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第3回 アーティスティックに加工するRAW現像のコツデジタル一眼ビギナーのためのLightroom入門

» 2011年09月15日 11時00分 公開
[永山昌克,ITmedia]

風景写真の傾きと色合いを最適化する

 前々回(デジタル一眼ビギナーのためのLightroom入門:第1回 写真を見違えるように仕上げるRAW現像の基本)ではRAW撮影のメリット、前回(デジタル一眼ビギナーのためのLightroom入門:第2回 現像モジュールの7つの機能を使いこなす)はLightroomにおけるRAW現像の基本を紹介しました。今回は、Lightroomの複数の機能を活用して、デジタル一眼で撮影したRAWデータを狙ったイメージに仕上げる方法を紹介しましょう。

 まずは、風景写真の形と色を最適化するケースです。素材となる元の写真は、広角レンズで撮影したため灯台が斜めに傾いて写っています。水平線の傾きや、ややぼんやりとした色合いも気になります。

photo 元の写真
photo 傾きを補正するために、「レンズ補正」パネルを開き、「手動」の「ゆがみ」と「垂直方向」「水平方向」「回転」の各スライダを調整。操作中に表示されるグリッドを見ながら、垂直と水平をまっすぐに補正します。「切り抜きを制限」にチェックを入れると、補正によって生じた余白部分を自動的にトリミングできます

photo 次に、空をいっそう鮮やかな色にするため、ツールアイコンから「段階フィルター」を適用します。段階フィルターは、ドラッグした範囲の色や明るさ、コントラストなどを段階的に調整するツールです。この写真では、画面上から水平線付近まで下向きにドラッグし、その部分の露光量を下げつつ、コントラストを高めました
photo 最後に、仕上げとして「トーンカーブ」パネルを開き、「ライト」のスライダを右にドラッグしました。これによって全体のメリハリ感が高まり、見栄えのする写真に仕上がりました

カラー写真をダブルトーン風に仕上げる

 「明暗別色補正」パネルでは、写真のハイライト部とシャドウ部のそれぞれに特定の色みを追加することができます。この機能を利用して、フルカラーの写真を2色で構成されたダブルトーン風の写真に変換してみましょう。

photo 元の写真
photo まず「基本補正」パネルを開き、右上にある「白黒」の文字をクリックして、写真をモノクロに変換します

photo 次に「明暗別色補正」パネルを開き、右側にある長方形のカラーボックスをクリックしてカラーピッカーを表示し、ハイライトとシャドウのそれぞれに加えたい色を設定します。また「バランス」のスライダを動かして、ハイライトとシャドウの割合を調整します
photo 「トーンカーブ」パネルを開き、、「ライト」のスライダを右にドラッグ。中間調を明るくして、全体のメリハリを高めます

photo 最後に「補正ブラシ」を利用して部分的な補正を加えます。補正ブラシは、ドラッグした範囲の色や明るさ、コントラスト、彩度などをコントロールするツールです。この写真では、露光量をマイナスに設定した補正ブラシで空の部分をドラッグし、空が暗くなるように補正しました

トイカメラのような色彩感を演出する

 最近のデジタル一眼は、写真にさまざまな特殊効果を加えるエフェクト機能を搭載した製品が増えています。そんなカメラのエフェクト機能と同じような効果は、Lightroomでも簡単に作り出すことができます。ここでは、トイカメラのようなイメージに仕上げる方法を紹介しましょう。

photo 元の写真
photo 「基本補正」パネルを開き、「色温度」と「色かぶり補正」のスライダを動かして写真全体が赤っぽい色合いになるように調整します

photo 「効果」パネルを開き、「切り抜き後の周辺光量補正」の「適用量」を下げ、写真の周辺部を暗く落とします。さらに「粒子」の「適用量」を上げて、写真の表面にフィルムのような粒状感を作り出します
photo 最後に、仕上げとして「基本補正」パネルの「白とび軽減」や「補助光効果」を使って、写真全体の明るさを整えて完成です

現像プリセットを活用する

 Lightroomで行うさまざまな補正の設定は、メニューの「写真」から、「プリセット」として名前を付けて保存することができます。いったんプリセットに保存しておけば、別の写真に対して同じ補正をワンクリックで適用可能になります。

photo

 また、あらかじめLightroom内に用意されたプリセットを利用したり、ウェブ上で公開されているユーザープリセットをダウンロードして使用することもできます。ウェブ上のプリセットは「Lightroom プリセット」などで検索すれば、特定のフィルム風や印画紙風、レトロ調などさまざまな種類のものを見つけられるはずです。

 他の人が作成したプリセットを利用することは、その補正をそのまま適用するだけでなく、自分では気が付かなかった機能の設定や組み合わせ方を発見し、学べるというメリットもあります。プロカメラマンを含めた数多くのユーザーが、世界中にいるLightroomの強みといえる部分です。

photo 元の写真
photo Lightroomプリセット「カラー CP 1」を適用
photo Lightroomプリセット「ブリーチバイパス」を適用
photo Lightroomプリセット「ポジプリント調」を適用
photo Lightroomプリセット「古い写真」を適用
photo Lightroomプリセット「白黒クリエイティブ-コントラスト(高)」を適用
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