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「α55」第2回――動画撮影でも快適なAF、そして熱くなる長期試用リポート

» 2010年11月17日 11時30分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
photo 「MOVIE」ボタンを押せばモードダイヤルのいちに関係なく動画撮影が開始される

 α55/33に搭載されている「トランスルーセントミラーテクノロジー」は、ミラーアップ&ダウンなしに位相差AFを利用可能としたその機構によって、動画撮影中にも位相差AFによる高速なAFを利用可能としている。今回はその動画機能を確認する。

AFは快適だが動作音に注意

 α55で撮影できる動画はNEX-5と同じく、AVCHD/1920×1080ピクセルのフルハイビジョン、もしくはMP4/1440×1080ピクセル、640×480ピクセルの合計2フォーマット3サイズ。フルハイビジョン撮影時のビットレートは17MbpsとこれもNEX-5と同等だが、大きく異なるのはAF方式で、α55は動画撮影中にも位相差AFを利用できる。

 まずは下の動画を見てもらおう。落ち葉の上のスズメという似た色彩の背景と被写体だが、AFは手前のスズメに頑張って追尾している。途中(再生開始より15秒ほどの時点)で手前のスズメが飛び立つが、AFは自動的にほかのスズメへ焦点を切り替えている。

 動画撮影中に絞りとシャッタースピードの変更は行えないが、ホワイトバランスやクリエイティブスタイル、露出補正、フォーカスエリア、測光モードといった多くの設定は静止画撮影時のそれを引き継ぐことができる。絞り値については、絞り優先モード時の値を引き継いで撮影できるので、ある程度の意図を範囲させることが可能だ。また、フォーカスエリアに「ローカル」を選択している場合には、撮影中にピントの合う場所を変更しながらの撮影も行える。

 動画撮影中にAFが利用できるというと、その動作音が気になるところ。キットレンズ「DT 18-55mm F3.5-5.6 SAM」「DT 55-200mm F4-5.6 SAM」はいずれもSAM(スムースAFモーター)を搭載しており、夜の室内など静かな環境でAFを動作させると動作音を拾うことはあるが、集音マイクが敏感に外の音を拾ってくることもあって、屋外で撮影する分にはあまり気にならなかった。ただし、頻繁にAFを駆動させるシチュエーションでは気になるレベルとなる。

 あと、これは試用機のみの問題という可能性もあるが、2本ともにズームリングがやや渋く、トルクが全域に渡って一定ではないため、テレ/ワイドを移動させながらの動画撮影を行うと映像がカクカクしてしまった。ちょっとこれでは撮影しながらのズーミングをする気にはなれない。

 NEX-5に付属するEマウントレンズ「E 18-55mm F3.5-5.6 OSS」やビデオカメラ「NEX-VG10」にも利用できる「E18-200mm F3.5-6.3 OSS」を試用した際には、はこうした動作音やズーム時のカクカク感はなかったので、これはレンズがどこまで動画撮影を考慮したものかの問題だろう。

熱くなる動画撮影

 α55はカタログ上、最長約29分までの連続動画撮影が可能となっているが、実のところ、29分の連続撮影はほぼ無理。動画撮影は撮像素子に多くの電力を必要とするため、連続して動画を撮影し続けるとカメラ内部の温度が上昇して、警告が発せられ、最終的にはほぼ29分もたずに強制シャットダウンしてしまうからだ。

photophoto 残時間の下に出ているのが、動画を撮影していると頻繁に目にすることになる警告マーク(写真=左)、シャットダウン後にはカメラを冷却するよう促される

 サポートページ(「α33/55 動画記録時間に関するお知らせ」)によればα55の最長動画撮影時間(連続稼働時間)は手ブレ補正オフ時/環境温度20度で約29分。環境温度が上がれば時間は短くなり、手ブレ補正をオンにするとさらに時間は短くなる。

 手ブレ補正オン/環境温度20度では約9分となっているが、実際のところ、動画を撮影していなくても、フレーミングしたり、設定を変更していたりすると、9分の撮影は行えず短い時間で警告が出てしまい、シャットダウンしてしまう。シャットダウンすると、数分間は排熱のためカメラを放置しなくてはならなくなる。

 前出のページには「できるだけ直射日光を避ける」「使用しないときはこまめに電源を切る」「使用可能な場合には三脚を使用して、手ブレ補正を [切] にする」といった対策を勧めているが、本製品の性格から気軽に動画を撮る(動画ボタンも押しやすい場所にあることだし)ことを考えると、手ブレ補正をこまめにオン/オフするのはちょっと現実的ではない。

 これから冷え込む時期なので屋外の撮影ならば自然冷却を期待できるが、室内は暖房でむしろ暖かいことも多い。動画撮影の専用機ではないのは承知の上だが、オートフォーカス自体はビデオカメラに迫る快適さを提供してくれるだけに、この制限はとても残念なものに感じてしまう。

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