ITmedia NEWS >

カスタマイズ性とサイズ感の両立――キヤノン「PowerShot S95」(2/5 ページ)

» 2010年11月01日 11時05分 公開
[小山安博,ITmedia]
※本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています

多彩な設定が可能なマニュアル撮影

 オートモードでの気楽な撮影だけでなく、自分で撮影設定を細かく設定して撮影できる高機能性も本製品の魅力だ。

 モードダイヤルにはオートだけでなく、P/S/A/Mのマニュアル撮影モードも備えており、絞りやシャッタースピードを自分で設定して撮影することができる。絞りやシャッタースピードの変更には背面のコントローラーホイールが威力を発揮し、操作しやすい。マニュアル露出モードの場合は、コントローラーホイールでシャッタースピード、コントローラーリングで絞り値をダイレクトに変更できる。なお、コントローラーリングで設定できる内容は変更することも可能だ。

photophoto マニュアル撮影も可能で、気軽に高度な撮影ができる。コントローラーリングで絞り、コントローラーホイールでシャッタースピードを変更できる。アイコンでリングとホイールのどちらを使うかが分かるようになっている

 マニュアル撮影では、ファンクションキーを押すことでISO感度、ホワイトバランス、マイカラーなど主要な撮影機能の設定ができる。画像サイズでJPEG以外にRAW、RAW+JPEGが選択できるのはコンパクトデジカメでは数少ない部類に入る。

 撮影時の設定では、ISO感度設定のオート範囲を標準のISO80〜1600に加え、ISO3200までといった具合にカスタマイズできる。さらにISO感度オート時にISO感度の上がり方も決められる。普通/早め/遅めの3段階で、早めに設定すると、ISO感度が早めに上がるため、手ブレ、被写体ブレを抑えるためにシャッタースピードを速くしたい場合に有効だ。逆に動体をあまり撮らず、手持ちの撮影で光学式手ブレ補正を信頼する場合はISO感度の増感を遅めにして、低感度で撮影する、といった使い分けができる。ちなみに、ISO感度を1/3ステップで変更できるのも、コンパクトデジカメではあまり多くない。

photophoto キヤノンのコンパクトデジカメでは一般的なファンクションキーでの設定画面。ISO感度は1/3ステップで変更できるほか、MENUボタンを押すとオートでの最高感度も設定できる

 ホワイトバランスに関しては通常のオートホワイトバランスや太陽光などのプリセットに加え、グリーンとマゼンダ、ブルーとアンバーのマップから、実際の色味を見ながら微調整を行うことができる。撮影時のアスペクト比変更機能も搭載する。一般的な4:3、デジタル一眼レフに多い3:2、テレビ向けの16:9に加え、1:1、4:5という珍しいアスペクト比をサポートしている。

photophotophoto ホワイトバランスの設定画面。DISPボタンで2次元マップから補正を行える(写真=左、中)、アスペクト比の設定画面。単純に上下をカットするタイプのアスペクト比変更ではある(写真=右)

 ダイナミックレンジ補正と暗部補正を調整する「i-コントラスト」機能も搭載しており、それぞれを個別にカスタマイズすることができる。ダイナミックレンジ補正は、オート、200%、400%の3種類から選択できる。ダイナミックレンジ補正は、ISO感度を部分的に上げることで暗部の補正を行うため、補正量を上げるほど最低ISO感度は上がることになる。オフの場合の最低ISO感度はISO80だが、200%にすると最低ISO感度はISO160に、400%ではISO320になる。暗部補正はオフまたはオートの2種類からの選択となる。こちらはISO感度への影響はない。

photophoto ダイナミックレンジ補正と暗部補正の設定画面。DISPボタンで切り替えて設定する。ダイナミックレンジ補正を400%にしたとき、もともとISO80だったISO感度が自動でISO320になる
photophotophoto 左からダイナミックレンジ補正オフ、200%、400%。特に雲の部分で補正の効果がよく現れている

 こうした細かい設定は、フラッシュにもあり、フラッシュ設定時にMENUボタンを押すと詳細設定画面で発光モードや調光補正、シンクロ設定、赤目自動補正といった設定が可能。このうち調光補正に関しては、フラッシュ設定時にレンズ周辺のコントローラーリングを回すとそのまま設定が行える。

photophoto フラッシュの設定画面とセルフタイマーの設定画面。コンパクトデジカメとしては細かい設定が可能

 さらにセルフタイマーも細かい設定が可能で、セルフタイマーを選択すると、何秒間隔で何枚の写真を撮るかをカスタマイズできる。十字キー左右で撮影枚数、コントローラーリングで撮影間隔を設定でき、撮影枚数を1枚にすれば通常のセルフタイマーとして利用できる。

 こうした細かいところまで直接設定できるのがS95の強みだ。オート撮影ならば難しいことは考える必要がないし、細かい設定ができることで、より自分の好みに応じた撮影ができるため、上級者でも満足できる仕様になっている。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.