本製品はコンパクトデジタルカメラでは大型となる2/3型のEXR CMOSセンサーを搭載している(有効画素数は1200万画素)。2/3型と言えば、古くはオリンパス「E-10」や、ニコン「COOLPIX 5000」、キヤノン「PowerShot Pro1」、ミノルタ「DiMAGE7」など、その当時ではハイエンド機の象徴ともなっていたセンサーサイズだ。ISO感度は、100〜3200まで設定可能で拡張設定で最大ISO12800までの撮影が可能となっている(初出時、2/3型センサー搭載機についての言及で誤りがありましたので、当該カ所を訂正させて頂きました。2011年10月24日 16時30分追記)。
フィルムメーカーとしてのフジフイルム製品ならでの機能である、フィルムシミュレーションは本機でも健在だ。「F」ボタンこそ無くなったが、本体上部のFnキーにカスタマイズすることでフィルムシミュレーション機能を簡単に呼び出せる。また、ブラケット設定でPROVIA、Velvia、ASTIAの3コマブラケット撮影も可能となっているので、この機能も活用していきたいところだ。
スタンダードとなるプロビアのカラー設定は、彩度を抑えた落ち着いたトーンとなっているため使いやすい。緑を写すとすべてが新緑のように写ってしまうこともなく、きちんと季節感を表現することができる。
X100ほどのボディサイズもなく携帯も容易なほか、AFのレスポンスも速く、サクサク撮影できるのでスナップカメラとして良くできていると感じる。前面のダイヤルをMFに切り替えると、背面のサブコマンドダイヤルでフォーカスを合わせるのだが、液晶ディスプレイの拡大表示と、大きく帯で表示される距離計によっておおよその被写体との距離イメージをつかむこともできる。また、AFL/AELボタンを押すことでAFも行えるので、MF/AFが同時に使える面白いモードとなっている。
2.8型の液晶ディスプレイによるフレーミングのほか、光学ファインダーが搭載されていることも本機の特徴となる。光学ファインダーはズームレンズに連動しているので、光学ファインダーだけでフレーミングできるのだが、AFがどこにあっているのかなどの確認ができないため、撮影時にはやや不安になってくる。
とはいえ、オートモードなどで撮影している場合は液晶ディスプレイでも光学ファインダーでも撮影するステップにかわりはないので、節電と手ブレを抑制するために使ってみても良いだろう。ただ、ファインダー視野率は約85%なので、光学ファインダーでとらえた像よりも実際にはわずかながら広く撮影される。余計なものが写り込まないように少し注意を払う必要がある。
折角ある機能なので、ほかにも何か便利な使い道はないかと考えてみたところ、動画撮影を思いついた。動画撮影をする際に長時間、手を伸ばしてカメラを固定するのは腕が疲れるし、手ブレも気になる。光学ファインダーをのぞき見ながら両手と顔でカメラをホールドするようにして動画を撮影してみたところ意外と使えることが分かった。
なお、液晶ディスプレイに表示される情報には、水準器による水平線の表示も可能となっているほか、カスタマイズすることで必要な情報だけに絞ることもできる。
せっかく光学ファインダーを搭載したのだから、できるだけ眼前に構えたスタイルで使いたいのだが、液晶画面でのメニュー呼び出し操作のほか、モードダイヤルや露出補正ダイヤルについても上面にしか文字が刻まれていないので、設定を変更するときにどうしても、カメラを眼前から離すアクションを挟むことになる。
モードダイヤルと露出補正ダイヤルについては慣れれば、目をやらずに扱えるようになるだろうが、これらダイヤルの側面にも文字が刻印されていれば、確認しやすくなり、初めて手にしたときから、テンポのよい撮影ができるのではないだろうか。
X10は、ルックスの良さと無理のない素直な画質が魅力と感じた。コンパクトなサイズに詰め込んだメカの凝縮感と作り込まれた細かい質感は、ぜひとも自身の手で感じて欲しいと思う。
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