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» 2011年11月11日 11時00分 UPDATE

匠が語る「PowerShot S100」

「PowerShot S100」は映像エンジンを「DiGiC 5」に、センサーも自社開発の新型CMOSとすることで定評ある描写性能をさらに進化させたモデル。企画と開発に携わった「匠」たちがS100の細部について語った。

[ITmedia]

 キヤノンが12月上旬より販売開始するコンパクトデジタルカメラ「PowerShot S100」は写真愛好家をメインターゲットに据えた既存「PowerShot S95」をさらに進化させたモデルだ。11月11日に行われたイベントでは、企画と開発に携わった同社の「匠」たちがS100の細部について語った。

photophoto 「PowerShot S100」

 さかのぼれば、2009年夏に投入されたPowerShot S90は「薄暗い居酒屋でもいい絵の撮れるカメラ」という指令から開発され、暗所に強いコンパクトデジカメとして高い評価を獲得、続くS95では高感度撮影時の解像感向上、シフトブレへの対応、細部にわたる操作性の向上などが図られた。

 そして新製品のPowerShot S100では映像エンジン「DiGiC 5」や自社開発新型CMOSセンサーの搭載を始め、24ミリからの光学5倍ズームなど大幅なスペックアップが図られた。なかでも「エポックメーキング」(同社)ともいえる進化を果たしたのが、DiGiCだ。

photo 「DiGiC 5」

 「映像エンジン」は1990年に登場しており、2001年に高画質化を図った「新映像エンジン」、2002年に「DiGiC」、2004年に高速低ノイズ化を果たした「DiGiC II」、2006年には顔検出など新要素を追加した「DiGiC III」、2008年には高画質化・高速化のほかにも動き検出「モーションキャッチテクノロジー」を実装した「DiGiC 4」と進化してきた。

 DiGiC 5では全体的な処理の高速化はもちろん、ノイズリダクション、ホワイトバランス制御、連写処理能力において長足の進歩を遂げた。これらの詳細についてはニュース記事を参照頂きたいが、担当した宇田川善朗氏が胸をはるのが高感度撮影時の画質だ。

 ディテールを残しながらノイズを除去するという相反する命題に挑み、「ISO1600時に従来機ISO400相当という低ノイズ」という、PowerShot S100では「ストロボ発光なしの暗所撮影でも十分な高画質」(宇田川氏)を実現したほか、デジタル一眼と比較した場合にその画質は「素材製というより、その場できれいな写真であると楽しめるような方向性」(同)という、製品キャラクターに見合った絵作りにもDiGiC 5は大きく貢献している。

 また、DiGiC 5によってPowerShot S100は単純に高感度撮影時の低ノイズ化だけを進めた訳ではない。高感度撮影の必要な暗所ではAE/AFについても既存のアルゴリズムでは追従できなくなるため、宇田川氏によれば相当の見直しが行われたという。

photophoto DiGiCの進化(写真=左)、EOSの技術が投入された自社開発CMOSセンサー(写真=右)

 DiGiC 5と組み合わされるセンサー(撮像素子)も大幅な見直しが行われている。PowerShot S95の1/1.7型 有効1000万画素CCDから、S100では1/1.7型 有効1210万画素CMOSとなり、CMOSセンサーの特質である高速読み出しによってフル画素記録時で最高9.6コマ/秒の高速連写とフルハイビジョン動画撮影を可能とした。

 加えて、デジタル一眼レフ「EOS」で培われたフォトダイオード集光/変換効率向上、暗所のざらつきを押さえるオンチップノイズ除去、ランダムノイズを抑制する画素内完全電荷転送などで、担当の高橋賢司氏によれば、暗所撮影などで重要になる、「センサー内部でどれだけノイズとディテールを分けられるか」に大きな向上が見られるそうだ。

 製品企画に携わった田中裕行氏によれば、実は、PowerShot S90の方が相当なプレッシャーを受けながらの製品投入だったという。PowerShot S90が登場した2009年といえばまだまだコンパクトデジタルカメラ市場は画素数競争のまっただ中であり、その当時一般的だった1400万画素ではなく、画質面では劣らないという自負がありながらも数値的には小さな1000万画素のセンサーを搭載して発売することには相当な不安もあった当時を振り返る。

photo PowerShot S100のデザインラフ

 「(S90は相当なプレッシャーの中で発売したが)幸いにも多くの人に評価を頂いて、S95、S100と世に送り出すことができました。S100についていえば、画素数こそ多少アップしていますがDiGiC 5のハイパフォーマンスもあって画質はさらに向上しています」と田中氏は新製品についての自信をのぞかせる。余談だが、PowerShot S100をはじめ、ひとつの製品が世に送り出されるまでには、延べ人数では1000名を超えるメンバーが関与しているそうだ。

 最後にデザインについて。PowerShot S90/S95/S100はいずれもコンパクトかつシンプルなボディにカメラ愛好家の満足できる高い性能を秘めた製品であり、外観についても基調は継承するが、製品個々のデザインコンセプトは「シンプル」(S90)、「継承」(S95)、「落ち着き」(S100)と微妙に変化している。

 S90/S95に比べるとS100で目を引くのはグリップの存在だが、そのグリップは大きな主張をすることなく、ここにも「落ち着き」という意匠が込められている。もちろん、グリップは幾通りもの試作を経て現在の形状となっているが、実は、「一見すると目立たないが、手にしてもらった際に存在の感じられる物」を採用したのだという。

photo 左からPowerShot S100/S95/S90 基本的なデザインは共通している

 なお、永瀬正敏さん、道端アンジェリカさん、豊田エリーさんがPowerShot S100にて撮影した写真を展示する写真展「REAL TIME 3」が12月8日より銀座、梅田、仙台、名古屋、札幌、福岡の各キヤノンギャラリーで開催される。日程および開場時間などについてはこちらを参照のこと。

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