾線幸福駅に行ったんですが、「北海道で撮影するには広角欠かせない!」と思いました。あの広大な風景と駅を一緒に納めるのには、やっぱ広角でないと。このあたりは機会があれば、お話ししたいと考えています。
少々前段が長くなってしまいました。次回はいよいよわたらせ渓谷鐵道で桜と鉄道をいかに撮っていくかに触れたいと思います。
作倉瑞歩(さくらみずほ)。40半ばに到達してしまったおやじテツ。ペンネームはその名前の通り、「さくら」と「みずほ」が廃止になったときにATOKの変換候補とともに考え出したもの。去年、27年ぶりに横川駅を訪問。ぶった切られた信越本線のレールと、「碓氷峠鉄道文化むら」となった元車両基地の姿に涙する。たくさん置いてあった機関車には萌えたけど、動いてないのはやっぱり……。しかしここでは、EF63実機の運転ができるのだ! お金を貯めてチャレンジしてみたいものだが、その金があったらどこかに撮影旅行に行ける気がして、悩む。三連休パス、また売り出さないかな。釜石線にもう一度行きたい……。
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