コンパクトデジカメは成熟市場といわれるだけに、新製品はさまざまなトピックを盛り込み差別化を図っている。昨年春は10倍以上の高倍率ズームレンズを搭載した製品が各社から登場したほか、タッチパネルも既に多くの機種が搭載している。ただ、こうした要素は比較的、高付加価値タイプのモデルに搭載されるケースが多く、価格を抑えたスタンダードタイプでの搭載は珍しい。
その珍しい1台に数えられるのが、サイバーショット「DSC-WX30」。サイバーショットシリーズはおおざっぱに言うと、現在、高倍率レンズ&高機能タイプの「H」(HX)、スライド式レンズカバーのスリムタイプ「T」、スタンダードモデルの「W」と展開されており、Wシリーズは低価格帯もカバーするが、WX30は比較的低価格帯のモデルながら、さまざまな要素を盛り込んでいる。
春に登場した「DSC-WX10」(レビュー)は有効1620万画素の新型裏面照射型センサーに7倍ズームレンズ、「DSC-WX7」は同センサーと5倍ズームレンズを搭載してきた。新製品のWX30は、これらに連なるモデルとなり、WX10/WX7と同じく有効1620万画素の裏面照射型CMOSセンサーと、WX7と同様の5倍ズーム(35ミリ換算25〜125ミリ F2.6-6.3)を搭載する。
ただ、新たに「超解像ズーム」の搭載によって10倍相当(35ミリ換算250ミリ相当)までのズームが可能になったほか、NEX-C3から搭載されたデジタルフィルター「ピクチャーエフェクト」と、スリムタイプのTシリーズしか採用されていなかった、(Wシリーズとしては初めてとなる)タッチパネルも搭載した。
まずは超解像ズームを含めたレンズ周りの話から。7倍ズームレンズを搭載するWX10のレビュー記事ではテレ端の最短撮影距離(レンズ先端から100センチ)と、ズームした際の最短撮影距離(1.5倍ぐらいのズームをしただけで最短撮影距離が30センチを超えてしまう)ことが指摘されていた(レビュー記事参照)。WX30ではレンズが5倍ズームとなっているためかこの制限は若干緩和されているのだが、ワイド端以外で接写する際には注意が必要となる。
WX30もいわゆるシームレスマクロで、マクロモードを起動することなくワイド端で5センチ、テレ端では100センチまで寄れる(いずれもレンズ先端から)のだが、被写体との距離が3〜40センチ――例えば食事を撮るようなシチュエーション――だと、1.6倍ズームぐらいでもう最短撮影距離を超えてしまう。接近しての撮影をするときにはまずワイド端で撮ることを心がけたいところだ。
次は目玉機能のひとつである超解像ズーム。一口に超解像といっても方法はさまざまだが、WX30の場合は全画素が周辺画素からパターン分類を行ったのち、数百パターンを収めたデータベースを元に画像補完を行う「全画素超解像方式」と呼ばれる方式を採用する。この方式を採用することで画像の劣化を抑えたというが、まずは下の例を見てもらいたい。
超解像ズームで撮影すると、若干ながらディテールが甘くなる傾向にあるものの、等倍確認でもしない限り気にならないレベルで撮影できる。デジタル処理を施すため、シャッターを押した後に若干の処理時間が発生するため連写には不向きなほか、動画撮影時にも使えないのだが、画像サイズも最大4608×3456ピクセルとフル画素記録が可能なので常用できそうだ。
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