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第138回 桜の花と撮り方の関係今日から始めるデジカメ撮影術(2/3 ページ)

» 2011年03月25日 08時30分 公開
[荻窪圭,ITmedia]

名古屋城でソメイヨシノを撮る

 ソメイヨシノは漢字で書くと「染井吉野」。染井は江戸の染井村(今の豊島区の駒込あたり)のこと。ここの植木屋が「吉野桜」として売り出したのがはじまりという。吉野は奈良県の吉野山。ここに自生していたヤマザクラが有名なのでそれにあやかって「吉野桜」として売り出したもので、奈良の吉野の桜とは関係ないそうだ。

 で、薄いピンクでほわっと咲いてはらりと散るさまが、明治以降に大ブレイク。特に戦後、大量に植えられたのである。

 今回(というか昨年の春)に訪れたのは名古屋城。

 背景を生かした桜を撮ろう、という話から。

 何しろ、お堀に菜の花、そこにしだれるように満開のソメイヨシノって絵だったのだ。こういうときは彩度を高くして色をこってりのせて。

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 お堀の中に降り立つとこんな風に見える。

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 上から撮るか下から撮るか。いろんな角度から撮るのが楽しい。

 お堀の奥にぽつんと桜が。桜が遠いのでできるだけ望遠で。

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 でもこれは今ひとつノリがよくない。わたしはなぜこれを撮ろうと思ったか。狭いお堀の緑の道の向こうに、ぽつんと桜がしだれているところが面白いと思ったんじゃないのか。

 だったら桜が小さくなってもお堀の様子がわかるように撮るべきだろう、と。

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 その桜をぱっと見たとき、どこにひかれたが大事なのだ。

 ちなみに、同じシーンをお城の天守から見下ろすとこんな風になる。みんな、お堀の奥の桜って絵に心ひかれるのだな。カメラ構えてる観光客がたくさん。

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 桜は青空や緑を背景にすると映える。この日は薄曇りだったけど、お堀に緑がたくさんあった。そんなときはこんな色の組み合わせを楽しもう。

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 そこでないと撮れない桜が撮れたら、あとから見返しても楽しいというものだ。

 となるとお城と桜を一緒に撮りたいね、と。

photophoto F5.6(写真=左)、F16(写真=右)

 ちょっと遠くから望遠で天守と桜。手前の桜をメインにしたものの、背景の天守をどのくらい目立たせるか。そこでF5.6で大きくボカしたものと、F16まで絞ってちょっとクッキリさせたものの2枚を撮ってみた。コンデジだと撮像素子が小さめなのでF16で撮ったときに近い感じになるはず。

 城はあくまでもアクセントとしてボケててもらうか、城を準主役としてちょっとハッキリさせるか。お好みで。

 あと、あんまり近づきすぎると、広角で撮ることになり、お城の形がわかりにくくなる。天守の形をきれいに出したいなら、見通しがよくて形をきれいに撮れる位置を探すのがよし。

photophoto 近付いて広角で(写真=左)、ちょっと離れて標準からやや望遠くらいで(写真=右)

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