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» 2010年05月20日 10時06分 UPDATE

デジタルだからできること:デジタル処理は再現性から作品性へ――オリンパス (1/3)

近年のデジタル一眼を語る際、注目すべきはミラーレス機の躍進。なかでもオリンパスの「PEN」シリーズは大きなヒットを記録した。そのオリンパスが考える「デジタルだからできること」とは何だろうか。

[渡邊宏,ITmedia]

 近年のデジタル一眼を語る際、語り落とすことができないのはミラーレス機の躍進だろう。構造上ボディサイズを小さくできることもあり、なかでもオリンパスの「PEN」シリーズはその軽快さでこれまで「重い」「分かりにくい」とデジタル一眼を敬遠していたユーザ層からも強い関心を寄せられ、大きなヒットを記録した。

 本連載「デジタルだからできること」では、旧来のカメラとは異なる進化の道を歩み始めたデジタルカメラの「デジタルならでは」を各社に尋ねる。今回はオリンパスイメージング イメージング事業本部 SLR商品企画部 SLR商品企画グループ 課長の寺田利之氏と主任課長代理の赤松直樹氏に、同社の「デジタルならでは」を聞いた。

photophoto オリンパスイメージング イメージング事業本部 SLR商品企画部 SLR商品企画グループ 課長の寺田利之氏(写真=左)と主任課長代理の赤松直樹氏(写真=右)

再現性から作品性へ

――御社デジタルカメラに搭載されている画像処理エンジンといえば「Ture Pic」ですが、搭載の歴史は古いですね。

赤松氏: 「Ture Pic」は世界初のデジタル専用設計システム「フォーサーズ」を採用したデジタル一眼レフ「E-1」(2003年)から搭載しています。デジタルカメラはフィルムカメラに比べると、ダイナミックレンジを始めとした再現性に難があると言われ続けてきましたが、その再現性をどのように向上させていくかを念頭に進化を続けてきました。

photo 2003年6月に発表された「E-1」

 その取り組みを続けている中で、ひとつの変化がみられたのは、2008年ごろです。そのころにはデジタル一眼レフの画質が一定のレベルまで向上してきた時期で、フィルムカメラならばフィルムを交換しないと対応できない状況でも、デジタル処理で対応できるようになってきたのです。そしてデジタルカメラ自体が広く普及するに従い、写真を目にする機会が増えてきたのです。そのなかで、作品性、テイストといった領域へ、利用者の関心が寄せられてきたのです。

 そこで2008年12月に発売した「E-30」では、これまで追求してきた再現性も進化させながら、表現力の向上を加えました。その端的な例が「アートフィルター」です。フィルム交換でしか得られなかったテイストを、デジタル処理で気軽に味わえることができます。ちなみにE-30ではTure Picは「Ture Pic III+」へ進化しています。

 「アートフィルターといっても画像処理でしょう?」という声は確かにありました。ですが、アートフィルターは“OLYMPUS PEN”「E-P1」「E-P2」、そして「E-PL1」にも搭載し、その総数も現在では9種類まで増えています(E-30では6種類)。搭載機を出していくたびに好評の声を頂いています。

photo アートフィルター処理の概念図。単純なフィルター処理ではなく、画像解析の結果に基づき、最適な結果が得られるようにデジタル処理を行っている

――最新機種「E-PL1」では新たに用意された「ジェントルセピア」を含む、6種類のアートフィルターを搭載しています。ですが、画像処理エンジンはE-P1/P2と同じく「True Pic V」です。これは画像処理エンジンがある程度でも、完成の域に入ったことを意味するのでしょうか。

赤松氏: どこがゴールなのかという話になります。ひとつ例を挙げるだけでも、高感度撮影時のノイズなど、まだまだ進化の余地はありますし、改良は常に進めています。ですが、カメラのデジタル化によって写真がより身近になり、求められるものが多様化していることには留意しなくてはなりません。アートフィルターとは、「写真を作品として撮りたい」「あんな写真が撮れたら」など、多様化する要望に答える手段のひとつなのです。

寺田氏: 一時期、フィルム名を冠した仕上がりモードを関した製品がいくつか登場しましたが、その反応はあまりポジティブではなかったように感じました。E-1を出した時、「リバーサルフィルムと同じテイスト」など言われるのがうれしかったのも事実です。ですが、JPEGで出力するときのテイストについては、各社の思いが込められています。わたしたちでいえば、一貫して「空の青」「オリンパスブルー」を大切にしてきています。この評価を保ちたいのです。

 RAWは撮像素子の素直な出力として歓迎されていると思いますが、ここにきて、写真の楽しみ方が変化しているようにも感じるのです。“新しい楽しみ方”をしている人へ向けた絵作りもを考えなければならない時期に来ていると思うのです。

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