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「DSC-HX9V」第3回――あえてフルオート撮影しない使い方長期試用リポート

» 2011年05月17日 10時44分 公開
[ITmedia]
photo DSC-HX9Vのモードダイヤル

 DSC-HX9Vはコンパクトデジカメと呼ばれるジャンルの製品だが、フルオート化の進む同ジャンルにおいて、ある程度ながらも、マニュアル撮影に配慮した操作性も有している。今回は、そのあたりについて確認してみよう。

 本製品が備える撮影操作インタフェースは、モードダイヤルによる撮影モード切り替えを軸に、MENUボタンから詳細設定を呼び出すというコンパクトデジカメとして一般的なものだが、加えて、上部にはEV補正/ISO/ホワイトバランス/測光モード/スマイルシャッターの5つの1つを割り当てられる「CUSTOM」ボタンが用意されている。

 ただ、フルオートの撮影モードである「おまかせオート」ならびに「プレミアムおまかせオート」では、CUSTOMボタンに割り当て可能な5つ設定項目の内、測光モードとホワイトバランス、ISOの調整が行えない。上記2つのフルオート設定時、実質的にはCUSTOMボタンは露出補正にしか利用できないことになる(スマイルシャッターは撮影モード「おまかせオート」ならば調整可能)。

photophotophoto CUSTOMボタンにはEV補正/ISO/ホワイトバランス/測光モード/スマイルシャッターの5つの1つを割り当てられるが、おまかせ/プレミアムおまかせオートではフル活用できない

 文字通り「フルオート」の撮影モードなのだから仕方ないと言えばそうなのだが、前モデルのDSC-HX5Vと同じく、本製品も白熱灯のある室内撮影では照明に影響されて、ホワイトバランスが正確にとれず、暖色にかぶることが多い。せめてホワイトバランスだけでもおまかせ/プレミアムおまかせオート時にも調整したいと感じる。

 また、いわゆる高級コンパクトデジカメといわれる製品では、絞り優先あるいはシャッタースピード優先も多く使われるところだが、本製品のモードダイヤルにはこの2つの撮影モードは用意されていない。自分でシャッタースピードあるいは絞りを設定したい際にはマニュアル露出(M)を使うしかない。

 このマニュアル露出モードではコントロールホイール中央ボタンを押すたびにISO/シャッタースピード/絞りを調整でき、コントロールホイールの回転でそれぞれの値を変更できるのだが、絞りはF3.3かF8しか選択できないので、適正露出を得るためにはISO/シャッタースピードをそれぞれ調整するしかない(ISOオートは選択できない)。

 プログラムオートではシャッタースピードと絞りこそカメラ任せになるが、設定可能な撮影設定は多い。ホワイトバランスをプリセットパラメーターを基準に任意の補正を行うホワイトバランスシフトや、露出/ホワイトバランスのブラケット撮影など、おまかせオート/プレミアムおまかせオートでは使えない撮影機能も利用できる。

photophotophoto おまかせオート/プレミアムおまかせオートでは利用できないブラケット撮影で梅を。これは±0.3EVずらしだが、±0.7、±1、ホワイトバランスのブラケット撮影も可能

 ここで設定した各種設定については、モードダイヤル「MR」へ3通りまで保存可能なので、個人的には、普段はおまかせオート/プレミアムおまかせオートをメインの撮影モードにしつつ、それでは思った通りに撮れないという可能性があるシチュエーションでは、こちらに保存した撮影設定を使って撮影するというスタイルに落ち着いた。

photo 筆者に「MR」設定例。設定1はホワイトバランスシフトでAWBのホワイトバランスをブルー/マゼンダにやや振りながら、ホワイトバランスブラケット撮影も設定したホワイトバランス重視設定
photo 設定2 スマイルシャッター「ON」にスマイル検出感度「ほほ笑み」として笑顔の自動撮影を目指し、動画画質をPSではなくあえて「FH」に押さえたスナップ設定
photo 設定3はフォーカスと測光を「中央重点」、カラーモードを「モノトーン」、コントラストとシャープネスを「マイナス」とした雰囲気重視設定(写真=右)

 ここまでたどり着いて、かなり思い通りの写真を撮れるようになったのだが、そうなると操作レスポンスに不満を覚える機会が増えた。なにより、撮影モードダイヤルを回した際の動きはお世辞にも快適なスピード感があるとはいえない。「本体設定」から「機能ガイド」を「切」にすれば多少改善されるのだが、本質的な改善とはならない。ここだけは残念である。

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