多くのデジタル一眼が備えているオートの撮影モードでは、必要に応じてフラッシュが自動発光し、明るさをコントロールしてくれます。以前に比べると、最近の機種は格段に進化していて、カメラが自動的に、背景は明るく、被写体には軽く、フラッシュの光が当たるように調節してくれます。
とはいえ、自然の光に比べるとフラッシュの光は不自然に感じてしまいます。そこで、今回は外部フラッシュを使って、フラッシュの光のコントロールにチャレンジしてみましょう。
使用した機材は、スナップ撮影に最適なオリンパスの「PEN lite E-PL2」にレンズが「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-42mm F3.5-5.6」、外部フラッシュには上下左右に発光部分が可動するオリンパスの外部フラッシュ「FL-36R」です。
E-PL2にはポップアップ式の内蔵のフラッシュがありますが、発光量が小さいので、暗い場所や広い場所では光が届かなかったり、光の向かう方向を制御できないので、被写体に当たったフラッシュの光が不自然に見えてしまうことがあります。
E-PL2のコンパクトなボディーには少し不釣り合いなFL-36Rですが、内蔵フラッシュを大きく上回る発光量そして、発光部が稼働することによって「バウンス撮影」と呼ばれるテクニックを利用できるメリットがあります。
バウンス撮影とは、フラッシュの光を直接被写体に当てるのではなく、フラッシュの光を天井や壁・レフ板などで反射させて被写体に光を当てる撮影方法です。反射光なので光が和らぎ、面で大きく光が反射するので周辺も明るくなります。
オークションに出品する商品や、ブログ用の写真も光をコントロールするだけで注目度が変わってきます。きれいな写真が撮れれば必然的に人に見て欲しくなり、きれいな写真なら見る人も良い印象を受けます。
さて、作例では室内で小物(デジタルカメラ)を撮るという状況を設定し、フラッシュなし、内蔵フラッシュ、外部フラッシュ天井バウンス、外部ラッシュ天井バウンス+レフ版という4つのシチュエーションで撮影してみました。
蛍光灯の影が右の方へ伸びています。シャッタースピードが1/3秒なので、手持ち撮影はほぼ不可能です。この時点で、フラッシュを使わないと手持ちでは無理だと判断してフラッシュを使うことになるわけです。
シャッタースピードが1/80秒となり、手持ちでも撮影できるようになりました。ただしフラッシュの光が直接被写体に当たってしまい、強烈な光沢と、本体にレンズの影、背景に影が発生しています。
外部フラッシュ「FL-36R」によるバウンス撮影。バウンス撮影は反射面の色を反映してしまうため、今回でいえば天井の色を反映して、色が変わってしまいました。反射させる距離によって、光量も変わります。今回は天井まで1.8メートル以上あるため光量がやや少なくなっています。
バウンスにより、光はやわらかくなり自然光に近いイメージになりました。右奥に出ていた蛍光灯の影も消えました。ただし、内蔵フラッシュの時のような被写体の正面の明るさがなくなっています。
正面が明るくなり、自然な立体感になりました。今回は銀色のレフ板を使っていますが、アルミホイルを段ボールに貼り付けたもので代用したり、卓上カレンダーに厚紙でA4のコピー用紙を貼り付けて被写体の側に置くだけでも、同様の効果を得られます。
レンズの下に出る影は、レンズの下に光が回るように手前にレフ板を入れるか、ミニ三脚などに被写体を設置して床面と距離を離す、もしくは被写体の下に台を置くなどの手段でやわらげることができます。
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