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「写真は撮るものから、描くものに」 アーティスト石井竜也氏が驚嘆

» 2011年02月04日 19時48分 公開
[ITmedia]
photo 「EX-TR100」

 カシオ計算機は2月4日、デジタルカメラ“EXILIM”の新製品として、液晶とカメラ部分が回転する“フリーアングル”デジカメ「EX-TR100」、12.5倍ズームを備えた「EX-ZR100」など新製品を発表した。この2製品に共通するのが、高速画像処理エンジン「EXILIM ENGINE HS」の搭載だ。

 「EXILIM ENGINE HS」は、内部的なロジック回路を動的に再定義/再構築できるリコンフィギュラブルプロセッサを搭載した画像処理エンジンで、専用ハードウェアに比肩するような高速処理をソフトウェア的にかつ、柔軟に行えるのが大きな特徴となっている(デジカメにリコンフィギュラブルな頭脳を――カシオ「EXILIMエンジンHS」)。

 本エンジンの搭載によって実装された機能は複数あるが、特徴的なのが露出の異なる複数枚の画像を合成することで、写真を絵画調など特徴ある画像とする「HDRアート」だろう。前述の2製品のほか、こうしたデジタル処理による写真表現の楽しさを普及させるため、同社では画像変換Webサービス「イージングスクウェア」を用意している。

 イージングスクウェアは既に1月よりプレオープンしているが(カシオ、写真を“HDR風”などに加工するWebサービス)、デジタルカメラ新製品の発表にあわせて、2月4日にグランドオープンした。

photo イージングスクウェア

 サイトのグランドオープンにあわせ、デジタル処理された「写真作品」を展示するミュージアムがオープン。作品を提供するアーティストの石井竜也氏が都内でトークショーを行った。

photo 石井竜也氏

 「最初はデジタル上のお遊びかと思ったけど、絵や立体物に近い物を作り出す取り組みをしようとしていることに驚きました。さまざまな絵画表現を写真から作れる、これはすごいことですね」(石井氏)

 イメージングスクウェアでは、多重露光撮影風の写真にする「HDRアートクラフト」と、絵画調に変換する「バーチャルペインター」、写真合成の「ダイナミックフォト」と3つのサービスが用意されており、バーチャルペインターについては「油彩」「重厚な油彩」「ゴシック油彩」「野獣派油彩」「水彩」「ガッシュ」「パステル」「色鉛筆」「淡彩点描」「シルクスクリーン」「ドローイング」「エアブラシ」と12種類の変換を選択できる。サービスインして1カ月足らずだが、既に15万点にも及ぶ作品が投稿されているという。

photophoto

 石井氏が驚嘆するのが、バーチャルペインターで作り出される質感。水彩画のにじみ、油絵の力強い筆跡など、デジタルの写真データをデジタル加工したものながら、アナログ的な質感を感じさせるという。「これまでにもフィルタ的なものは存在していましたが、(バーチャルペインターでの変換は)筆のタッチや紙の質感などまでも再現していて、想像をはるかに超えたものでした。“写真を描く”というジャンルが新しくできていくのかもしれないですね」

 また、石井氏は「写真は撮るものじゃなくて、描くものになる。写真はいずれ、自分の手で触れることのできる質感を持つようになるのではないでしょうか」と、本サービスに近未来の写真の可能性を感じたと述べていた。

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