先ほど確認したよう、撮像素子は有効1620万画素 裏面照射型CMOSセンサー“Exmor R”で、レンズには24〜384ミリ相当の16倍ズームレンズを組み合わせる。コンパクトデジカメのズームレンズ高倍率化が著しい中、16倍という数字は突出したものではなくなってしまったが、注目すべきは「最速約0.1秒」をうたうAF速度だろう。
「約0.1」については当社測定条件とのただし書きがついており、焦点距離など具体的な条件は明らかにされていないが、フレーミングした瞬間からAFが予備動作を行い、半押しにてピントを確定させるという常時AFに近い挙動を示すためか、コントラストAFを採用する高倍率機ではAFの高速動作が苦手となりやすいテレ端であっても、AFは高速で快適だ(写真と動画で見る ソニー「DSC-HX9V」)。
この高速AFはサイバーショット春モデルの内、本製品と「DSC-HX100V」「DSC-WX10」(レビュー)という3機種にしか採用されていない。撮影の快適さを飛躍的に高めてくれる機能だけに、この機能のためにHX9Vを選択するという考え方もアリだろう。
このほかスイングパノラマや3D撮影、カメラ内ヘルプなど春モデルの特徴は一通り搭載している。もちろん、HX5Vに引き続きGPSも備えている。そのGPSは試用した限り測距スピードなどはHX5Vと変わらないようだが、メニューから測距情報を確認できるようになった。また、GPSの電波が受信できていない状態で撮影した写真については位置情報をEXIFに書き込まない仕様となり、おかしな位置情報を記録するということはなくなった。
ただ、本体に地図やランドマーク情報などは相変わらず収録されておらず、位置情報付き画像ファイルを活用するには、ファイルをPC上で付属の「PBM」など対応するソフトへ展開してやる必要がある。他社製品がGPSの搭載をGPSロガーあるいは旅行ガイド的な利用として提案する中、これはいささか残念。カメラ単体でGPSを積極的に利用する仕組みや機能が欲しかったところだ。
1080p動画の取り回しやGPSの利用方法など、細かいところに注文を付けてしまったが、高倍率ズームや動画関連についてはヒットモデル「HX5V」の長所を伸ばし、また、高速AFや細かな撮影設定の変更が施しやすくなったことでカメラとしての自力を高めた製品といえる。
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