カシオは時々、思いもつかないような製品を作ってくるから面白い。
その最新作が“EXILIM”「EX-TR100」。古いデジカメ好きはQV-10を思い出したと思う。似てるといえば似てるし、全然違うといえば違うのだけれども、新しいメカニズムの製品をひねりだそうって意気込みは似てる。
EX-TR100が面白いのは、そのコンセプト。
じっくり構えて被写体を狙うカメラじゃなくて、日常の中に持ち込んでわいわいと遊んでたら面白い写真がたくさん撮れてました、的な、構えないで撮るカメラ。
特に楽しめるのは自分撮り系。自分で自分を撮って、踊ってみたりして、ネットに上げるというのもありだけれども、メインで考えてるのはどちらかというと、自分と誰かを一緒に撮る。遊びながら友達を撮る、みんなで撮る、勝手に撮る、ほっとくと撮る、そんな友達とか仲間とかが多い人たちだ。たぶん。
(編注:発売前のサンプル機のため、一部画面表示が実際の製品と異なります)
スペックだけを見たら、イマドキのデジカメとしては足りないところだらけ。レンズは単焦点で光学ズームはないし、レンズカバーもないし、光学式手ブレ補正もないし、フラッシュもない(LEDライトだけ)。三脚穴もない。でも大事なのはそれらを削ることで何を得たかだ。実際に使って見ると、こういう点は全然気にならないのである。むしろ、これにズームレンズなんていらないと思う。
撮像素子には1200万画素の裏面照射型CMOSセンサーを搭載し、レンズには35ミリ換算21ミリ相当、F2.8の広角系単焦点レンズを採用している。
裏面照射型CMOSセンサーを採用したのは、室内光でも撮れる高感度が必要だったから。21ミリ相当の広角なのは風景を撮るためというよりは、狭い室内でも、あるいは自分撮りしたとき大勢を一度に取れるように。
ボディは往年のレンズ回転式QVシリーズを超薄型にした感じで、新しいのはそのボディをぐるっと囲むフレーム。レンズ部を軸に、縦にフレームが、横に液晶モニタが回転する2軸回転構造なのだ。あるいはフレームの中で液晶モニタが回るのだけど、そのフレーム自体も回転する構造といっていいかも。
フレームで全周を覆ったら、シャッターボタンはどこにあるのか。液晶モニタの横にある細長いバーがそうである。単なる銀色のバーだが、半押しにも対応している。設けられているボタンは電源とこのシャッターボタンのみ。
あとはすべてタッチパネルであり、撮影も液晶画面をタッチするだけでできるので、シャッターボタンすら押さなくて済むわけで、る。フルタッチパネルデジカメといって過言ではないのだ。スマートフォンのカメラ機能を使う感覚なんだけど、中身は高性能なデジカメだ、ってところが面白い。
普通に撮る場合は、電源を入れてレンズを被写体に向ければいい。シャッターボタンは親指で押す。グリップが安定しないので片手だとぶれやすいけれども、慣れればさほど……。カメラというより、スマートフォンの大きなヤツだと思えば問題じゃない。
撮影モードはカシオらしく、プログラムオート、プレミアムオート、BS、HDRアート、スライドパノラマ、動画などがある。動画はフルHDに対応。また、240fpsのハイスピード動画も撮れる。基本的には「EX-ZR100」(レビュー)など、「HISPEED EXILIM」と同等と思っていい。
楽しいのは遊べる撮影スタイル。
ローアングルで撮りたいときはフレームを開き、液晶モニタを回転させる。フレームは180度フルに開いてもいいし、90度でもいい。いずれにせよ、フレーム部を左手でしっかりグリップすると安定する。右手は添えて、指で軽くシャッターを押す感じ。
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