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GPS内蔵旅デジカメの本命――“EXILIM”「EX-H20G」(2/5 ページ)

» 2010年11月24日 11時39分 公開
[荻窪圭,ITmedia]
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 GPSの欠点は2つある。

 ひとつは人工衛星を利用するため空が見えない場所では捕捉できないこと。その場合はモーションセンサーを利用し、最後に取得した場所からの移動方向と距離で位置を予測するのだ。これはすばらしい。

 もうひとつの欠点は最初の測位(GPS衛星を捕捉してから位置を特定するまで)に時間がかかることで、他社の製品でもどうしてもその日の最初の1枚や大きな移動後の最初の1枚で問題が発生する。時には2日前に取得した場所が書き込まれてしまうことも。

 一度測位してしまえば、リアルタイムで位置を取得しつづけられる。GPSロガーやハンディGPSは外出時にスイッチを入れたらそのまま帰宅まで働き続けるので問題ないが、デジカメは撮影直前に電源を入れるものだし、電源オフ時にそれをやるとその分バッテリを消耗する。

photo 地図ボタンをもう一度押すと、地図範囲内のお勧め撮影スポットが表示される。ここでSETを押すとその写真の拡大図が。なお、右に並んだ写真を動かすにはBSボタンを押しながら本体を傾ける
photo 縮尺を落としてカメラ内に記録された経路を表示してみた。左下は箱根から沼津へでかけたとき。高速道路を走ったのでその旨軌跡が残っている。電源オフ時は測位頻度が落ちるので移動中は軌跡もまばら

 カシオの出した答えはモーションセンサーの利用だった。これは賢い。H20Gは電源オフ時でもモーションセンサーが常に起きていて、加速を感じたら(つまりカメラが動いたら)10分おきに測位するという賢い制御をしているのだ。よって、カメラを動かさない限り電気をほとんど食わない省エネ設計になる。これはよくできている。ちなみに公称では同じバッテリを搭載するH15の約1000枚に対して約600枚。コンデジとしては十二分な持ちだ。しかも電源オン時は1秒おきに測位するので常時測位に近い。

 でもGPS測位に重要なのはスペックじゃなくて体感。

 GPSの存在を意識しないで自由に移動したり撮ったりしたところ、常時測位してるんじゃないかという感じで場所を取得してくれた。電車を降りた直後に駅構内の写真を撮ってみたが、問題なく正しい場所を記録してくれた。これはすばらしい。地下鉄での長い移動が絡むとさすがに難しかったが、今までのGPS内蔵デジカメにくらべるとダントツに優秀だ。

 ただし、GPSが苦手とする場所――今回の作例では新宿や銀座のような高いビルが乱立する場所では数10メートルレベルでズレやすいので、ズレた状態で地下や建物にはいっちゃうと、いくらモーションセンサーががんばってもだめ。それはまあしょうがない。逆に箱根のような開けた場所ではすごく正確だ。

 移動中の車の後部座席から撮った写真でも位置も方向もおおむねあっている。

photo 塀によじ登る格好のサンタ人形が面白くてカメラを取り出してあわてて撮影。アプリはジオタグ対応の「JetPhoto Studio」(Mac/Windows)

 ちなみに、移動経路を7日分までカメラ本体に保存してくれるので、地図画面に赤い点で表示できる。残念なのはこの経路を外に書き出せないこと。カメラ内で1週間だけ楽しんでくださいってことで。

 もうひとつ、撮った写真をあとから地図や移動経路と一緒に楽しみたい人は、SDカードに記録される「HUSEDATA.MDB」というファイルに注意。このファイルには「どの写真をどの場所で撮影したか」というデータが記録されているようで、これを消してしまうと、地図上に撮影場所アイコンが表示されない。

 撮影した写真には位置情報(ジオタグ)が書き込まれるので、対応アプリでは撮影場所を地図で見られるし、Picasaウェブアルバムなどにアップすれば地図付きで見られる。撮影後はそちらで楽しむべし。

photo 撮影した写真を地図表示に対応した画像ソフト(Apple Aperture 3)で表示してみた。ジオタグ対応ソフトを使えばこのように撮影場所と写真を関連づけて楽しめる

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