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第132回 秋の空と表情の関係今日から始めるデジカメ撮影術(2/3 ページ)

» 2010年09月24日 10時28分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

朝日と夕日

 雲がいつにも増してあやしく輝くのが早朝と夕方。太陽の位置が低いときだ。上空は青、低空は赤というグラデーションに、雲が複雑な模様を作り出してくれる。

 大事なのは明るさと色。ホワイトバランスは「太陽光」が基本。赤みを強く出したいときは「曇天」や「日陰」にする。

 露出はマイナスに。早朝や夕方は意外に暗いので、カメラ側で明るく写そうとしちゃうのだけれど、それだと雰囲気が出ないしシャッタースピードも遅くなる。ここは思い切ってぐぐっとマイナスを強めにかけて。



 ちょっと暗い方がいい色になる。

 ちなみにこれは明け方、日の出直後くらいの南の空。雲が朝日を浴びて赤くなってるところだ。右上にいるのが月。朝日を撮るために起きていたわけではなく、たまたまTwitterをしてたら、朝焼けがキレイ、というつぶやきがいくつも出てきたので慌ててベランダに出たのだ。

 夕焼けは偶然出会うことがあっても、朝焼けはなかなかそうはいかない。偶然空を見てる時間帯じゃないし。

 そんなとき、Twitterが役に立つ。朝まで起きてる、あるいは超早起きの誰かさんが朝焼けがすごいとつぶやいてくれるのだ。それを見たらあわててカメラを持って外へ飛び出るのである。

 自分が見つけたらもちろんつぶやく。

 偶然現れる鮮やかな朝焼けや夕焼けも、誰かが見つけてつぶやくことで拡散し、たまたまそれを見て慌てて撮りに行くこともできるのである。リアルタイムメディアの時代だ。

 そうして撮ったすごい朝焼けの写真を。



 新宿のNTTドコモタワーと建設中の東京スカイツリーのちょうど間に朝日が昇る瞬間だ。いい感じに雲がかかってくれたおかげで、撮りやすくなった。

 1枚目と2枚目の違いは焦点距離。望遠でぐぐっと寄って撮ったあとで、いやこれはもうちょっと引いて東京のシルエットを出して、空のグラデーションをきちんと見せた方がカッコよいのではないかと撮り直したのである。

 露出はマニュアル。1/640秒でF6.3。オートで撮ると絶対に露出オーバーになる。太陽も真っ白にトんでしまう。ここはマニュアルで設定し、液晶画面でチェックしながら調整するのがいい。ホワイトバランスは「太陽光」固定で。

 そして水平に注意しつつ撮る。アンダー気味に撮るので手持ちでなんとかなる。

 ちなみにこの風景を広角レンズで撮るとこうなる。


 右下に朝日。上空はまだ夜の色で徐々に明るくなっているのがわかる。これも朝焼けに露出を合わせているので左の方は真っ暗だ。でもそれでこそ日の出前だから。

 この写真で分かるように朝焼けのポイントは雲と撮影場所。上の朝焼けのように厚い雲が切れ切れにあるとそこから真っ赤な光が漏れてきれいだし、光が透けるような薄い雲がややこしく空を覆っているとこんな朝焼けになる。


 夕焼けもそうだけど、近所に撮影向きのスポットを探しておくといい。見通しがよくてちょっと高台のところ。

 朝焼けが楽しいのは東の空のみにあらず。

 朝日が出たばかりの時間、真横からの光が雲を赤く染めるさまも捨てがたいのだ。続いては朝日が出た直後の真南の写真。

 日の出直後でまだ街には日が当たらず、上空の雲だけが赤く染まり、雲のない空は深い青を保っている。

 あまりに絵画的な空だったので超広角レンズ(18ミリ相当)を付けて撮ってみた。


 東、南ときたら、次は西の空の番だ。

 これは大事。なぜならときおり虹が出ているからだ。


 これもTwitterで朝焼けがすごいと知ってあわてて外に出たとき、偶然西の空をみたら虹が……という写真。

 巨大な虹がかかってた。

 虹は夕立のあと(最近ではゲリラ豪雨?)に出やすい。これも実はTwitterで誰かが東の空に巨大な虹が出てるという発言を見てあわてて外に出て見つけた虹。

 この日、東京で東方の見通しがよい場所にいた人は大勢見たであろう虹だ。巨大な虹が二重にかかっている。


 実はこの虹、普通に撮るとこんな色だった。


 日没直前で、夕日を浴びて雲が赤く染まっており、その前に虹がかかっていたのだ。1枚目の虹写真はRAWで撮影し、あとで虹が引き立つようホワイトバランスを調整したもの。RAWで撮っておくと、後からこういうことができる。

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