レンズは35ミリ換算28〜300ミリ相当の10.7倍という高倍率ズームレンズ。最近こそ28ミリスタートのレンズは決して珍しくないが、使いやすい画角なので便利に使える。さらに画質劣化を抑えたデジタルズームが可能になる「超解像ズーム」機能を用意しており、これを利用すると600ミリ相当、最大21.4倍までの望遠撮影を行える。
超解像といってもあくまでデジタルズームであり画質の劣化は確かにあるが、等倍でなければそれなりに見られる画像にはなっている。超解像ズーム時は、画面左側のズームバーの表示が緑色に変わり、画面に「SR」の表示が現れる。光学ズームが10.7倍まで行くといったんズームが止まり、もう一度ズーム操作をするか、そのままズームレバーを押し続けると超解像ズームになる。
画面の中央部分を切り出すことで擬似的なズームを行う、いわゆる通常のデジタルズームも用意されている。超解像とデジタルズームは排他利用であり、なおかつ、双方をオフにすることはできない。デジタルズームを利用しない場合には注意が必要。
手ブレ補正にはセンサーシフト方式を採用。シャッターボタンを押した瞬間に動作するため、10.7倍までズームすると画面のブレは大きく、テレ端では構図合わせに少し苦労する。手ブレ補正の精度としては標準的という印象だ。セットアップメニューから手ブレ補正のオン・オフの切替はできるが、基本的にはオンのままでいいだろう。
新機能として搭載されたのが「超解像技術」だ。これを使うと、よりシャープな画像を得られる。単にシャープネスをかけるわけではなく、ディテールやグラデーションを自動的に見分けて、最適な処理を行うという。
撮影設定の「超解像」からOFF/弱/強の3段階で設定でき、超解像をオンにすると画面上に「SR」のマークが常時表示されるようになる。超解像を利用する場合は記録時間が長くなるようだが、通常の撮影ではあまり影響は感じなかった。特に「弱」に設定していればほとんど気にならない。
超解像を選択すると、画像がよりくっきり、シャープに写るため、見栄えが向上する。解像感が向上し、よりはっきりとした描写になる。ノイズが強調されたり、背景のボケが固くなるなどの影響もあるため、基本的には「弱」が良さそうな印象。たいていのシーンでオンにしておいても問題なさそうだ。超解像を使った場合、ノイズリダクションがAUTO固定になるほかは、通常の撮影と同じように設定も変更できる。
そのノイズリダクションは、前モデルと同様にOFF/AUTO/弱/強/MAXの5段階から選択できる。強力になるについてノイズは減るが解像感は失われ、絵画のような描写になってしまう。MAXだと過剰な印象で、ノイズ低減と解像感喪失のバランスがいいのはAUTO。基本的にはAUTOのままで良さそうだ。
ノイズそのものはISO800までは常用できるレベルで、ISO1600からは画像の荒れが目立ち、解像感も失われるが、シーンによっては十分有効。ISO3200までくると画像の荒れは大きくなるが、コンパクトデジカメのISO3200としては少ない方だろうし、つぶつぶの嫌な感じはあまり受けない。
ISO AUTO時の上限設定も可能で、ISO200/400/800/1600/3200の中から、どこまで感度を上げるか設定できる。ISO AUTO時には積極的にISO感度が上がり、手ブレ、被写体ブレを防ぐ方向でシャッタースピードを上げてくれる。そのため、ISO1405などといったように中途半端な値になるが、ブレを許容するかノイズを許容するかで、ISO AUTOとISO固定を選択すればいいだろう。かなり早い段階で最高感度まで上がるので、ノイズを避けたい場合は自分で低感度の指定をするといいだろう。
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