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アントキノカメラへ会いに行く――ペンタックス「Optio 750Z」矢野渉の「クラシック・デジカメで遊ぶ」(2/3 ページ)

» 2011年08月26日 10時23分 公開
[矢野渉,ITmedia]

銀塩おやじ落涙の「デジタル露出計モード」

 単体露出計のメーカーと言えば国内ではミノルタ(現在はケンコー)、セコニックが有名だが、実はペンタックスも露出計のメーカーである。それもたった1機種、反射光式のスポットメーターを作り続けている(ペンタックス アクセサリ一覧)。そしてなんと750Zの「デジタル露出計モード」には、このスポットメーターのノウハウが丸ごと乗せられているのだ。

photo 「デジタル露出計モード」のポジション。追針式(ついしんしき)メーターの形をしたアイコンが泣かせる
photo 露出を2点まで記憶し、即座に平均値を出してくれる。左右のキーで自分なりの露出を決定し、OKボタンを押すと絞りとシャッタースピードの組み合わせが表示される

 750Zの取扱説明書には、冒頭に「フィルムカメラを使うときには、一緒に持って行って露出計として使って欲しい」旨が明記されている。ハイエンドのコンパクトデジカメでそのような主張をするのはかなりリスクがあると思われるのだが、ペンタックスはあえてそれをしたのだ。

 フィルムでの風景写真をメインにしているハイアマチュアにとって、スポットメーターは憧れのアイテムだ。三脚に据えた中判カメラで構図を決めたら、スポットメーターで各部分の露出を測っていく。コントラスト差が激しい時は特に慎重になる。そしてフィルムのラチチュードまで計算に入れて最終的に決定した露出の値は、人によって微妙に違うのだ。

 この繊細な作業には受光角1度のスポットメーターが不可欠なのだが、これが意外に高い。6万円弱はするのだ。もしそれをこの750Zで代用できるなら、これほどうれしい事はない。万が一の撮影の失敗も、デジタルカメラで押さえの撮影もできると考えたら一石二鳥なのである。

 しかも750Zの場合、望遠側では受光角1度、広角側では受光角5度というふうに使い分けができる仕様になっている。これは本家を超えた「ズームスポットメーター」なのだ。

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