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第137回 早春の花とメジロの関係今日から始めるデジカメ撮影術(2/3 ページ)

» 2011年02月25日 08時30分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

梅の花を撮る、と、ちょっとレンズ選びの話

photo 今回のような被写体の際には、マクロ撮影に強いズームレンズが1本あると便利(写真は最短撮影距離22センチ、最大倍率1:2.7のシグマ「17-70mm F2.8-4 DC MACRO OS HSM」)

 花でも撮りにいくかというとき、どんなレンズを用意するかは悩むところ。レンズ交換はめんどくさいなとか、荷物は最小限にとどめたいなとか、重いレンズを持って歩くのはしんどいなと思ったら、マクロ撮影に強いズームレンズが1本あると便利。

 エントリー向けの標準レンズ(18-55mmくらい)はそれなりに寄れるけれども、花を撮るには望遠側が弱い。ワンランク上の高倍率ズームレンズ(18-135mmとか18-200mm)は便利なのだが、撮影最短距離が4〜50センチの製品が多くてあまり寄れない。

 小さなものを大きく撮りたいときの目安になるのは撮影最短距離ではなく、撮影最大倍率。単焦点のマクロレンズは基本的に1:1だ。フィルム時代の感覚なので、「被写体がまったく同じ大きさでフィルムに写る」サイズと思っていい。APS-Cサイズの撮像素子で撮影倍率が1:1だと、APS-Cサイズの被写体(およそ24×16ミリ)が画面いっぱいに撮れるということだ。

 18-200ミリ相当の高倍率ズームレンズの場合、最大撮影倍率が1:4くらいか。めいっぱい大きく撮っても1/4サイズくらいということだ。

 以前、手頃な価格とサイズと焦点距離でそれなりに大きく撮れるズームレンズはないものかと探したことがあって、その時にシグマ「17-70mm F2.8-4.5 DC MACRO HSM」を見つけた(今は手ブレ補正がついた新型に切り替わっている)。このレンズはAPS-Cサイズの一眼レフにつけると90ミリ相当のそこそこの望遠レンズとして使え、撮影最大倍率は1:2.7とこれもまたそこそこ寄れるので重宝している。

 レンズはいろんな会社から出てるので、マクロ撮影をしたいときは予算と性能のバランスを見ながらレンズを探してみましょう、という話だ。クオリティ重視なら単焦点マクロレンズを1本持っておくといいい。

 で上記のレンズの場合、

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 このくらい寄れる。

 そんなわけで、ここから梅の話。

 梅は長く少しずつ咲くので梅園は1カ月ほど賑わい、梅祭りもしてたりするので愛でる機会も多いはず。

 まず「梅の花」を撮る。大事なのは無数に咲いてる花から、日差しがあたってて見栄えがして撮りやすい花(つまり気に入った花)を探す。注目した主役の花以外の花の様子(まだつぼみなのか、もう枯れてるのか、同じように咲いてるのか)、背景はどんな感じかもチェックする。

 それによって同じ梅でも雰囲気が違ってくるから面白い。

photo 背景が茶色だとしっとりした感じ
photo 光が横から当たると影がちょっと落ちすぎる感じ
photo 逆光で下を向き気味だと日陰の花って感じ
photo 日陰の梅は陰影がつかずちょっと青白くなるので、クールかつ孤高の人な感じ
photo 周りが枯れてると、最後の一花って哀れな感じ

 梅は枝の形も面白い。枝垂れた(しだれた)梅もあるけれども基本的には上に向かってククククッという感じで伸びていく。 それに、枝の出方が独特で面白いのだ。桜のような満開感はないけれども、木の形自体も楽しめるのは梅ならでは。

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photo 個人的には黒い背景をバックに白いくっきりした梅という構成がけっこう好きで、こうした構図にはお寺へいくと比較的に出会える。
photo ぐぐっと曲がった梅らしい枝っぷりもいい。花よりも枝の形に着目して花をアクセントとして使ってみた。
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 しだれた梅の枝を幹から少し離して撮ってみたが、幹とかぶせた方が同じ木という感じが出るかなと撮り直し。でも梅園のように梅の木がたくさんあると1本の梅の木の枝っぷりを写真におさめるのは難しい。そんなときは思い切り逆光のシルエットにしちゃえ。そうすると枝の形だけが残る。

photo 太陽が枝に隠れるっぽい一を探してシルエットで撮ってみた

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