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第128回 ランチとおいしさと温かさの関係今日から始めるデジカメ撮影術(2/3 ページ)

» 2010年05月27日 09時44分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

同じ料理でも撮り方でこんなに変わる

 では実践編。外光が入らない奥の部屋でランチを撮ってみる。

 料理を撮るとき大事なのは「色」。特に白熱灯系の照明だと、オートホワイトバランスが弱いカメラが多い。カメラが悪いんじゃなくて、たいていのカメラは「白熱灯の時はちょっと雰囲気を出す感じ」の色に調整してくれるからだ。

 そんなときはまず、手近な白いナプキンでも使って試し撮りしてみる。

オートホワイトバランス(写真=左)、太陽光(写真=右)

 白熱灯で太陽光に合わせて撮るとかなり赤っぽい。オートだと少し赤みを残した感じになる。

 ではこの白いナプキンが真っ白に写るようホワイトバランスを調整してみよう。ホワイトバランスをカスタムセットする機能を使うのだ。エントリー向けのコンパクトデジカメにはこの機能がないこともあるが、まあ、それなりのカメラならある。

 合わせてやるとこうなる。

 白が白くなった。さて実際にランチを撮るとどうか。

オートホワイトバランス(写真=左)、カスタムホワイトバランス(写真=右)

 カスタムで設定した方が本来の色がちゃんと出るのだ。

 ではこのどんぶりのメインである鶏肉にフォーカスしてみよう。

 背景が大きくボケて被写体にフォーカスした写真をとるならいわゆゆネオ一眼系のカメラがいい。おすすめはライブビューで撮れるオリンパス「PEN」シリーズなどマイクロフォーサーズ機やソニーの「NEX」シリーズ。

 お店に撮影許可をもらって本格的に撮る、というのならともかく、普通は「あーおいしそう、食べる前に撮ろう」って感じじゃない? 当然、席に座ったままだから、光学ファインダーをのぞいて撮るとなるとどうしてもアングルが限られる。それにミラーボックスのあるデジタル一眼レフはたいていシャッター音も大きくて大げさになる。

 ライブビューが実用レベルで使えるカメラだと、座ったまま自由なアングルで撮れて便利。ちなみにここで使ってるのはパナソニックの「DMC-GH1」(→レビュー:一眼レフでもコンデジでもない高性能デジカメ――パナソニック「DMC-GH1」 )。すべての写真を普通に座ったまま撮ってます。

 で、失敗例を。

 失敗点は2つ。ひとつはどんぶりの角度。お肉をメインにするなら肉が目立つアングルで撮らなきゃいけない。どんぶりを撮りやすい方向に回せばいいだけだから簡単。もうひとつはピント。ピントが肉じゃなくてもやしやネギに合ってしまってる。

 デジ一眼系のカメラは背景が大きくボケるかわりに、ピントの合う範囲が狭くてシビアなのだ。ちゃんと確認して合わせること。

 お肉へピントをあわせて見た。ふわっと明るく、てりてりしたお肉である。

 しかし、これだと肉ばかりでどんな料理だか分かりにくい。カメラを縦位置にしてちょっと上から撮ってみるといい感じ。

 どんぶりの丸い感じを楽しみたいなら真上から。

 液晶モニタが動くカメラなら、座ったまま腕を伸ばせばこんな写真も撮れるのである。ただ、こういう変則的な撮り方をするときは手ブレしやすいので、ISO感度を高めにしてシャッタースピードを上げること。それ以上に明るい単焦点レンズを使うのがいい。背景もぼけるしシャッタースピードをあげやすい。

 もうちょっと個性的に撮りたいなあと思ったら、いろいろ試してみるべし。例えばわざと斜めに撮ってみるのもアリ。

 でもこのお店は照明の雰囲気がいい。実はこんな感じの電気スタンドが置いてあって、暖かい色がある。

 料理もいいけど、この雰囲気も残したいよね、と思ったらホワイトバランスのセッティングも変わってくる。こんな感じだ。

カスタムホワイトバランス(写真=左)、太陽光(写真=右)

 わざと照明の赤みを強調した方が雰囲気が出るでしょ。ランチというよりは、深夜のホテルでひとりさびしくルームサービスで丼を食う出張中……みたいな感じだけど、でも撮ったのはお昼です。

 ポイントは、同じ場所で同じ料理を撮っても、これだけバリエーションを出せるということ。だから写真は面白いのだ。

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