本製品の最大の特徴であるプロジェクターだが、その投影口は液晶の背面に設けられている。使い方は簡単で、側面にある「プロジェクター」ボタンを押すだけだ。解像度は640×360ピクセルとなるため、フルハイビジョンで撮影した映像を投影しても解像感は損なわれ、四隅の描写もぼやけ気味ではあるが、本体1つで映像を周りの人と気軽にシェアできるのは楽しい。
投影時の最大画面サイズは投影距離3メートルでの60インチ相当。2メートルでは40インチ相当、1メートルでは20インチ相当、50センチでは10インチ相当となる。組み込みプロジェクターということで明るさは10ルーメンとあまりないため、距離が離れるほど暗くなる(それだけ周囲を暗くしないと見えにくくなる)のは仕方ないだろう。
映像選択など操作はズームレバーでカーソル移動、「PHOTO」ボタンで決定となるが、プロジェクター利用時は本体液晶もオフとなり、また、必然的に暗い場所での操作となるので、できれば付属のリモコンを使いたい。リモコンには十字キーが用意されているので暗所でのカーソル操作は格段に楽になる。
付属バッテリーを利用しての連続投影可能時間は約1.5時間。本製品で撮影した以外の映像は投影できない。本体内蔵スピーカーは液晶下部に設けられており設置場所の制約もありお世辞にも高音質とはいえないが、デジタルアンプ「S-Master」などの搭載もあり、聞き苦しさはまったくない。モバイルプロジェクターというと、オマケ程度の機能と受け止められがちではあるが、十分な実用性を備えていると言えるだろう。
ハンディカムの2011年春モデルに「HDR-CX700V」「HDR-CX560V」「HDR-CX180」「HDR-PJ40V」「HDR-PJ20」の5モデルが用意されしており、プロジェクターに魅力を感じるならばPJ40VかPJ20のいずれかを選択することになる。
PJ40VとPJ20はプロジェクター搭載という意味では兄弟機だが、スペックはかなり異なる。プロジェクター部分の仕様については共通だが、裏面照射型CMOSセンサー“Exmor R”の有効画素数は動画撮影時ではPJ40Vが265万画素、PJ20が149万画素(16:9時)。静止画撮影時ではPJ40Vが354万画素、PJ20が167万画素となっている(4:3時)。レンズ倍率についてはPJ40Vが35ミリ換算29.8〜357.6ミリ相当の光学12倍ズーム、PJ20が29.8〜894ミリ(同)の光学30倍ズームレンズとなる。
そのほか、メモリ容量(PJ40Vが64Gバイト、PJ20が32Gバイト)に差が見られるほか、PJ40VのみがGPS、LEDライト、ホットシューなどを備えている。メモリについてはメモリカードによって容易かつ安価に容量の追加が可能なので、PJ40VかPJ20かの選択はGPSをどう評価するかによるだろう。
PJ40Vは単に映像や写真に位置情報を付加するだけではなく、本体に地図を搭載しているので、映像を地図に重ね合わせながらの確認ができる。「見る楽しさ」を求めるならば、これは大きなポイントになる。両製品には2万円の価格差があるが(ソニーストアでの販売価格はPJ40V9万9800円、PJ20が7万9800円)個人的にはPJ40Vを勧めたいところだ。
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