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軽快さが魅力のエントリーモデル キヤノン「EOS Kiss X50」(2/3 ページ)

» 2011年03月29日 11時20分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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 表現セレクトはモードダイヤルの「全自動」「ストロボ発行禁止」以外の、「クリエリティブ全自動」「ポートレート」「風景」などいわゆるピクチャーモードから利用でき、仕上げたい雰囲気(「雰囲気を選んで撮影する」)と光源の種類(「明かりや状況にあわせて撮影する」)の2つを組み合わせて撮影できる。標準設定を含めて前者は9つ、後者は6つから選択でき、さらに前者は効果の度合いも調整できる。

 また、撮影モード「クリエイティブ全自動」での撮影時には、表現セレクトの効果の強弱のほか、背景ぼかしの強弱も5段階で設定できる(かわりに「明かりや状況にあわせて撮影する」は使えない)。

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photophotophoto 表現セレクト「雰囲気を選んで撮影する」の例。左上から標準設定、「くっきりと鮮やかに」「ふんわりやわらかく」「暖かくやさしく」「しっとり深みのある」「ほの暗くひっそりと」「明るく」「暗く」「モノクロ」「モノクロ 効果:青」「モノクロ 効果:セピア」

 EOS Kiss X5が新たに搭載した撮影モードである、被写体に応じてフォーカス/露出/ホワイトバランス/オートライティングオプティマイザ/ピクチャースタイルの5つをカメラが自動調整する「シーンインテリジェントオート」は搭載していないが、表現セレクトによって、カメラに詳しくなくても「こんな感じで撮りたい」というイメージさえあれば、自分の意図に近い写真を撮影できるのは初心者にとってうれしい配慮といえるだろう。

photophoto 左が全自動、右が「表現セレクト」で「ふんわりやわらかく」とした写真。EXIFを見れば分かるが、「ふんわりやわらかく」では全自動に比べてシャッタースピードをやや遅くし、+2/3の露出補正がかかっている

 動画撮影も可能だが、最大画像サイズが1280×720ピクセルまで、動画撮影時の露出制御もオートしかない(EOS Kiss X5は1920×1080ピクセル、マニュアル露出制御も可能)。このあたりは下位モデルと思えばまあ納得できるのだが、連写が約3コマ/秒(JPEGラージ/ファイン時。RAW+JPEGでは約1枚)なのにはちょっと不満を覚える。上位機種であるEOS Kiss X5もJPEGラージ/ファイン時では約3.7コマ/秒なのでモデルの順位付け的には正しいのかもしれないが、最新の画像処理エンジンを搭載した製品としては貧弱なように思えてしまう。


 EOS Kiss X50はエントリー向けローエンドモデルであり、機能的に割り切ったモデルといえるが、AF測距点は9点、測光分割数は63とEOS Kiss X5と同様であり、重量(X50は約450グラム、X5は約515グラム いずれも本体のみ)や撮影可能枚数(X50は約700枚、X5は約440枚 いずれもストロボ50%発光のCIPA基準値)など部分的にはX5を上回るスペックも有している。

 撮影モードを全自動としてすべてをカメラ任せにしても、大外れはほぼないし、ちょっと雰囲気をプラスしたいと思えば、表現セレクトを使えばいい。そうしてカメラに詳しくなれば、その時には、撮影モードや露出など撮影設定を自分で変更しながら、自分なりの表現ができるようになっているはずだ。

 個人的に試用して気に入ったのは、その軽快さだ。「こだわりスナップキット」に同梱される単焦点レンズ「EF 50mm F1.8 II」を組み合わせれば重量は約617グラム(撮影時重量)に収まるし、機能的にもシンプルとなっているので、あれこれ迷わずシャッターを切れる。中級者にとって、メインカメラとして使うにはやや物足りなさを覚えることは確かだが、EOS Kiss X50は軽快に使えるスナップカメラとして、価格設定も含めて魅力的と言える。

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