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「あの写真」をオンラインへ預ける際の一考デジカメ画像を死蔵させない管理と保存

» 2011年09月29日 09時43分 公開
[小山安博,ITmedia]

 デジカメやケータイで撮影される写真が増え、その容量が大きくなれべなるほど、最も利便性の高いバックアップ先はHDDということになるだろう。ただ、HDDは消耗品であり、いつかは壊れる。大容量製品の低価格が進むメモリカードであっても、トラブルが皆無とはいえない。

 バックアップ対象の写真点数がさほど多くない、あるいは特に大切な写真だけでもバックアップしたいといった場合、選択肢に浮上するのがオンラインストレージだ(→連載:「オンラインフォトストレージ探訪」)

(デジカメ画像を死蔵させない管理と保存:「あの写真」を失わないための第1歩)

(デジカメ画像を死蔵させない管理と保存:「あの写真」を捜す苦痛から解放されるための方法)

オンラインにデータを保存

 オンラインストレージはクラウド上にデータを保存するため、自宅のPCがトラブルに陥ってもデータが消失する危険性はない。また、こうしたクラウドサービスは厳重な保全体制を整えるため、一度データを預けてしまえば、クラウド側でデータが損失するといった事態は起こりにくい。

 こうしたオンラインストレージのなかでも、写真データの保管や利用を主眼としたものが複数存在しており、これらではある程度までの容量ならば無料提供されることも多いだが、HDDに比べると利用容量が大きくなればなるほど価格容量比に劣る傾向にある。基本的には数Gバイトまでの写真データバックアップを主目的として利用することになるだろう。

 例えばGoogleの「Picasa Webアルバム」では無料で1Gバイトを利用できるが、それ以上は有料。20Gバイトが5ドル、80Gバイトが20ドル、200Gバイトが50ドル、400Gバイトが100ドル、1Tバイトが256ドルとなっており、円高のいまとはいえ、大容量データのバックアップを行うにはそれなりの料金が必要になる。

photo Picasa Webアルバム

 写真用のオンラインストレージとして有名なflickrでは、無償アカウントでは1カ月に2つのビデオと300Mバイトまでの画像のアップロードができるだけだが、有償アカウントに切り替えると無制限の画像アップロードが可能になる。

photo flickr

 Eye-Fiが提供する「Eye-Fi View」は、7日間は無制限にJPEG画像の保存が可能で、月額480円または年額4800円の料金を支払えば無期限で保存できる。paperboy&coの「30days Album」ならば2Gバイトまでは無料でアップロードでき、月315円/1年3780円/2年7560円の有料コースだと無制限でアップロードできる。

 こうした写真向けオンラインストレージの多くはJPEG画像のみの対応だが、写真/動画のバックアップとなるとRAWやMPEG-4などにも対応して欲しい。そこで視野に入るのが通常のファイルも保存できるサービスだ。

 日本マイクロソフトの「Windows Live SkyDrive」が25Gバイトの容量を無料で利用でき、同様にネイバーの「Nドライブ」も30Gバイトの容量が無料となっている。リコーが提供する「quanp」も1Gバイトまで無料だ。

photo SkyDrive

 HDD内にある数百Gバイトの画像をオンラインにアップロードする、というと気が遠くなりかけるが、これらのサービスではアップロードツールなどが用意されていることも多く、ファイルの指定さえすれば後は待つだけだ。

「写真の活用」観点からは積極的に使いたい

 このように現状、バックアップという観点からすれば、オンラインストレージはHDDの完全な代替とはなり得ない。

 手間にはなるが、JPEGはflickrのような容量無制限のサービスへアップロードし、RAWや動画については別のサービスを利用したり、外付けHDDや光学メディアにバックアップするといった使い分けをしていくのがベターといえる。RAWについてはJPEGに現像しておき、JPEGファイルをアップロードしておけば、いざというときに「画像が完全になくなる」被害だけは避けられるだろう。

 ちなみにGoogleのSNS「Google+」では、2048ピクセル以下の画像であれば、容量無制限のアップロードができるほか、facebookも同様に画像サイズ制限があるもの容量自体は無制限となっている。フル画像のバックアップという用途には適さないが、万が一に備えての分散先としては有用だろう。

 こうしたオンラインストレージはアップロード作業が必要だったり、もしもの時の復元にダウンロードが必要であるなど、純粋なバックアップ用途には適さない側面もあるが、多くのサービスで「画像を他人と共有できる」というメリットがある。保存のみではなく、撮影した画像や動画の活用という側面も視野に入れるならば、検討したいサービスとなる。

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