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紅葉撮影を楽しむための7つのコツ・前編――色と光にこだわって撮るデジイチ初心者応援(2/2 ページ)

» 2011年11月04日 10時47分 公開
[永山昌克,ITmedia]
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PLフィルターを活用する

 カメラの設定以外で、紅葉の色を引き立てるテクニックのひとつとして「PLフィルター」を使う方法があります。PLフィルターとは、偏光膜という特殊な素材を挟み込んだ2枚重ねの構造を持つガラス製フィルターです。レンズのフィルター径に合ったものを購入し、レンズ前面に装着して使用します。フィルターの先端部を回転させることで不要な光をカットでき、一定方向の光のみを取り入れて、風景の色彩やコントラストを調整する働きがあります。

 紅葉撮影では、このPLフィルターによって、背景となる青空の色をいっそう濃厚にして紅葉を際立たせたり、葉の反射を抑えて本来の鮮やかな色を表現することができます。下の写真は、PLフィルターの回転による写りの違いです。カメラの設定や撮影条件はそれぞれ同じですが、まるで別の時間に撮影したと感じるくらい、PLフィルターの効果が表れています。

photophoto PLフィルターの効果なし(写真=左)、効果あり(写真=右)
photophoto PLフィルターの効果なし(写真=左)、効果あり(写真=右)

紅葉が映える光線を見極める

 紅葉に限った話ではありませんが、風景撮影ではどの方向から、どんな光が当たっているかを知ることが重要なポイントのひとつです。同じ被写体であっても、順光なのか逆光なのか、あるいは日陰なのか、太陽の当たり方次第で写り方はまったく違ったものになります。

 最も素直でストレートな写真になるのは、撮影者が太陽を背にして、被写体に対して正面から光が当たった「順光」の状態です。紅葉の持つ本来の色がくっきりと再現され、晴天であれば青空も際立ちます。

photo 絞り優先AE(F5.6 1/2000秒) 露出補正:-0.3 ISO200 WB:晴天 ピクチャーモード:Vivid カメラ:オリンパス「E-PM1」

 ただ、順光では画面全体に光が均一に当たるため、平坦な印象を受けることがあります。より立体的な描写を狙うなら、横から太陽が当たる「サイド光」や斜めから当たる「斜光」での撮影がお勧めです。下の2枚では、斜め横からの強い日差しによって陰影が生じ、奥行きを感じる描写になりました。

photo 絞り優先AE(F4 1/200秒) 露出補正:-0.7 ISO100 WB:晴天 ピクチャースタイル:風景 カメラ:キヤノン「EOS 60D」
photo 絞り優先AE(F8 1/800秒) 露出補正:±0 ISO100 WB:晴天 ピクチャースタイル:風景 カメラ:キヤノン「EOS 60D」

 よりドラマチックなイメージを求めるなら、撮影者が太陽に向かって立つ「逆光」での撮影が効果的です。太陽そのものを写し込んで画面に輝きを加えたり、背後から差す光によって透き通るような色で紅葉を表現できます。なお、逆光撮影でレンズに光が直接差し込むと、フレアやゴーストが生じることがあります。撮影アングルに工夫して、直射光を避けるといいでしょう。

photo 絞り優先AE(F10 1/250秒) 露出補正:±0 ISO100 WB:晴天 ピクチャースタイル:風景 カメラ:キヤノン「EOS 60D」
photo 絞り優先AE(F4 1/250秒) 露出補正:-1.3 ISO400 WB:晴天 ピクチャースタイル:風景 カメラ:キヤノン「EOS 60D」

 しっとりとした色合いにしたいときは、早朝または曇天の日のソフトな光が狙い目です。下の2枚は、曇天および日陰で撮影した紅葉です。通常の風景は、こうした条件ではぼんやりした写真になりがちですが、そもそも紅葉自体に強烈な色があるため、やわらかい光も似合う気がします。晴天とは異なり、落ち着いた雰囲気に仕上がりました。

 天候や光線によってさまざまに変化する表情を見極め、それを逃さずにとらえることが紅葉撮影の面白さといっていいでしょう。

photo 絞り優先AE(F8 1/60秒) 露出補正:-0.7 ISO400 WB:オート ピクチャースタイル:スタンダード カメラ:キヤノン「EOS 60D」
photo 絞り優先AE(F5.6 1/25秒) 露出補正:-1.3 ISO400 WB:晴天 ピクチャースタイル:スタンダード カメラ:キヤノン「EOS 60D」
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