リコー「GXR」は、グリップや液晶ディスプレイで構成される「本体」と、レンズと撮像素子、それに画像処理エンジンを1つにまとめた「カメラユニット」で構成されており、カメラユニットを交換できるという特徴的な機構を備えたデジタルカメラだ。
あまりにもユニークな存在だが、機構としては理にかなっており、リコー側も着実に対応ユニットをリリースしている。今回は、最新のカメラユニット「GR LENS A12 28mm F2.5」(以下、A12 28mm)とGXRの組み合わせを試用した。
レビュー:「GXRデビュー」したくなる、レンズユニット「P10」
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一般的なレンズ交換式のデジタルカメラは撮像素子/画像処理エンジンは本体に固定され、レンズだけを交換する(だから「レンズ交換式」と呼ばれるのだが)。しかし、撮像素子や画像処理エンジンは、利用するレンズに最適化した方が画質や使い勝手の面で都合がよいことは容易に想像できる。GXRのスタイルは、発想としては理にかなっているといえる。
カメラユニットの交換は、グリップにあるスイッチを押しながら横にスライドさせるだけで非常に素早く行え、レンズ交換式カメラのレンズ交換よりも速いぐらいだ。レンズの後玉や撮像素子へのホコリの侵入といった配慮も必要ないので、より気楽に扱えるというメリットもある。
本体は、コンパクトデジタルカメラとしては大きく、レンズ交換式のマイクロフォーサーズ系の小型モデルに近いぐらいのサイズ感はある。実際にレンズを含めたユニット交換ができるので、コンパクトデジカメとはいいにくい部分もある、レンズ交換式ぐらいのサイズになってしまうのは仕方がない部分ではあるかもしれない。
カメラユニットのA12 28mmを装着した場合の本体サイズは113.9×70.2×55.6(幅×高さ×奥行き)ミリ、約410グラムとなり、コンパクトデジカメとしては大きく、デジタル一眼レフカメラに比べると軽いという位置づけだろう。
最新のカメラユニット「A12 28mm」は有効画素数約1230万画素のAPS-CサイズCMOSセンサーと35ミリ判換算28ミリの広角単焦点レンズを搭載。開放F値もF2.5とそれなりに明るく、APS-CサイズCMOSセンサーと28ミリレンズを搭載したシステムと考えればコンパクトな部類に入る。
カメラユニットを装着したら、後は普通のコンパクトデジカメのような感覚で撮影できる。基本的なユーザインタフェースは、同社製品で長く使われているものとほぼ同等であり、とくに複雑なところはない。GR DIGITALなど同社製品を使った経験があれば、迷うことはないだろう。
実際にA12 28mmを使って撮影してみると、さすがに大型の撮像素子と単焦点レンズを使っているだけあり、画質はいわゆるコンパクトデジカメと一線を画している。描写はかっちりしており、シャープ。背景のボケは自然で、点光源では丸ボケとなってくれる。
レンズの焦点距離は35ミリ判換算28ミリなので、最近のトレンドを押さえた広角レンズで、風景写真や室内での撮影に威力を発揮する。広角過ぎず、扱いやすい画角で、スナップ撮影にも最適だ。大型の撮像素子とレンズ性能のおかげで、高感度での撮影でもノイズは比較的少ない。ノイズリダクションオフでもISO800ぐらいまでは実用的だし、ボケもきれいだ。
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