キヤノンのコンパクトデジタルカメラ「IXY」シリーズには、現在5機種が用意されており、タッチパネルの有無から分類すると搭載機種の「IXY 32S」「IXY 51S」、非搭載機種の「IXY 600F」「IXY 410F」「IXY 210F」に分類できる。さらに細かく見比べると、タッチパネル搭載機種は32Sがスタンダード、51Sが高倍率ズームモデル。非搭載機種は210Fがエントリーモデル、410Fが4倍ズームのスタンダード、600Fが8倍ズームの高倍率系と位置づけられていることが分かる。
今回紹介するIXY 600Fは、手ブレ補正機能「マルチシーンIS」を備えたFシリーズの最上位機種となる。レンズは光学8倍ズームレンズだが、見た目は非常に薄くスタイリッシュであり、まさに「IXYらしい」形状をしている。
撮像素子は有効約1210万画素 1/2.3型裏面照射型CMOSセンサーで、レンズは35ミリ換算28〜224ミリ(F3.0-5.9)で、光学手ブレ補正(IS)を搭載している。本体サイズは、95.8(幅)×56.8(高さ)×22.1(厚さ)ミリと名刺より一回り大きい程度となる。
スマートフォンのカメラ機能が向上するに従い、コンパクトデジカメの活用の場が少なくなっている感があることは否めないが、肥大化するスマートフォンに比べると厚さこそ倍以上違うが、手のひらにすっぽり収まるIXY 600Fのサイズ感は好ましく感じる。常時の携帯も苦にならないので、こうしたコンパクト高倍率ズーム機はカテゴリーとしてアリだと感じた。
コンパクトな筐体に3型液晶を搭載したためか、撮影モード切替スイッチと「MENU」ボタンは背面ではなく、斜めにカットされた側面に位置する。設定を変えようと思った場合側面のMENUボタンが少し押しづらいと感じた。ただ、フルオート撮影に限ってしまえば背面のボタンだけで事足りてしまうことも事実であり、最初は押しにくいと思っていたMENUボタンも、慣れればそれほど苦にもならなくなった。
撮影モードは、オートモードとプログラムモードを側面のスイッチで切り替えて行う。オートモードは、被写体や被写体の動き・明るさ・距離などに応じて最適となるように露出や絵作りを行う「こだわりオート」と「マルチシーンIS」が撮影をサポートする。また、カメラを向けるとすぐ作動する顔認識などはさすがといった感じだ。オートモードは、記録サイズやJPEG圧縮率の設定変更のみでほぼカメラ任せの撮影となる。
プログラムモードには、一般的なPモードのほか、デジタルフィルター系などクリエイティブな要素がふんだんに盛り込まれており、オートモードでは物足りないと感じた時に活用できる。
多彩な設定を施せるプログラムモードだが、多彩ゆえにどこにどんな機能があるのかを見落としてしまう事もある。
FUNCボタンを押すと、画面左に各設定項目の小さなアイコンが表示されるので、設定項目を上下で選択し、1階層下の各種設定項目を上下で選ぶ。項目によっては1階層下の項目を左右で選択するものもある。PowerShot系もほぼ同じ操作体系となっているが、項目の全体像が見えてこないため、初心者がこの設定項目を積極的に利用するかというと疑問を覚える。
多彩な機能を設定できますではなく、IXYならではの分かりやすい操作性が導入されていれば、満足度も違ってくるのではないだろうか。例えば、IXY Sシリーズのような大きなアイコンを導入するだけでも、印象や分かりやすさは変わってくるだろう。
再生モードではトリミング/リサイズのほか、マイカラーやi-コントラストの適用も行える。撮影後に、もう少し絵に元気が欲しいと思ったらマイカラーの「くっきりカラー」を適用してトリミングするなど、本製品を購入したら活用して欲しいと思う機能だ。
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