ズーム倍率
ビデオカメラ選びでズーム倍率をポイントにしたこともあったが、それは昔の話だ。小さい子の場合そんなに親から離れないので、そもそも高倍率ズームは不要だ。10倍ぐらいあれば十分である。さらに今はハイビジョンの大画面テレビで見るのが当たり前なので、そんなにアップででっかく撮影する必要もない。
運動会での撮影を心配する人もいるが、そもそも幼稚園の運動会では競技場所も小さい範囲なので、高倍率ズームがなくても十分撮影できる。小学校中学年ぐらいになるころに、買い替えを検討すれば十分だろう。
カメラによってはズーム倍率42倍などすごいことが書いてあるが、これは電子ズームも含めた倍率だ。レンズの能力でどれぐらいのズーム倍率なのかに注意しておこう。
手ブレ補正
ビデオカメラを手で持って構えたときに、持つ人間の揺れ(ブレ)を検知して補正してくれるのが、手ブレ補正だ。最近は各社とも、普通の手ブレ補正に加えて、もっと大きく働く補正モードを搭載している。「アクティブモード」「ダイナミックモード」「パワーアクティブモード」「ハイブリッド手ぶれ補正」など呼び方は各メーカーごとに異なるが、機能的にはだいたい同じである。最近では、さらにそれをもう一段階強化したモードを持つものもある。
実は手ブレとは、ズームレンズを広角側で撮影している時には、ほとんど影響がない。広い範囲が写っているので、少しぐらい揺れても画像として現われないのである。手ブレが気になるのは、望遠側で撮影している時だ。これは狭い範囲をレンズで拡大しているので、ほんの少しのカメラの揺れが、映像の中では大きく動いたことになってしまうのだ。
小さい子の場合はほとんど広角で撮影すると思うので、手ブレ補正の効果もよくわからないことだろう。一番補正効果を体感できるのが、歩きながら撮影した時である。子どもが歩けるようになった、三輪車に乗れるようになったというシーンを撮影するなら、強力な手ブレ補正があるとなめらかな併走シーンが撮影できる。
レンズで集めた光を電気信号に換えるのが、イメージセンサーの役割だ。ここにもビデオカメラならではのポイントがある。
画素数
デジカメならば、画素数が増えれば増えるほど大きな写真が撮影できる。それは紙の大きさに制限がないからである。しかしビデオカメラの場合は、最終的な目的がテレビに映すことなので、最大サイズは1920×1080ピクセル/約207万画素というサイズで固定されている。すなわち約207万画素以上は、本来必要ないのだ。
それなのにビデオカメラが2倍以上の画素数を持っているのは、高解像度の静止画を撮影するためだ。動画撮影時にはその多画素の映像を縮小して記録している。この縮小の過程でノイズレベルを下げたり、解像感を上げたりといった処理が加わる。
ただ、画素数が増えれば、そのぶん1つ1つの画素の受光面積が小さくなるので、全体的に感度が下がるという弱点があった。それをカバーしたのが、裏面照射CMOSセンサーだ。
裏面照射CMOSセンサー
2009年春にソニーが初めて製品化し、爆発的なヒットとなったのが「Exmor R」という「裏面照射CMOSセンサー」だ。一般的にはB.S.I. CMOSセンサーと呼ばれており、ビクターもこの名前で呼んでいるが、技術的には同じものである。
仕組みを簡単に説明すると、従来のセンサーは受光面の上に配線部が存在したため、その配線が邪魔で感度が下がっていた。この新技術では、配線面と受光面の位置を逆にして、裏側から受光させることにより、高感度にしたものである。特に感度が下がりやすい、小さくて多画素のセンサーに対して、この技術は使われている。暗い場所、夜の撮影などでの威力は絶大で、ノイズ感のない闇と光が撮影できるのが特徴だ。
裏面照射に対抗する技術としては、キヤノンが開発した「HD CMOS PRO」がある。多画素にすると感度が下がることは述べたが、このセンサーは高解像度静止画撮影ができないのを覚悟であえて画素数をビデオ用として十分な約237万画素に減らし、1つ1つの画素を大きくして感度を上げた。さらに受光面の上にある配線部分を薄膜化して、配線が受光の邪魔にならないようにするなどの工夫が見られる。
次回は、画像処理エンジンにまつわるキーワードや、保存方法などについて解説していこう。お楽しみに!
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR