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使い勝手を高めたハイエンドコンパクト――「PowerShot G12」(2/3 ページ)

» 2010年10月14日 11時00分 公開
[ITmedia]
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第3のAF「キャッチAF」

 AFについてはG11が備える「顔優先AiAF」「アクティブ」に加えて、新たに対象が人でなくとも画面中央の被写体を追尾してピントを合わせ続ける「キャッチAF」を搭載した。このモードでは被写体を画面中央に収め、AFフレームボタンを押すと画面のAFフレームが追尾状態に入る。この状態でシャッターボタンを半押しすると、AFフレームの色が青に変わり、自動でピントと露出をあわせ続け、全押しすると撮影が行われる。

 AFモード「アクティブ」で選択できるサーボAF/AEを利用しても近い効果を得られるが、サーボAF/AEではピントと露出をあわせ続けるには半押し状態を維持する必要があるため、クイックAFを利用した方がより簡便に動いている被写体へピントと露出をあわせ続けることが可能だ。ただ、マクロモード時には利用できないほか、被写体が非常に小さい、非常に高速に動いているなどの際には上手に機能しないことがある。なお、撮影モードが「AUTO」ならば、メニュー画面からAFモードを切り替えずとも、測光ボタンのワンプッシュでキャッチAFを起動できる。

photophoto AFは「顔優先AiAF」「アクティブ」に加えて「キャッチAF」を搭載した(写真=左)、キャッチAFで芝生の鳥を。フレームに対して小さく、また、素早く動く被写体だが、無事に追尾してくれた(写真=右)

 撮像素子はG11と同じく1/1.7型 有効1000万画素CCDだが、ノイズリダクション処理の改良によってより高感度撮影時のノイズ低減が図られた。ISO感度はダイヤルで3200まで(ローライトモードでは12800まで)増感可能で、ISO400ないし500ぐらいまでは実用的に感じる。さすがに3200まで増感した写真を実寸表示するとノイズが目に付くが、それでもどうしてもブレを抑えて撮影したい時やハガキサイズのプリントが前提ならば、十分に役立つ。

photo ISO3200で撮影した夜のオフィス街。1/15秒、F2.8、WBオート
photo 秋祭りでにぎわう街中。非常に晴天だったが白トビも上手に抑えている。1/640秒、F4、ISO640、WBオート

 撮影機能については、加速度センサーを搭載することで、被写体に対してカメラが水平に移動した際に発生する「シフトブレ」を抑制する「ハイブリッドIS」の新搭載がトピックの1つ。主にマクロ撮影時に有効な機能で、花びらを接写したい時などに恩恵を受けられる。ハイブリッドISだけを有効/無効とすることはできず、手ブレ補正の設定については、常時オン/撮影時のみ/流し撮り(上下方向の補正のみを有効にする)の3つから選択するようになっている。

photo ハイブリッドISによってこのようなマクロ撮影もブレを抑制できる 1/400秒、F4.5、ISO80、WBオート、ポジフィルムカラー

 本製品と前モデルであるG11に比べるとスペック的には小規模なマイナーバージョンアップとなるが、電子ダイヤルの新設による操作性向上は大きなメリット。高級クラスのコンパクトデジカメを選択する理由の1つに「どれだけ撮影者の意図を素早く反映できるか」を挙げるユーザもいるかと思われるが、本製品はカメラを構えた状態で電子ダイヤルで素早く項目を設定できるため、一眼レフライクなストレスのない撮影が可能だ。

 それだけに光学ファインダーの実用性が低いのは残念なところ。レンズ位置によっては鏡胴でファインダーのケラレも発生し、正直に言って構図の確認以上には使えない。バリアングルの液晶モニターには直射日光下での視認性を高める「LCDブースター」や夜間に明るく写す「ナイトビュー」などの機能を備えており、撮影に際して不満を覚えることはない。ただ、個人的には本製品に一眼レフのサブカメラとしての役割も期待したいだけに、液晶利用時と同じぐらい、ファインダー利用の撮影スタイルにも応えてほしかったと感じた。この辺りは次モデルに期待したい。

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