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ボケを生かしたポートレートを撮る3つのポイントデジイチ初心者応援(1/2 ページ)

» 2011年06月24日 10時50分 公開
[永山昌克,ITmedia]
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 新しく買ったカメラを持って撮影に出かけよう、と意気込んでみたけれど、あいにく天候は曇り……。そんな経験はないでしょうか。風景や建物を撮るなら、青空を背景にすると見栄えがよくなることは確かです。ただ、人物撮影なら曇天でも落胆することはありません。

 曇天では、太陽光線が拡散し、ソフトな光によって陰影がやわらかくなるので、ポートレート撮影ではむしろ好都合です。晴天のギラギラとした日差しでは、光の当たり方を考慮して立ち位置やカメラポジションを選ぶ必要がありますが、曇天なら、まんべんなく光が回っているので、比較的に自由に撮影場所を選ぶことができます。

 今回の撮影場所は都内の公園。前日の雨の影響で、木々や地面には湿り気があり、いい感じにしっとりとした雰囲気になっていました。撮影地としての公園はやや平凡ではありますが、ごみごみとした街中で撮るよりも背景の処理が比較的しやすいので、ポートレート入門用に最適な場所といえます。騒音が少なく、落ち着いて撮影できるメリットもあります。

photo マニュアル露出(F5.6 1/30秒) ISO400 ホワイトバランス:晴天 ピクチャーモード:PORTRAIT レンズ:「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6」

 カメラはオリンパスの「OLYMPUS PEN Lite E-PL2」で、レンズは標準ズームと単焦点レンズ、高倍率ズームの3本を用意しました。28ミリ相当の広角から300ミリ相当の望遠までをカバーしながらも、機材の総重量はわずか805グラムしかありません。フットワークを生かして、スナップ的にポートレートを撮るのに打ってつけです。

photo オリンパス「OLYMPUS PEN Lite E-PL2」。左から、高倍率ズーム「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6」、単焦点レンズ「M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8」、標準ズーム「M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 II」

シンプルな背景で主役を強調する

 ポートレート撮影で気を付けたいことのひとつは、背景の処理です。主役である人物を際立たせるためには、背景はできるだけシンプルなほうがいいでしょう。ただ、真っ白や真っ黒ではシンプルすぎてつまらないので、その場の状況が分かる程度に単純化された背景を選びたいところです。

 下の写真は、カメラをローアングルに構えることで、背景を木々だけにして単純化した例です。木漏れ日がきれいな丸ボケとして表現されました。

photo マニュアル露出(F5.4 1/40秒) ISO320 ホワイトバランス:晴天 ピクチャーモード:VIVID レンズ:「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6」

 逆にカメラ位置を高くするのも有効です。下の写真は、ハイアングルに構えることで、背景を地面だけにしたケースです。レンズは、キットに付属する標準ズームを使用しましたが、背景はほどよくボケています。

photo マニュアル露出(F5.3 1/30秒) ISO400 ホワイトバランス:晴天 ピクチャーモード:PORTRAIT レンズ:「M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 II」

 ただ、背景処理ばかりを気にしすぎ、肝心の人物の仕草や表情を見落としてしまっては本末転倒です。撮影のポジションとアングルをいったん決めたら、あとはシャッターチャンスを優先して撮っていくのがいいでしょう。人物の動きや、撮るタイミングによっては、背景がずれたり、狙った構図にはならない場合もありますが、構図を細かく整えることより、表情を捉えることのほうが大切です。

photo マニュアル露出(F5.6 1/160秒) ISO400 ホワイトバランス:晴天 ピクチャーモード:NATURAL レンズ:「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6」
photo 絞り優先AE(F5.6 1/20秒) ISO200 ホワイトバランス:晴天 ピクチャーモード:NATURAL レンズ:「M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6」

レンズの特性を生かして撮る

 今回使用した3本のレンズのうち、広角単焦点の「M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8」は、「パンケーキ」型と呼ばれる超薄型軽量のレンズです。35ミリ換算で34ミリ相当という画角は、広角でありながらパースがあまり強調されず、広めの範囲を自然な雰囲気で捉えるのに役立ちます。レンズの薄さと相まって、取り回しが非常にいいレンズでもあります。

 下の写真は、「M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8」の開放値F2.8で撮影したもの。レンズの手前にある花は美しくボケると同時に、背景にもクセのない素直な丸ボケが生じています。そのいっぽうで、ピントを合わせた顔の部分はシャープに解像しています。

photo 絞り優先AE(F2.8 1/500秒) ISO400 ホワイトバランス:晴天 ピクチャーモード:NATURAL レンズ:「M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8」
photo マニュアル露出(F2.8 1/250秒) ISO200 ホワイトバランス:晴天 ピクチャーモード:NATURAL レンズ:「M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8」
photo 絞り優先AE(F2.8 1/20秒) ISO500 ホワイトバランス:日陰 ピクチャーモード:NATURAL レンズ:「M.ZUIKO DIGITAL 17mm F2.8」

 標準ズーム「M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 II」は、レンズキットの付属レンズにもなっているPENの基本レンズです。広角単焦点に比べると開放F値はやや暗くなりますが、その分、ズームがあるので構図の自由度は大きくアップします。

 このレンズは、焦点距離14〜19ミリでは最短25センチまで、焦点距離20〜42ミリでは最短30センチまで近寄って撮ることができるので、ちょっとした接写用途にも役立ちます。ポートレート撮影では、顔や上半身ばかりでなく、手の表情や小物をクローズアップで撮るのもお勧めです。全体として見たときに、効果的なインサートカットになります。

photo マニュアル露出(F5.6 1/60秒) ISO800 ホワイトバランス:晴天 ピクチャーモード:VIVID レンズ:「M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 II」
photo 絞り優先AE(F5.6 1/500秒) ISO200 ホワイトバランス:晴天 ピクチャーモード:VIVID レンズ:「M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 II」
photo 絞り優先AE(F5.6 1/10秒) ISO200 ホワイトバランス:日陰 ピクチャーモード:NATURAL レンズ:「M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 II」
photo 絞り優先AE(F6.3 1/2.5秒) ISO500 ホワイトバランス:日陰 ピクチャーモード:モノトーン レンズ:「M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 II」
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