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第4回 Windows 7でICCプロファイルを設定する今日から始めるデジカメカラーマッチング

» 2011年02月24日 16時23分 公開
[小山安博,ITmedia]

 PCやデジタルカメラ、プリンタといった入出力機器は、それぞれが独自に色を表現しており、その色再現範囲を色域と呼ぶ。規格としては「sRGB」「Adobe RGB」などが存在するが「sRGBで写真を保存するデジタルカメラ」の写真の色を正しくPCのディスプレイに再現するには、表示する機器やソフトウェア、OSなどがいずれも、「その写真がどの色域で記録されているか」を把握していなくてはならない。その際に利用されるのが「ICCプロファイル」だ(今日から始めるデジカメカラーマッチング:第3回 ICCプロファイルの役割を理解する)

 このICCプロファイルには機器の色の関する特性が記述されており、複数機器間で色情報をやりとりする際に利用される。そして、PCの画面上で色を正しく表示するためには、ディスプレイと表示するソフトウェア(画像編集ソフトやWebブラウザなど、あるいはOSそのもの)がICCプロファイルをサポートする必要がある。今回はまず、Windows 7におけるICCプロファイルの取り扱いを説明する。

 Windows 7以前のWindows OSはカラーマネジメント機能を重視してこなかったこともあり、OSレベルでの対応はいまだMac OSに軍配が上がる。ただ、機能強化は行われており、Windows 7では「画面の色調整」からウィザード形式でICCプロファイルを設定できる。コントロールパネルから[ハードウェアとサウンド]→[ディスプレイ]→[色の調整]を選択すると色調整の画面が起動する。設定できるのは、ガンマ、明るさ、コントラスト、カラーバランスの4種類で、最終的にはこれらの設定をICCプロファイルとして保存できる。

photophoto Windows 7の[画面の色調整]にあるガンマ調整や明るさの調整。このように目で見ながらディスプレイの設定を変更していく

 ただ、この「色の調整」で作成されたプロファイルは、「ディスプレイを自分の目で見て、自分が正しいと思う色に設定する」ものであり、デジタル写真のカラーマネジメントとしてはほとんど役に立たない点には注意したい。本格的なカラーマネジメント環境を整えるには、別途、カラーキャリブレーションツールを導入する必要がある。

 作成したICCプロファイルを適用するには、コントロールパネルから[色の管理]を検索した後の画面で起動したダイアログの[デバイス]でディスプレイを選択すると、下部の[このデバイスに関連付けられたプロファイル]に、現在設定されているICCプロファイルが表示される。[追加]をクリックするとプロファイルの関連付けダイアログが表示されるので、ここから任意のICCプロファイルを指定すればディスプレイに適用される。

photo [色の管理]でディスプレイにICCプロファイルを設定できる。この画面ではナナオのFlexScan L997にメーカー配布のICCプロファイルを設定している

 ナナオなどのディスプレイメーカーは、販売しているディスプレイ用のICCプロファイルを提供している。これをダウンロードして適用すると、そのディスプレイメーカーが特定の調整環境(6500K/G2.2など)で使うことを想定した色を再現できるようになる。同様にプリンタメーカーは、そのプリンタで再現できる色に調整する用紙別のICCプロファイルを配布している。これを適用することで、ディスプレイとプリンタでの出力でカラーマネジメントができるようになる。

photo Windows 7にはさまざまなICCプロファイルがインストールされており、ここからsRGBやAdobe RGBなどのICCプロファイルを指定できる

 原理的には、ICCプロファイルを適用させることで、ディスプレイの表示とプリンタでの出力を同じ色にできるはずだが、実は単純にはそうはならない。原因としては、ソフトウェアやドライバの設定が正しくなかったり、ディスプレイの経年劣化による色ズレなどもあるが、特に現在ディスプレイが置かれている環境が問題となりやすい(そもそも、ディスプレイは加法混色、プリンタは減法混色と異なるやり方で色を表現し、それぞれの色域も異なるので色が完全に合うということはないともいえる)。

 蛍光灯下、日光の当たる環境など、ディスプレイに当たる光によって、「見える色」が変化してしまうからだ。より精度を高めるためには、こうした環境光を含めた色の調整が必要になる。

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