連載
» 2010年11月25日 17時00分 UPDATE

矢野渉の「金属魂」的、デジカメ試用記:5と7を使い分けてこそ――ペンタックス「K-5」(2)

カメラマン・矢野渉氏が被写体への愛を120%語り尽くす連載「金属魂」。PENTAX「K-5」の第2回は作例中心に、K-7との最大の相違点、撮像素子について考える。

[矢野渉,ITmedia]

 誤解を恐れずに言ってしまえば、僕は写真撮影をする時、カメラの機種はどれでもいいと思っている。写らないカメラなど存在しないし、そのカメラがそこに有るということは、何かしらの存在意義があることだからだ。

 僕は、ある有名カメラマンがインタビューで語っていた「カメラは、どこか気に入った部分があって好きになれば、あとの部分はそのカメラに自分を合わせて行けばいい」という考え方が好きだ。カメラを自分流にカスタマイズするのではなく、自分がそのカメラなりのスタイルに合わせて行く、という感覚。どこか夫婦の関係にも似た、実に愛情あふれる言葉である。

 そんな視線でK-5を眺めてみると、これはかなり心強い相棒である。どこに魅力を感じるかは人それぞれだが、僕は新型CMOSが気に入った。

photo 小型、軽量でこれだけのボリューム感を感じさせるカメラも珍しい。PENTAXらしいフラッグシップ機だ。

 K-7でブレイクして1628万画素にステップアップしたK-5は、K-7とはかなり違った描写を見せる。映像エンジンは同様のPRIME IIだから、新型CMOSのとらえる情報そのものが変わったようだ。パラメーターがまったくノーマルの状態で、K-7はどちらかと言えばフラットな、柔らかい描写だったものが、K-5では明らかにシャープネスと彩度がアップしている。画素数も増えているから、写真のリアリティが明らかに増しているのだ。

 どの程度変化したのかは作例を見ていただくしか無いが、僕は別にK-7がもう過去の物だと言っている訳ではない。おそらくメニュー内の彩度、コントラスト、シャープネスなどを設定し直せばK-5の描写に近づけることは可能なのだ。だからすでにK-7を持っている人にはK-5との併用をお勧めする。K-7本来の描写は、逆にK-5では出せないと思われるからだ。

 さて、今回お借りしたレンズは「DA 21mm F3.2 AL Limited」「D FA MACRO 100mm F2.8 WR」、あとはレンズキット「DA 18-55mm F3.5-5.6 AL WR」の3本である。

photo DA 21mm F3.2AL Limited。35mm換算で32mmの使いやすいレンズだ。角型に穴の開いたフードが独特で、何本かあるPENTAXのパンケーキレンズの中ではK-5に最も似合う。
photo D FA MACRO 100mm F2.8 WR。長めのマクロ、ということで選んだレンズ。35mm換算で153mm。望遠レンズとしても使える。

 この3本のレンズで何が撮れるのか、と所沢の航空公園にぶらりと出かけた。

photo 100ミリマクロでのスナップ。最初に撮影したこのカットでK-5の進化を実感した。紅葉しかけた葉が背景から浮き上がり、精密に描写されている。
photo 曇天でのマクロ撮影。このねっとりとした色の乗りは、K-7ではなかったものだ
photo 青空、機体のオレンジが強烈だ。かといって細部の階調もしっかりととらえている。それにしてもこの21ミリは周辺部の画像の流れもなく、すばらしい描写をする
photo 今回のベストショットだ。青空のグラデーション、雲の陰影、そして木々のコントラスト。この被写体をもれなく受け止めるK-5は良き相棒である
photo 「ノルウェイの森」を意識して撮ってみた写真だ。本当は手前の部分をもっと暗く落としたかったのだが、どんなに設定をいじってもK-5が明るく拾ってしまう。そのけなげさに負けて、この写真で良しとした
photo 打ち捨てられた花時計。かなりうらぶれた色のない被写体だが、K-5で撮影すると明るく色が乗ってくる。こういったシチュエーションはK-7のほうが得意かもしれない。

 K-5のCMOSはかなりレベルが高い印象だ。歴代のPENTAXのデジタル一眼とは一線を画すほど派手な絵が撮れる。それが好きか嫌いかは別として、とりあえず手に入れて損はないカメラだ。

 PENTAXファンの人たちはもうK-5を購入された方も多いかも知れないが、ぜひ、K-7と一緒に使ってほしい、というのが僕の願いだ。この2機種を使い分けられてこそ真のPENTAXファンと言えるのではないかと思う。

Copyright© 2016 ITmedia, Inc. All Rights Reserved.