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IXY初のF2.0レンズ&裏面CMOSセンサー搭載、「IXY 30S」を楽しむ(2/3 ページ)

» 2010年06月01日 10時52分 公開
[ITmedia]
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 前述したとおり、IXY 30Sは搭載する裏面照射型CMOSセンサーのリソースを画質面へ割り振った作りとなっており、特殊な撮影機能は搭載しない。そのためかメニュー画面を含めた操作はシンプルだ。本体上部のモードスイッチでは動画/プログラム撮影(静止画)/こだわりオートの3つを切りかえられるが、絞り優先やシャッタースピード優先の撮影モードにするためにはメニューを開いて選択する必要がある。基本的にはオート撮影が念頭にあるモデルといえる。

photophotophoto 非常にシンプルな背面。ホイールも適度な手応えがあって回しやすい(写真=左)、上面にはモード切りかえとシャッターボタン、電源のみ(写真=中)、絞り優先やシャッタースピード優先、各種シーンモードはメニュー画面から選択する(写真=右)

 こだわりオートには、昨今のコンパクトデジカメでは標準的な機能となった顔認識&シーン認識機能を備えており、その認識パターンは合計22に上る。フラッシュは被写体や明暗、距離などを総合的に判断する「ぴったりフラッシュ」となっており、「暗所で人物」といったシチュエーションでも背景まで自然に映し出す。

 その写りだが、ひと言で言えばキヤノン製品らしい自然な発色。オートホワイトバランスの判断も優秀だ。全体的にはやや明るめに仕上げる傾向にあり、手にした誰もが「きれいに撮れた」と感じられる写真を撮影してくれる。高ISO感度でのノイズの少なさはこれまでのIXYと比較すると特筆に値するデキで、同条件での撮り比べをしていないので恐縮だが、感覚としてはPowerShot S90/G11と同レベルと言って差し支えないと思う。

photo やや風の強い日のため、シャッタースピードは1/2000秒となったが、中心にピタリとピントを合わせてくれた。撮影モード「オート」、1/2000秒 ISO 125 F2.8
photo このシチュエーションでは、こだわりオートによって「風景」×「夕焼け」と認識された。撮影モード「オート」、1/1250秒 ISO 200 F5.3
photo 左手前の子どもを顔認識した。晴天下だが、動きの速い子どもにあわせてかシャッタースピードは1/1000秒に。撮影モード「オート」、1/1000秒 ISO 250 F2.8
photo 心地よい晴天の銀座。中央奥の空もキレイの階調が表現されており、白トビはほぼない。撮影モード「オート」、1/1600秒 ISO 125 F2.8
photo オートマクロも備えている。花びらの先までシャープな描写だ。撮影モード「オート」、1/1600秒 ISO 200 F2.8

 撮影してみて痛感したが、やはりレンズが明るいのはありがたい。F2.0-5.3とテレ端はやや暗めではあるのだが、焦点距離が35ミリ換算28〜105ミリなので、ワイド端を多用するスナップがメインとするならば非常に扱いやすい。高感度時のノイズも少ないので、ちょっと薄暗い夕方の室内などでも、オートで気軽に撮れる。なお、作例を見て分かるよう、オート撮影のワイド端では相当に明るい環境でもF2.8あたりになることが多く、暗い環境になるとF2.0まで上げることでシャッタースピードを稼ぎ、ブレを防ぐようだ。

 裏面照射型CMOSセンサーの高速性を利用した連写機能も強力で、10メガのフルサイズ画像を秒間約3.7コマでメモリカードの上限まで撮影できる。画像サイズを2.5メガのサイズまで下げれば速度は秒間8.4コマまで引き上げられる。動画は最大1280×720ピクセルのハイビジョン動画が撮影できるほか、240fpsで撮影した動画を30fpsで再生することでスローモーション再生を楽しめる機能も備える。

 IXY 30Sは同社初の裏面照射型CMOSセンサーの搭載機であるが、他社の裏面照射型CMOSセンサー搭載製品に比べると機能的な派手さはない。だが、暗い場所でもブレず、しかもノイズの少ない写真が撮れるのはうれしいものだ。低ISO感度時に解像感があまり感じられず、甘い感じになることが多いのはやや気になるが、これは裏面照射型CMOSセンサーを搭載する各社製品に共通する傾向であり、センサーに関するノウハウが蓄積された次世代機以降では解決を期待できるだろう。

 IXYとしての立ち位置を明確にするためか、PowerShot S90/G11のように細かな撮影設定を瞬時に施すのは苦手だが、その分だけ操作は簡便であり、誰にでも使いやすい。「マニュアルでいろいろしたい人にはPowerShotをどうぞ」というキヤノンからのメッセージなのだろう。イエローやレッドなど特徴あるカラーリングにひかれて手にしても、後悔することはないはずだ。

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