操作ボタンは液晶ディスプレイの右フレームに配置されている。縦に並んだ4ボタンのいずれかを押すと、OSDの簡易メニューが起動する仕組みだ。簡易メニューの項目は各ボタンに対応しており、上からショートカット1、ショートカット2、OSDメインメニュー、終了となる。デフォルトでは、ショートカット1で画質モード(プリセットモード)のメニュー、ショートカット2で輝度/コントラストのメニューを呼び出せる。もちろん、ショートカットをほかのメニューに変更することも可能だ。
OSDのメインメニューには、輝度/コントラスト、自動調整、入力信号、色設定、画面設定、その他の設定、カスタマイズ(ショートカットの設定)といった項目を用意。色設定のモード選択では、グラフィックス(PC用)とビデオ(映像機器用)の2種類が選択可能だ。グラフィックスモードでの画質モードは標準、マルチメディア、ゲーム、暖色、寒色の5種類とユーザーカスタムモードを1つ用意する。ユーザーカスタムではRGB各色の増減による調整が行える。一方のビデオモードはムービー、ゲーム、スポーツ、自然色の4種類を備える。
ガンマはPCとMacの設定があるのみで、色温度やガンマの数値での設定には対応しない。また、低価格な製品のためか、画面設定のワイドモード(スケーリング機能)は4:3(アスペクト比固定拡大)または全画面フルスクリーン拡大があるのみだ。スケーリングはグラフィックスカードのドライバ機能を利用したい。
次は実機の表示をキャリブレーターで測定し、ガンマ特性と色再現域を確認しよう。測定にはエックスライトのキャリブレーター「i1Pro」(製品パッケージとしては「i1Basic」)を用いた。検証したのは2点だ。まずはi1ProでU2211Hをソフトウェアキャリブレーションし、測定結果のグラフからプリセットモードのガンマ特性を調べた。次に、Mac OS XのColorSyncユーティリティを用いて、i1Proで作成したプロファイルをsRGBの色域に重ね、色再現域をチェックした。
i1Proでの測定結果を見ていこう。U2211Hは画質モードにsRGBの設定がないため、標準モードで測定を行った。目標値は色温度を6500K、輝度を80カンデラ/平方メートルとしている。標準モードでは色の調整ができないため、そのままの状態で測定している。結果はRGB各色ともガンマが直線的に重なっており、意外にもといっては失礼だが、まずまずだ。中間階調から明部にかけてズレが生じているが、低価格帯の製品であることを考えれば、許容できる範囲ではないだろうか。
一方、ColorSyncユーティリティで見た色再現域はsRGBの色域から少しズレてしまった。画質モードの名称がsRGBではないため、sRGBの再現性は追求していないのかもしれないが、公称スペックではsRGBカバー率100%をうたっていることもあり、ユーザーによっては色域のズレが気になるかもしれない。より正確な色再現を求めるならば、ユーザーカスタムモードを用いて、細かくキャリブレーションを行うほうがベターだろう。
エックスライトの「i1Basic」は、測色器の「i1Pro」が付属し、ディスプレイのキャリブレーションに機能を特化したパッケージだ。名前の通り、i1シリーズの中ではエントリーモデルにあたるが、i1Proはスペクトル方式を採用した測色器で、フィルター方式のエントリーモデル「i1Display 2」に比べて、検出精度がかなり高い。同じくスペクトル方式の「ColorMunki」と比較しても、さらに高い精度が得られる。
i1Basicをベースとして、より高度なカラーマネジメント環境を構築したい場合は、必要に応じてソフトウェアの機能を拡張することも可能だ。
日本国内では加賀電子が取り扱っており、クリエイター向けオンラインショップ「KGDirect」や「CGiN」で購入できる。両サイトでのi1Basicの価格は16万9800円だ。i1シリーズの製品紹介サイトはこちら。
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