前編に引き続き、ニコンのミラーレスカメラ「Nikon 1」を見ていこう。後編となる今回は、ユーザーインタフェースを確認しながら、「Nikon 1とはどんなカメラか」を考えてみたい。
EVFの有無など外装については違いのある「Nikon 1 V1」と「Nikon 1 J1」だが、ユーザーインタフェースは共通している。背面にある撮影モードダイヤルには、動画/静止画/スマートフォトセレクター/モーションスナップショット4つのポジションが用意されている。
動画はフルHD(1080/60i)でMPEG-4 AVC/H.264の.MOVファイル。AVCHDではなくMOVなので編集しやすいし動きも滑らか。これはいい。さらに動画撮影中に静止画も撮れる。動画中に撮影した静止画は3840×2160ピクセルの16:9で800万画素相当。動画中に撮れる静止画のクオリティも高いのだ。
スマートフォトセレクターは秒30枚で高速連写した中から、カメラが自動的に最適な写真を選んでくれる。最終的に5枚の静止画が保存される。
モーションスナップショットは静止画を撮ると、同時に、その前後1秒を動画で撮って2.5秒のスローモーションで記録してくれる。4種類のBGMもつくが、BGM付で再生されるのはカメラ上で再生したときだけで、データとして記録されるのはフルHDの無声動画と16:9の静止画である。カメラ上で(あるいはカメラとテレビをHDMIでつないで)楽しむ機能だ。
そして静止画モード。普通の静止画撮影機能はすべてこの中に集約されている。MENUを押して露出モードを見ると、中にあるのは「おまかせシーン」(シーン自動認識オート)とP/A/S/Mの合計5つとシンプル。今までのカメラならこの5つがそのままモードダイヤル上におかれそうなものだが、そうはなっておらず、露出モードを変えるときはいちいちメニューに入らねばならないわけである。
おまかせオートはカメラ任せなので、ちょっと自分でセッティングしたいときはP/A/S/Mの各モードを使うことになる。これがなかなか面倒。何しろ、ISO感度もホワイトバランスもメニュー内にあり、ショートカットキーを用意できないのだ。ISO感度は最高ISO3200で、さらにHi1としてISO6400まで選べる。ISOオートは、上限が400/800/3200の3パターンから選べる。これはよい。
露出補正は右キーに割り当てられていて便利だが、ワナがひとつある。露出補正をしたらOKを押してそれを確定しなければならないのだ。ついシャッターを押しちゃうと補正前の設定で撮ってしまう。どうしてこういう仕様にしたのか謎である。
背面右上にはFキーと拡大・縮小レバーがある。上下に倒して使うレバーは絞りやシャッタースピードのセットに使う。
「Fキー」はファンクションキーの略……ではなく、「フィーチャーキー」のこと。ユーザーが自由にカスタマイズできるのかと思いきや、できない。ちょっと意表を突かれた。撮影モードごとに役割が決まっていて、動画時はHD動画かスローモーションかを、モーションスナップショット時はBGMのテイストを選ぶのに使う。
P/A/S/Mの静止画撮影時、FキーはV1とJ1で役割が異なる。V1ではメカニカルシャッターか電子シャッターかの切り替えに使う。電子シャッター時は高速連写が可能でシャッタースピードも上げられるが、「ローリングシャッター歪み」が発生してしまう。だから普段はメカニカルシャッターにしておくといい。
J1はメカニカルシャッターを持たない(つまり、電子シャッターのみ。このクラスのカメラとしてはとても大胆だ)ので、Fキーは連写や高速連写の切り替えに割り当てられている。Fキーを好きな機能に割り当てられると便利なのだが、今のところできない。総じてカスタマイズの幅が、COOLPIXの上位モデルより少ないのだ。
V1とJ1の違いはもうひとつある。下キーの機能が、フラッシュを内蔵してるJ1は発光パターン切り替えに、内蔵してないV1はフォーカスモード切り替えに使われる。
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