インタビュー
» 2011年02月17日 11時00分 UPDATE

“Photoshop Magic”はモバイルにも、タブレットにも (1/2)

「Photoshop」は2010年、20歳になった。そして2011年、デジタルイメージングの領域はスマートフォンやタブレットの進化で新たな展開を迎えつつある。アドビのロードマップ策定担当者は何を思うか。

[渡邊宏,ITmedia]

 アドビシステムズの「Photoshop」といえば画像加工ソフトウェアの代名詞的な存在であり、そのファーストバージョンが1990年2月に登場して20年以上という時間が経過している(Photoshopが20周年 特設サイトオープン)。一口に20年というのは簡単だが、その間にはさまざまな変化が起こっている。代表的なものはパソコンの普及であり、20年間に比べると、デジタルでの画像加工は一般にとってもなじみ深いものとなっている。

 ただ、近年におけるスマートフォンやタブレットデバイスの進化と普及、ネットワークサービスの一般化などを見ていると、デジタルイメージングの分野において、今後20年にまた大きな変化がありえることも容易に想像できる。

 米アドビシステムズにて、PhotoshopやLightroom、Premiereといった代表的な製品はもちろん、モバイル向け製品やオンラインサービスなど、多岐に渡る製品・サービスの多くの方向性や機能、ロードマップ策定を担当する、トーマス・ニールセン氏に話を聞いた。

photo 米アドビシステムズ デジタルイメージング部 プロダクトマネジメント マーケティング兼戦略担当バイスプレジデントのトーマス・ニールセン氏

――初代Photoshopがリリースされて20年が経過しました。この20年間、デジタルイメージングの市場やアドビ製品を利用するユーザー像はどのように変化したのでしょう。

ニールセン氏: ひと言で言えば、複雑化したといえるでしょう。一例としてPhotoshopを挙げるならば、20年前は商業印刷に従事するプロだけの使うツールでしたが、今では、Webから紙面、モバイル、映画、3Dのクリエータまでと、さまざまな場所で、幅広いユーザーに使われています。そうした意味で開発チームは責任重大なのですが(笑)

 これだけ多種多様な場所、ユーザーがアドビ製品に期待をかけているのです。この期待に応えることはもちろんですが、機器機材の多様化にも対応していかなくてはならないと考えています。

――2010年にリリースされた代表的なデジタルイメージング関係のプロダクトは「Creative Suite 5」と「Lightroom 3」です。反響はいかがですか。

ニールセン氏: Creative Suite 5とLightroom 3は、いずれも大きな成功を収めています。多くの新機能を搭載し、ユーザーからの反応も非常にポジティブなものです。特に、Lightroom 3のノイズ低減、レンズ補正機能は好評を博しています。ただ、Lightroom 3については製品認知が十分に進んでいないという問題もあると認識しています。素晴らしい製品ですから、手にしてもらえれば愛用してもらえると信じているのですが。

 対象とする層は両製品とも確かにプロフェッショナルです。しかし、Lightroom 3については、いわゆるハイアマチュアも対象としています。デジタルイメージング製品のロードマップを考える際、プロ向けは常に革新を続けていくものと位置づけていますが、モバイル/タブレット向け製品については、プロ/ハイアマいずれも対象とした製品を出していきます。

 プロでも家に帰ればいち個人として写真を撮ったり、ビデオを撮ったりします。「Photoshop Elements」のように、プロ向け製品の開発で培った技術や機能を一般コンシューマ製品へという流れがありますが、それは継続していきます。ただ、最高の技術や製品はプロ向けとして出し続けていきます。それはデバイスを問いません。“Photoshop Magic"をコンシューマやタブレットへも提供してきたいのです。

――モバイル向けデジタルイメージングアプリケーションとしてはiPhone/iPad用に「Photoshop Express」を投入していますが、今後の対応はどのような方針で行われますか。

ニールセン氏: まだこの領域にキラーアプリはないと考えていますので、PhotoshopやLightroomを対応させていきます。ただ、それはそれぞれのプラットフォームにあわせた移植になるかもしれませんし、要素技術を抜き出していくことになるかもしれません。

photo 「Photoshop Express」 画像加工のほかFacebookへの投稿なども行える

 2つの利用イメージを想定しています。ひとつはアドビのツールがパソコンにインストールされていなくとも、“アドビ的な体験”ができるというもの。もうひとつは、パソコンでの作業をタブレットで引き継げるというような、補完的なツールやアイテムとして利用です。

 わたしはモバイルやタブレットがパソコンを置き換えていくのではなく、その追加や延長線上にあると考えています。ですが、置き換えではなく、それぞれのデバイス上での処理で十分と考える人もいるでしょう。そうしたひと向けへの製品やサービスを提供していくことが必要になると思います。

――モバイルやタブレットといえば、ネットワークの存在は切り離せません。ネットワークサービスへの取り組みはどうなるのでしょう。

ニールセン氏: 複数のサービスや技術を結びつける(Connect)のは、わたしたちの得意とするところですから、「Connected Service」に大きなチャンスを見いだしています。2〜3年のうちに、ソーシャルネットワークと親和性の高いサービスやツールなど、新しいものを投入するつもりです。

 モバイルからパソコン、パソコンからタブレットなど、機器の壁を越えるようなサービスやツールについても構想しています。カメラで撮影した画像をパソコンやタブレットにコピーして、ネットワークでモバイルへ転送して……などといったデバイス間のコンテンツ移動を楽にしたいというのはみんなの希望ですし、こうしたワークフローの問題を解決できるのはわたしたちだけだと思います。

 大規模なネットワークコラボレートは、パートナー企業の着手している領域です。大人数が関与する新聞や雑誌の作成といった部類のワークフローを実現しているのは、わたしたちのパートナー企業ですので、この分野についてはパートナーとの共同作業を進めていきたいと考えています。ですが、家族旅行のオンラインアルバムを複数人が編集するといったパーソナルなシチュエーションもあるでしょうから、今後の探求は続けていきたいと考えています。

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