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タッチパネル対応の“OLYMPUS PEN”最上位機――オリンパス「E-P3」(1/3 ページ)

» 2011年08月03日 10時36分 公開
[永山昌克,ITmedia]
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高品位なメタルボディ

 オリンパス「E-P3」は、マイクロフォーサーズ規格に準拠したレンズ交換式のミラーレスカメラだ。2009年に発売した「E-P2」(レビュー)の後継機にあたり、背面ディスプレイのタッチパネル化やAFの高速化、撮影機能の強化などを図っている。

photo オリンパス「E-P3」に広角単焦点レンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0」を装着

 ボディは、レンズ部をボディのほぼ中央に配置した横長の長方形スタイルを採用する。外装は剛性感のあるアルミ素材で、手に取るとひんやりとした触感が伝わる。カラーバリエーションはシルバー/ホワイト/ブラックの3色が用意。全体のシルエットは従来機「E-P2」や初代機「E-P1」と似ているが、細部のデザインにはさまざまな変更が加えられている。

 特に変わったのは上部のデザインだ。E-P1やE-P2では、天面の左側に埋め込まれたモードダイヤルがデザインの個性のひとつになっていたが、E-P3ではそれを廃止し、一般的な形のモードダイヤルをシャッターボタンの横に配置した。従来のモードダイヤルの位置にはポップアップ式の内蔵ストロボを新装備する。また、電源ボタンの位置も移動し、電源ボタンの横にはカスタマイズ可能な「Fn2」ボタンを新設した。

 前面はグリップの形状が変更になり、若干だがホールド性が向上した。しかもグリップは着脱式となり、取り外してすっきりとした形状にしたり、オプションのやや厚みのあるグリップや、限定発売の大理石柄のグリップに交換することが可能になった。いっぽう背面は、ムービー撮影ボタンを新設したほか、各種ボタンの割り当て機能が一部変更された。

 ボディのサイズと重量は、数値上はわずかに異なるが、従来モデルとほぼ同じと考えていい。今秋発売予定の下位モデル「E-PL3」や「E-PM1」に比べると約一回り大きくて重く、ファインダーのないミラーレスカメラとしては特に薄型軽量というほどではない。その代わり、パーツがぎっしりと詰め込まれたような適度な重量感と凝縮感があり、シリーズのフラッグシップ機らしい高級なイメージをかもし出している。

photophoto 前面の左上にAF補助光を新搭載。従来機で前面にあった動画用のステレオマイクは天面に移動した(写真=左)、レンズキットに付属する標準ズーム「M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 II R」を装着。光学系はそのままで、外観をリニューアルしたレンズだ(写真=右)
photophoto レイアウトを一新したボディ上部。中央にあるホットシューには、オプションの外部ストロボや電子ビューファインダーを装着できる(写真=左)、上位の「PEN」シリーズでは初めてストロボを内蔵。オートのほか、発光量補正やマニュアル発光、外部ストロボのワイヤレス制御などに対応する(写真=右)
photo 左から、オプションの大型グリップ「MCG-2」を取り付けたE-P3と、白いデコレーションリング「DR-40」を装着した標準ズーム、オプションの金属製レンズキャップ「LC-48」を装着した広角単焦点レンズ

指タッチによる直感的な操作

 装備面での大きな改良としては、背面ディスプレイをE-P2の3型/約23万画素の液晶モニターから、3型/約61万画素(92万画素相当のデータ表示が可能)の有機ELモニターに変更したことが挙げられる。有機ELの表示は鮮やかで明るく、屋外でもまずまずの視認性がある。強い日差しが直接当たるシーンではさすがに見えにくくなるが、必要に応じてオプションの電子ビューファインダーを装着することも可能だ。

photo 3型の有機ELタッチパネルを新搭載。モニターの表示は、明るさと色温度を調整できるほか、表示の彩度を「Natural/Vivid」の2タイプから選べる

 同社のマイクロフォーサーズ機では初めてタッチパネルに対応したことにも注目したい。有機ELの表面を指で直接タッチすることで、AFエリアの移動や拡大表示、シャッターのレリーズ、ライブガイドの操作、再生コマ送り、拡大再生などが行える。タッチパネルの反応はスピーディで、従来より高速化したAFの動作と合わせて軽快な撮影を楽しめる。もちろん不要ならタッチパネルをオフにして、ボタンとダイヤルのみでを全操作を行うこともできる。

photo 指タッチした部分にAFフレームが瞬時に移動してピントが合う。その際、右側のバー上をなぞって枠の大きさを変更したり、虫眼鏡のアイコンをタッチして表示を部分拡大することもできる
photophoto タッチパネルを使わずにピントを合わせる場合は、マス目状に配置された35点のAFフレームを手動または自動で選択できる(写真=左)、画面右側のタブを指で左に動かすと「ライブガイド」が表示。鮮やかさと色合い、明るさ、ボケ、動感の5項目をライブビューを見ながら直感的に切り替えることができる(写真=右)

 AFは、撮像素子面の映像によってピントを判断するコントラスト検出方式を採用する。一般的にコントラスト検出AFは、一眼レフが採用する位相差検出AFに比べて合焦スピードが遅いといわれるが、E-P3では撮像素子の駆動速度やAF演算の速度を高め、レンズ制御などを見直すことで、従来比で約3倍のスピードアップを実現したという。

photo 電源はリチウムイオン充電池で、CIPA準拠の電池寿命は約330枚。記録メディアはSD/SDHC/SDXCカードをサポートする

 今回の試用では、主にキット付属の標準ズーム「M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 II R」と新発売の単焦点レンズ「M.ZUIKO DIGITAL ED 12mm F2.0」を使ったが、これらのレンズとの組み合わせでは、ほぼ無音で快適に作動するAFスピードを体験できた。薄暗いシーンで合焦速度が低下したり、動体撮影で追従しきれないケースはあるものの、明るい屋外でのスナップ撮影ならAFにストレスを感じることはない。

 フォーカスの選択エリアが従来の11点から35点に増加したことや、AFターゲット枠を従来よりも小さく設定可能になったことも、操作性を高める進化といえる。さらにAF関連では、3×3のAFターゲットでピントを合わせる「グループエリア選択」機能や、シャッターボタンを押さなくても常にピントを合わせ続ける「フルタイムAF」機能を新搭載した。また「顔優先AF/瞳検出AF」では、左目と右目のどちらを優先するかを選択可能になった。

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