キヤノン「IXY 410F」は光学5倍ズームレンズを搭載しながら、厚さを19.5ミリに抑えた「世界最薄」(同社 2010年12月10日現在、24ミリ/光学5倍ズーム以上のコンパクトデジタルカメラにおいて)のスリムモデルだ。
数字で19.5ミリと言われだけではなかなかピンとこないが、実際に手にしてみるとそのスリムさにはちょっと驚かされる。最近では10倍以上の高倍率ズームレンズを搭載したコンパクトデジカメが多く登場しており、そのサイズ感に慣れてしまったせいか(そうした製品も10倍ズーム搭載という意味では非常にスリムなのだが)、IXY 410Fの92.2(幅)×55.9(高さ)×19.5(奥行き 突起部を除く)ミリというサイズはとても軽やかなものに感じられる。
今回はシルバーモデルを試用したが、金属の質感を前面に押し出したデザインはシンプルな好感の持てるもので、名刺入れや手帳などといったビジネスツールと同時に持ち歩いても過度な主張を感じさせないだろう。
外観同様に操作インタフェースもシンプルで、上面には電源ボタンとズームレバー一体型のシャッターボタンが、背面には動画ボタン、撮影モード切り替えスイッチ、十字キー、再生ボタン、メニューボタンが用意されている。それぞれのボタンは大きめで押しやすい。背面液晶は2.7型/23万画素だ。
撮影モード切り替えスイッチは被写体/状況認識機能を利用する「こだわりオート」と、各種撮影設定をマニュアルで施せるプログラムオートの切り替えを行うもので、こだわりオート撮影時には、フレーム内の色やコントラスト、大きさなどで対象が人ではなくても主被写体であると認識し、ピントと露出を合わせ続ける「主役フォーカス」が利用できるため、一度ピントを合わせれば、被写体がペットや乗り物などでもカメラが自動的に追尾し、ピントを合わせ続けてくれる。
人物がいれば顔検出によってかなりの高確率で主被写体(その人物)にピントをあわせてくれるが、人以外の被写体では、被写体が小さい、想定する主被写体の色と背景の色が近いなどの場合、意図しないものを主被写体として認識してしまうこともあった。ちなみに、動いているものに対しては優先的に主被写体として認識する傾向にあるようだ。
また、自動認識ではなく、任意の被写体へピントを合わせ続けることも可能だ。十字キー上を押すと画面中央に現れるAF枠に被写体を収めてSETボタンを押すと「キャッチAF」が起動するので、あとは任意のタイミングでシャッターを切ればいい。キャッチAFが起動している最中、AF枠は被写体を追尾し続けるほか、カメラが被写体を「動いている」と認識してくれれば、ピントと露出を自動的にあわせ続けるサーボAF/AEも適用されるので、撮影時にはシャッターチャンスのみに集中できる。
十字キー中央のFUNC/SETボタンを押すと撮影関連の設定が、MENUボタンからはそれ以外の諸設定を行えるが、撮影モード切り替えスイッチがどちらに入っているかでその内容は若干ながら異なる。オート撮影時にFUNC/SETボタンから設定できるのは、セルフタイマー/アスペクト比/画像サイズ/圧縮率/動画画像サイズの5つだけだが、プログラムオート撮影時には加えて、ペットやポートレートといった撮影モード、連写、ISO感度、ホワイトバランス、マイカラー、測光方式などを設定できる。
プログラムオート撮影時に選択できる撮影モードには、いわゆるシーンモードのほか、静止画撮影の前後を動画で記録するムービーダイジェスト(PowerShot SX230HSのレビュー参照)や笑顔を認識してシャッターを切るオートシャッター、CMOSセンサーの特徴を生かして高速連写するハイスピード連写などユニークなものも含まれており、これらをこだわりオート撮影モードからワンアクションでこれらを利用できないのはちょっと残念な気もするが、シャッターチャンスのみに注意を払うためのこわだりオート、それ以外の撮影をするならばプログラムオートという意図なのだろう。
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