　GPSログをログファイルとしてメディアに書き出す機能もある。ファイルの拡張子は「.log」で、データ形式は「NMEA」だ。ソニーのGPSロガーと同じと思ってよさそう。独自形式ではないが、GPSログの交換用として一般的に使われる「GPX形式」に比べると対応ソフトも少なく、何らかのアプリでGPXなどに変換しなければならないケースも多くなるだろう。付属ソフト「My FinePix Studio」（Windows版のみ）以外のアプリでGPSログを扱いたい時は注意が必要だ。

　ちなみに、F550EXRをGPSロガーとしても使えるか、というと、やはり測位の頻度が低く、10分おきの測位でもかならず位置を取得できるわけではないため、非常に厳しい。今回も予想より位置を取り損ねたシーンが多かった。多少バッテリを消費してもいいので、もっとがんばって欲しい。

　とまあ細かい注文はあるものの、F550EXRの全部入り＋GPS内蔵というスペックは驚異的で写りもそこそこ。今までFシリーズを使ってた人は買い換える価値は大いにある。特にDRモードは秀逸で、ダイナミックレンジを広くできる上に連写するわけじゃないのでHDRほど気を使わなくていいし、処理に時間もかからないし不自然な絵にもならない。

　広角も望遠も存分にいけて、高感度にもけっこう強く、明暗差が広い構図でもさくっと問題なく撮れて、パノラマもOKで、フルHD動画も撮れるし、GPSもついてる。なんとも汎用性が高く、2011年の「全部入りデジカメ」の代表として超便利に使えそうなカメラである。

HRモードで撮る

枝垂れ梅を、24ミリ相当の広角端（1/950秒 F3.5 ISO100）と300ミリ相当の望遠端（1/450秒 F5.3 ISO100）それぞれで「オートEXR」で撮影。広角側は風景と判断されたのでくっきり鮮やかになっている。望遠時の周辺部の劣化が気になるが、画質よりは便利さを優先したと思えばよいか

梅の花を広角端のマクロで。色が実にほどよくのっててよい　HRモード 1/750秒 F3.5 ISO100

望遠端でメジロを狙ってみた。だが、実はコレ、よく見るとピントがひとつ後ろの枝にあってしまってる。残念。ちょこまか動く被写体を枝がたくさんある中でちゃんととらえるのはコンデジでは難しかったか。でも、うまくいけばこのくらい寄れます、という例として　HRモード 1/450秒 F5.3 ISO100

オートEXRで広角端で森と民家を。HRモードだけどダイナミックレンジを少し広げる（DR200％）という決定をカメラが下し、そういう写真になった。だからISO200にあがってる　HRモード 1/950秒 F3.5 ISO200

望遠端でひな人形のお内裏様を。ちゃんと顔と認識し、人物モードで。ストロボが自動で発光したが光量は適正でほどよく光ってくれた　HRモード 1/60秒 F5.3 ISO400

F550EXRは各種ブラケット撮影機能を持っている。ユニークなのがDRブラケット。ダイナミックレンジを100％～400％まで変えながら3枚ブラケット撮影する。フル画素だとISO感度も同時に上がるのでこういう結果になる。右はDR100％で、左はDR400％。左の方がハイライト部がおさえられて効果が出ているのだが、ISO感度を上げた分、ノイズがのって画質自体は劣化している。でもDRモードで撮ればその心配はない