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アドビの容量無制限写真クラウド「Adobe Carousel」を試す(2/2 ページ)

» 2011年11月01日 11時13分 公開
[小山安博,ITmedia]
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Lightroomをベースにした画像補正機能を搭載

 Adobe Carouselは、単に無制限の画像アップロードと各デバイス間での同期だけでなく、画像を活用するための各種機能も搭載されているのが特徴だ。

 サムネイルを選択すると画像の単独表示ができ、画面上部には「☆」アイコン、補正アイコン、「Action」アイコンが表示される。「☆」アイコンは、選択することで画像にFavoriteタグを設定できる。タグを付与すると、ほかのデバイス上にもその結果がすぐに反映され、画像の整理に役立つ。

photo 個別の画像を表示したところ。左下の☆マークがFavoriteボタン

 画像編集機能も搭載している。「Looks」は、画像にさまざまな効果を適用するいわゆるフィルタ機能で、Silvered、Dream、Sepia、Superpunch、Koi、Winter、Spring、Summer、Autumn、B&W、Memory、Aquatic、Vivid、Misty、Noir、Dappledという16個のフィルタを搭載。ワンタッチで手軽に適用できる。

photophoto 「Looks」の適用画面。豊富なフィルタを1タッチで設定できる

 画像補正では、色温度、色かぶり補正(色相)、露出、ハイライト、シャドウ、コントラスト、明瞭度、自然な彩度の8項目で補正ができる。「Photoshop Lightroomの写真処理エンジンをベースにしている」とされており、高品質の編集結果を期待できる。

photophotophoto 画像補正画面(写真=左、中)、切り抜きと角度補正機能(写真=右)

 色温度や露出などではオートボタンも用意されており、Lightroomのエンジンによる自動補正が適用できる。切り抜きと角度補正機能も備えており、不要な部分を切り取ったり、水平が取れていない画像を補正したり、左右の反転や回転も可能だ。

 適用した補正に関しては、1回分のアンドゥも可能で、画像を開いた時点と補正した画像を、タッチする度に切り替えて結果を確認できる機能も搭載している。なお、iPhone版とiPad版では多少インタフェースが異なるが、機能は同等だ。なお、Lightroomのエンジンをというだけに、この辺りのCarouselのユーザーインタフェースはLightroomに似ているように思える。

photo iPad版もインタフェースはiPhone版にほぼ同等だが、画像編集の場合は「Develop」をタッチする
photophoto 色温度と色かぶり補正は「White Balance」にまとめられており、左右の矢印アイコンをタッチすると、それぞれ個別に編集できるようになる(写真=左、右)

 補正の終了した画像に関しては「Actions」メニューからカメラロールに保存したり、クリップボードに保存したりできる。

簡単な画像共有機能も搭載

 画像の共有機能も搭載しており、Eメールで任意の人へ案内を送ったり、Facebook、Twitter、Tumblrに投稿することもできる。

photophoto 画像を共有できるActionsメニュー(左)。Twitterなどへの投稿時にはコメントももちろん添えて投稿できる

 共有はCarouselの設定から相手のメールアドレスを指定するだけ。そのユーザーにはiOSまたはMac用のCarouselアプリをインストールするように指定したメールが届く。その後に、Carouselアプリを開くと、共有された画像を閲覧できるようになる。自分の画像と同様に画像補正などの機能が利用できるほかiOSデバイスの場合はカメラロールに画像を保存したり、Mac版であれば画像をクリップボードにコピーして利用できる。

 つまり、共有された場合、アプリをインストールする必要はあるものの、Adobe IDを持っていれば画像の補正や保存が可能が行えることになる。なお、自分で画像をアップロードしたい場合は、Carouselサービスへの申し込みが必要となる。

 Carouselでは1つのアカウントにつき5つの「Carousel」を作成できる。イベントを個別に作成するなどして、アルバムのような分類が可能になる。さらに、それぞれのCarouselに対しては5人までのユーザーと共有することもできるので、最大25人と写真をシェアできることになる。

photophoto 「歯車」のアイコンからアカウントの設定やCarouselの追加ができるので、「Create a New Carousel...」を選択する(写真=左)。名前を入力して「Done」をタッチすると作成できる。「Add users...」から共有するユーザーも追加できる(写真=右)

 Carouselは自動で画像を対応デバイスすべてに対して同期してくれ、手軽に共有もできる点が特徴だ。ローカルのパソコンに数百Gバイトの画像がある場合、そのすべてをモバイル機に入れて持ち歩くことは非現実的だが、Carouselを利用すれば、すべての画像をアップロードし、それをモバイル端末で閲覧、補正までできる。

 Lightroomをベースにしたという本格的な画像編集、SNSへの投稿機能といった機能も備えており、「すべての画像をいつでもどこでも活用できる」という利便性の高いサービスに仕上がっている。

 ただ、クラウドから各端末へは自動的に同期が行われるとはいえ、アップロード自体は自動化されていない点や、iPhone/iPadなどで撮影した画像を自動アップロードしてくれないことには不満が残る。また、Carouselアプリ自体は日付別に分類されるだけで、画像の管理/検索機能は特に用意されていないため、大量の画像を登録したときの利便性にも不満を覚える。

 Webブラウザからアクセスできず、アプリが必要な点も、こうしたサービスとしては珍しく、利用環境が制限されるという欠点もある。Webブラウザ経由での利用より、アプリを介する方がレスポンスに優れるだろうと予想はできるが、クラウドサービスなのだからWebブラウザ経由/アプリ経由のいずれの操作にも対応して欲しいところだ。

 究極的にはLightroomの画像処理エンジンだけでなく、管理機能の充実も期待したい。Lightroomに取り込んだ画像をそのままCarouselで同期し、Carouselで補正した画像をLightroomで同期されれば、さらに便利になるだろう。有料サービスであるだけに、今後のさらなる成長を期待したい。

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